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大人ってなんだろう。正解のない人生で目指したい「理想の大人像」【#8:「 #思い出の映像作品 」】

「大人ってなんだろう」

人類の歴史の中で、幾度となく繰り返されてきたであろう究極の問い。
この答えに対して自信満々に答えられる人って、果たして存在するのでしょうか?

試しにGoogleの検索窓に「大人とは」と入力してみます。
もし誰かにパソコンを見られたときに、予測変換を見られたらとても恥ずかしいので、変換履歴はそっと消す。
“大人とはなにか”がわからないくせに、自分のプライドを守る“大人っぽい”術だけは自然と身についてしまったようです。

「大人とは」というクエリにSEO対策をかける事業会社がいるはずもなく、安定のWikipediaが検索トップに上がってきます。
インターネットの百科事典では、「大人」についてどのような言葉が定義づけられているのだろう・・・

おとな(大人・乙名[1])とは、
十分に成長した人[2]。成人。
考え方や態度が十分に成熟していること。思慮分別があること[2]。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BA%BA

え〜!「十分に成長した人」って超抽象的すぎやしませんか〜!
そもそも成長ってなんですか!
それに「考え方や態度が十分に成熟している」ってなんですか!
なにをもってして「成熟した態度」って言えるんですか〜!!

ひな壇にいるリアクション芸人さながらの猛ツッコミ!
こんな幼稚なツッコミをしてしまう時点で、きっと私は十分に成長できていないし、ついつい未熟な態度をとってしまう「子ども」なのでしょう。
30代を迎える私がひとつ言えるのは、大人は年齢じゃないってこと。

世界中の誰もがが編集できるWikipediaにも、納得のいく「定義」は書かれていないんです。
お酒やタバコが解禁される「成人」は別として、「大人」にはルールが存在しない。
「あなたは大人ですね、あなたはまだ大人じゃありません」なんて判断できる人なんて、いるはずないんです。
所詮「大人」なんて概念でしかない。決まりもない。でもやっぱり「大人」ってなんか、ちゃんとしている気がするし、生きる上での指標だったりもするのでは…

だからこそ、誰もが自分の目指すべき「理想の大人像」を持っておくべきなのではないでしょうか?

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私の思う「理想の大人」は、名作『ライフイズビューティフル』の主人公・グイド。
映画に詳しいわけではないですが“人よりちょっとだけ”映画が好きで、普通の1.2倍くらいは映画を観てきたんじゃないかと思ってます。
だけどやっぱり“心のベストテン第1位”は、超王道なこの作品なんですよね。

観たことがない人のために、超簡潔にストーリーを説明するとこんな感じ。

舞台は第二次世界大戦下のイタリア。ユダヤ系イタリア人のグイドは、愛する妻と息子と共に幸せに暮らしていた。しかしある日突然、一家は強制収容所へ収監される…

息子・ジョズエのこんなナレーションによって、物語は始まります。

「これは素朴な物語。話すのは簡単ではないけれど。童話のように悲しみがあり、童話のように驚きと幸せにあふれている。」

ナチスの強制収容所といえば、非人道的な行為が行われてきた施設。
そんな地獄のような場所で、ジョズエが感じた「驚きと幸せ」は父・グイドからの、愛に満ちた贈り物でした。

「さあ、ゲームの始まりだ。お前は1000ポイント貯めなきゃいけない。もし1000ポイント貯めたら、大砲のついた戦車を家に持って帰れるんだよ。」

幸せな生活から一転。汚いベッドがあてがわれ、銃を片手に抱えた軍人が厳しい口調で命令を下す。いつ殺されるかもわからない、緊迫した状況の中で、グイドはジョズエに「これはゲームなんだ」と説明します。

幼いジョズエは純粋に父の言うことを信じて「ゲーム」に参加。看守に見つからないように隠れるとポイントが加算されます。思わぬハプニングや突如現れる敵をかわしながら、ゴールに向かって勝利を目指します。障壁を乗り越えて目的を達成するーー特に幼い男子にとって、ゲームほど楽しいものはないんですよね。

過酷な肉体労働と希望のない日々。
グイドは肉体的にも精神的にも限界を迎えていたはずです。
それでも常にユーモアをもって息子を楽しませていました。
未来ある愛する息子に希望を与えることで、「人生ってこんなに楽しいんだ」と思わせたかったから。

つまり、どんな状況下でもユーモアをもって人生を楽しむこと。
そして、大事な人の希望を奪わないこと。

そんなグイドの姿こそ、私の「理想の大人の姿」なんです。

ある意味、ライター・編集者ってそれが実現できる仕事じゃないかなと思います。
取材対象全てにドラマティックな物語があるとは限らない。でもそこに対して言葉の力を注ぎ込み、編集の魔法をかけることで、読者に希望を与えることができるのではないでしょうか。

グイドのように強い人間にはまだまだ全然なれないけれど、私はグイドのようなマインドを持ったライター・編集者になりたいなぁと思います。

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次回は、田中くん !
文壇バーに勤めているということで、映像作品にも詳しそう。
楽しみにしています!!



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