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「僕は満員電車に乗って、お金のために辛くても辞めずに1つの会社で頑張るのが仕事だと思ってました」

先日、地元の中学校の職業人講話によんでいただき、1年生に向けて仕事について語ってきた。

びっしりと書いてくれた感想を見ていると彼らの仕事観が見えてくる。
「仕事は一つに決めたら、そこで頑張るもの」
「失敗をしたら、もう成功はできないと思っていた」
「お金のためだけに働くと思っていた。」
「満員電車で苦しそう。修行のようなイメージ」

2030年の社会に彼らは出ていく。
2030年とはこんな社会だ。

しかし、彼らは社会に出るその日まで、学校という遮断された世界にいる。
一番のブラック企業と言われる学校に勤める先生たちを毎日見て、親の背中に仕事や社会をみる。
テレビや雑誌の中の「最先端の働き方」なんて彼らにとってリアルではない。

10年後に社会に出る子どもたちの職業観を変えないと、私たちは10年後もまだ働き方改革をし続けることになる。

**働き方改革とはなんだ?**

そもそも働き方改革の目指すべきところはどこか改めておさらいしよう。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。
※引用:首相官邸「働き方改革の実現」

一億総活躍社会とは、
・若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会
・一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会
・強い経済の実現に向けた取組を通じて得られる成長の果実によって、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが更に経済を強くするという『成長と分配の好循環』を生み出していく新たな経済社会システム
※引用:首相官邸「一億総活躍社会とは」

労働力不足の解消の3つの対応策。
・働き手を増やす
・出生率を上げて将来の働き手を増やす
・労働生産性を上げる

今こそ、もう一度働き方改革をバックキャスティングで考えるべき。

一億総活躍社会に向けて、3つの対応策が挙げられているが、施策はどれも「今」にフォーカスされているように思う。
「今、働ける人」「今、産める人」「今、頑張れる人」

もちろん、「今」も大切。目先が転ぶと未来はない。
しかし、未来を育てないと未来はない。

働き方改革をバックキャスティング(未来のあるべき姿から今を考える思考)で考えたら、大人だけでなく、子どもも同時に新しい社会で活躍できるように育てていくべきなのだ。

働き手を増やすなら、10年後の主役たちに働くことのポジティブな面を見せなければならないし、出生率を上げたいならこれから結婚出産イベントがある10代たちと一緒に「家族と仕事と地域を大切にできる働き方」を考えるべきだし、労働生産性を上げるなら「決められた勉強の仕方」「決められた時間割」「決められた評価軸」という今の働き方を再現するような教育だけではいけない。

働き方改革を大人の中で閉じてはいけない。
改革は未来の主役のそばで起こるべきだ。

**明日への限りない期待を膨らませ、僕たちの素晴らしい希望と夢を**

講演の報酬は学生たちが本気で歌う「Let's search for Tomorrow」だった。
私だけのために、本気で歌をプレゼントされたのは人生で初めてで、なぜかちょっと泣きそうになった。

彼らの明日を希望に満ちたものにするかどうか。
それは私たちにかかっている。
大人側にかかるプレッシャーと現状のやるせなさと、それを補ってあまりある未来への可能性を感じてなんだか気持ちがこみ上げてきた。

私も中学の時に歌った記憶があるが、こんな歌詞だったのかと初めて言葉の意味を考えた。あの頃はただ音として言葉を歌っていたんだなぁ。

「子どもたちのために」という言葉はきれいごとに聞こえるかもしれないが、バックキャスティングラボの編集長として、常に理想の未来を考えていたいし、未来の希望とともに未来を作りたい。

未来に希望が持てずに過ごす10年と、未来の可能性を感じながら過ごす10年では、間違いなく大人になって大きく変わってくるから。




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