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「決めつけのない、工夫を認め合える社会を目指して」 ホームページ開設に寄せて

ホームページ「西田梓Official Site」を開設しました。 私は「見える世界と見えない世界をつなぐ」をミッションに活動しています。このnoteでは、これまでの活動を原点から振り返り、サイトオープンまでの流れ、今後の活動への思いを書いています。最期まで読んでいただければ嬉しいです。

これまでの活動

2014年5月5日、初代ホームページ「Mothers' Cafe」を開設しました。

http://motherscafe.net

かつて視覚障害児であったこと、今は母親であることから「見えないお子さんを育てているお母さん」の力になりたいと思いスタートしました。このページには、亡き母が私を出産してから小学校に入る頃までの育児記録を掲載しています。初めて母が書いた記録を読んだときに、我が子が目が見えないと分かったときの母親の気持ちは、今も40年前も変わらないと思ったからです。当時の母は私の目が見えないことで自身をせめていました。

でも、あるとき気持ちが吹っ切れたと書かれていました。今もどこかに、自分を攻めている母のような人がいるかもしれないと強く思ったことを思い出します。私が全盲であることは、誰のせいでもありません。私が悪いわけでもなく、もちろん母が悪いわけでもありません。見えなくてできないことはたくさんあります。それを別の方法で工夫しながら暮らしていることを発進しようと決めました。誰にも言わずに一人で決めた3年計画がありました。最初の年はネット上で輪を広げ、二年目は関東近郊で講演、三年目は全国へ、と誰が聞いても

「そんなうまいこといかへんやろ!」

と思うざっくりした流れを作りました。ありがたいことに、SNSを中心にご縁が広がり、各地で講演をさせていただきました。その記録も全て掲載しています。

活動を始めようと思ったきっかけ

SNSを通じて、全盲の男の子を育てているお母さんと知り合ったことがきっかけです。ドラマの最終回を見ていた私は、音だけでは話の流れに付いていけず、SNSに書き込みをしました。全盲であること、台詞や効果音でドラマを楽しんでいること、最終回ということもあり話の展開が早く分からないシーンがいくつかあったことを書きました。すると、一人の女性がメッセージでドラマの内容を説明してくれました。最後に

「私の息子も全盲です。目が見えない人がこんな風にテレビを楽しんでいることを知り涙が出ました」

と書かれていました。そこからメッセージでやり取りを重ねていきました。息子さんは私の娘と同じ年齢、彼女も私も関西出身の同世代。そして大きな共通点は、女優の天海祐希さんの大ファンということです。今では視覚障害がきっかけで繋がったことを忘れてしまうほど、天海さんのファン友達として仲良くしています。

私と知り合った頃の彼女は、私の母のように自身をせめていたと数年経って教えてくれました。最初に貰ったメッセージからその気持ちが伝わってきた私は、大切なことに気が付きました。目が見えない子供さんがいるお母さんが、視覚障碍者の生活を知らなければ不安になって当然だと思ったわけです。だったら工夫していることをネットを通して発進しようと思ったのが「Mothers' Cafe」の始まりでした。

活動していく中での違和感

私自身の子育ての話をさせていただく機会が増えていき、見えない中での工夫をお伝えしてきました。話していることも書いていることもやりたかったことなのですが、違和感を持つようになったのです。「Mothers' Cafe」という屋号を名乗っているものの「見えないお子さんがいるお母さん」に特化したことが何もできていないと思うようになったからです。「このままではよくない」という思いが募っていきました。

もっと広い範囲に届けたい

見えないお子さんを育てているお母さんだけでなく、見えない人と関わったことのない人、人生の途中で見えなくなった人たちにも発進したいと思うようになりました。私と出会ってくれたママ友たちから

「見えない人と出会うのは梓さんが初めてだけど、全然特別じゃないんだね。工夫してできることがたくさんあるんだね」

と言ってもらったこと、職能開発センターで講師として関わらせてもらったたくさんのクラスの方々から

「見えてた時のやりかたではできなくなったけど、方法を替えればできることがたくさんあるんですね」

と言ってもらったことが大きな力になりました。
一方で、見えている人たちのやり方に合わせることが正しいとされ、辛い思いをしている人たちともたくさん出会ってきました。私自身もそんな経験が数多くあります。

まずは知ってもらうことから

目が見えないとどうやって生活しているのか想像もできないという方がまだまだ多いのが現実だと思います。電車に乗って通勤して働いていたり、子供がいるとなったらますますイメージしにくいと思います。

「今私が目が見えなくなったら何もできないと思う」

と言われたことも何度もありました。そのたびに、私はこう話しています。

「これまで見ることを当たり前として暮らしていた人が、急にその方法が無くなったら不安になって当然だと思います。目で見るやり方じゃない方法を使って私は生活しています」

と。まずは「こんな風にやっていますよ」を私を一例に知ってもらいたいと思い、YouTubeを始めました。

何ができるのかを整理

これから何をやっていきたいのか、ホームページを作るために考えました。動画での発進、講演などで話すこと、そして文章を書くこと、この三本の柱を軸に活動していきます。

私が目指す社会

決めつけのない、工夫を認め合える社会を作るため、活動していきます。「見えないからどうせできない」と頭ごなしに言われ、思われこれまで辛い思いをしてきました。やらせてもらう以前に「できない」と決めつけられることで、私はだめな人間なんだと思ったことが何度あったか分かりません。工夫の方法を伝えることすらできず、固定観念に縛られた人の考え方を変えるのは難しいことでした。見える人たちの方法でやらないといけないのであれば、私にはできないことばかりです。

でも「見えない中での工夫」をすることで、見える人たちと同じようなことをして生活しています。例えば、手書きで字を書くことはできなくても、パソコンやスマホを使えば文字でのコミュニケーションはなにも困ることはありません。目で見て違いが分からなくても、触って分かる印を付ければ確認することができます。

これまで私の工夫の方法を知ったたくさんの見える友人たちが

「こうすれば分かるよね」

と一緒に考えてくれました。私一人では到底思いつかなかった方法を考え出してくれたこともありました。「決めつけの無い工夫を認め合える社会」になれば、もっと生きやすくなる人たちがたくさんいます。そのために活動していきます。下記が私のホームページです。ご覧いただければ嬉しいです。

https://azusanishida.net

長文にも関わらず最後まで読んでいただきありがとうございました。

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