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つながらない を、はじめようか

疲労は移動距離に比例するという。旅は好きだが移動はつらい。乗り物に乗ると一日中薄っすら頭痛がする。乗り物でいうと車が一番苦手で、タクシーにはあまり乗りたくはない。タバコ+小刻みなブレーキは一番しんどい。車で喫煙する人がだいぶ減ったことは嬉しいことだ。世の中は確実に良い方向に向かっている。

移動時間だって少しずつ短くなっている。新たな路線、新しい道路、新駅。

それでも移動は疲れる。
遠いことを理由に行くことを断念することだってある。南米や、アフリカなど。着陸してからも、ガタガタの道を車で5時間とか、バスで12時間とか、卒倒しそうだ。尿意が心配で夜も眠れない。

ところで道が覚えられない。方向音痴だ。「自分で運転するようになったら自然に覚えるよ」という話は嘘だった。運転しても全く覚えられない。私に長い間、ほのかな希望を抱かせてくれたあの嘘。嘘なのかよ。「大人になったら食欲が落ち着く」という話も嘘だった。大好きな天丼は胃もたれをもたらすようになってしまったが、美味しいものはいつでもたくさん食べたい。

この世は嘘で溢れている。嘘、欺瞞、醜い心の集大成。そしてときに優しい嘘。

移動中にこれを書いている。フライト中だ。ANAの飛行機内で、PCが快適にWi-Fiに接続できた試しがない。ゆえにこれを書いている。他の作業ができないから。人は繋がり続けている。つながりが人を助けてくれることは事実だが、つながりはあればあるほどいいというものではないと思ってきた。つながりに縛られて、身動きが取れないことだってあるのではないかと感じるのだ。

仕事で追われている方が実は楽だから、自分の本当にやりたいことを自主的に見失っている。スマホの使用時間や人間関係を整理し、本当に大切なことにフォーカスしたい。

人間関係の整理とは、いささか乱暴な言葉である。人を切り捨てるような冷たい言葉にも聞こえるだろう。しかしそうではない。自分にとって、本当に大事な人を大切にするための行動なのだ。スマホの使用時間を減らすのだって同じだ。無意味なやり取りを減らし、心を乱すSNSと距離を置くことは、人間関係の整理だ。つまり、つながらないことが、自分を助けてくれるとすら思えてくる。

本当にやりたいことに熱中するために、つながらないのだ。整理して、距離をとり、断絶しよう。

ついSNSを見たり、ちょっとした連絡に返信したり、締切に追われたり。そんな時間を減らしたい。その時間と距離を取れたおかげで、今この記事が書けたのだから。書いて書いて書いていきたい。ああ、Wi-Fiに繋がりたい。


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