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1年間お笑い養成所に通って得た学びと芸人にはならない私が太田プロと新たに始めること。

平成最後の1年間、私は太田プロダクションのお笑い養成所に通った。
毎週火曜日&隔週の金曜日。企画力とプレゼン力を上げるため、お笑い芸人コースと放送作家コースの両方を受講した。

「3を売る女」というフリップ芸を作り、世にも奇妙な物語の脚本を書き、地方テレビ局に実際提案する企画書を出し、すべらない話をし、映画のCMのコピーを作り、大喜利をした。ついでに芸人のコンプライアンス研修もしっかり受講した。

人前でアホほど滑ったし、私の出す企画は恐ろしく真面目でつまらなかった。

ひたすら自分の能力のなさだけを感じた1年だったが、私が唯一ベタ褒めされ、放送作家の「講師側に立ってほしい」と言わしめた「映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの3分告知」をここで共有したいと思う。

1年間、授業で学んだことを私なりに「魅力的なエンターテイメントコンテンツづくりの5つのポイント」に整理し、そのポイントに沿って映画の魅力を語ったものになる。

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「映画バック・トゥ・ザ・フューチャーを3分で魅力的に告知せよ」

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今日はぜひお笑い芸人を目指す皆さんにみていただきたい映画を紹介します。皆さんも一度は耳にしたことがあるでしょう。
その名も「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
この映画には養成所で学んだ大切なこと5つがが詰まっています。

①キャラクター論~狂気と常識の振れ幅~

養成所に通っているほぼ全員が自分のキャラクターにずっと悩んでいますよね。どんなに面白いネタでも、キャラクターに合っていないと笑いは起きないですから。
魅力的なキャラクターの要素として先生から「狂気と常識の振れ幅」の話をありました。
狂気(狂った部分)がないと想定外にはならず、見ていてつまらない。しかし、狂気だけでは恐ろしくて笑いは起きません。
この常識と狂気の両方を持ち合わせ、振り子のように行ったり来たりしているコトやモノ、ヒトに対して、「次は何をするのだろう」という安心して興味を持てるのです。
映画の主人公のドッグは天才発明家。
自分の発明に関して語る時は目を見開き、狂気的な面を見せるが、タイムトラベルに対する倫理観や生活(ちゃんと食べて、ちゃんと起きる)やTPOもわきまえて話をすることができる。
この振れ幅が皆さんのキャラクターづくりの参考になります。

②フレーズネタ~繰り返しへの慣れと期待~

一発芸でブレイクする芸人に必ずあるのが「フレーズネタ」
繰り返し言葉を使うことで観客に覚えさせ、期待をさせます。
初めて出た時は笑いどころが分かりませんが、繰り返すことにより、そのパターンを理解し、徐々に観客の方から求めてきます。

映画でも主人公ドッグの友達であり、一緒にタイムトラベルをする高校生マーティーのお決まりフレーズがあります。
マーティ 「こりゃヘビーだ」 ドク 「また言ったな“ヘビー”って。未来ではそんなに物が重いのか?重力に変化が起きているのか?」

まるで漫才みたいな掛け合いです。
漫才の中にどのタイミングでフレーズを入れるかの参考になります。

③シチュエーション論~使い古しでも、面白い~

漫才もコントもすでに「お葬式での失敗」「結婚式の手紙」「学校の転校生」「コンビニ店員」などなどシチュエーションは出尽くしています。
しかし、出尽くしているからと言って面白くないとは限りません。

この映画はストーリーは「タイムマシンに乗って過去に行ったら、両親と三角関係になってしまった」というもの。タイムパラドックスはシチュエーションとしては使い古されている気もしますが、「知らないことが前提の人の前に知っている人がいる」というシチュエーションの<奇妙さ>は時代を超えても人に期待をさせるものです。

映画の中にもタイムパラドックスにより生まれるズレをネタにしている部分がいくつもあります。

新しいシチュエーションもよいですが、鉄板のシチュエーションを以下にアレンジするかを考えるのもネタづくりの参考になります。

④緩急~ネタの中にも差をつける~

危機的な状況や一刻を争う状況が多い映画なので、主人公の二人は早口でまくし立てる場面が多いです。
だから普通のスピードで会話をしているだけでも落差が産まれ、見ているものを飽きさせず、疲れを感じさせない小気味よいリズムが産まれています。

一発芸のような短い時間なら勢いだけで続けるのもありですが、ライブなどで長時間お客様にネタを見せる時はネタの中だけでなく、ライブ全体の中でも緩急をつける必要があります。

若さ=勢いという部分もあるので、元気が良いのは+ではありますが、「差を生み出す」ことによって笑いが産まれるので、ぜひ意識してみてください。

⑤流れ~真似てからオリジナルを出す~

女性お笑いピン芸人は山田邦子さんの人物描写芸から青木さやかにつながり、横沢なつこ、柳原可奈子などの流れになっています。
その他にも方言(関西弁以外)で話す芸人という流れがあり、博多花丸大吉やU事工事や千鳥などの流れができています。

似ているな、と思いながら世間も耐性があるので、比較的受け入れやすい。
全く新しいジャンルを切り開けたらかっこいいけど、まずは今あるジャンルに絞って「この流れの中でどう独自性を出すか」というのも重要と学びましたよね。

この映画もSFの流れの中で生み出されたものです。1985年に公開されましたが、1968年には同じタイムマシン的なものでタイムパラドックスを生み出す代表策として「猿の惑星」が公開されました。ドラえもんも同じジャンルと言えば、同じです。

すでにエンターテイメントコンテンツの流れとしてタイムパラドックスが受け入れられていたからこそ、タイムマシンの発明や過去に行くストーリーをより多くの視聴者が理解し、楽しんでくれたのです。

真似た上での、オリジナルの出し方についても映画を見ながら考えてみてください。

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と、お笑いのネタの極意はわかっても、自分では全く面白いネタが書けないので、机上の空論でしかないのだが、上記のような学びを得た。

ビジネスマン向けのお笑い塾(研修)を太田プロと一緒に立ち上げる

最終回で担当者から「尾崎さんは事務所に入りたいわけではないんですよね。」と聞かれた。

私以外の全員は当然事務所に入ることを希望し、これからもオーディションを受け続けるのだ。

私はこの1年間エンターテイメントの可能性や力を感じたが、同時にエンターテイメント業界が抱える課題も感じた。

芸人の卵たちがライブをするのは、いつも下北沢だということ。
非常に限られたスペースで限られた業界の評価で戦っていること。
少子化に伴い、受講生は減っているということ。
主戦場がテレビからネットへと移行していること。などなど。

先生のお話を聞きながらも「これからのエンターテイメントでそれでは勝っていけないのではないか」と思うこともあり、エンタテイメントの他分野での可能性を模索し続けていたので、事業提案の場を最終日にもらった。

提案している間に吉本が教育分野に進出するニュースが流れた。

先を越された感はあったが、太田プロダクションだからこそできることもあると思うし、そもそも私と一緒に事業をやってくれるなんて太田プロダクションくらいだ。

まずは、ビジネスフィールド向けにトライアルでお笑い塾を行う。
第一線で活躍する放送作家の先生と賢さと面白さを併せ持つ芸人をお呼びして、アイディアの生み出し方を学んでもらう。

ネタ作りは本当にアイディアや企画力をつける素晴らしいプログラムだと私自身思っている。

大喜利で恥をかく不安や恐怖を捨て、新しいネタ作りのポイントを実践的に学べる。
まずはトライアルだが、ぜひ興味のある方は参加してほしい。
私は1年間通わなければこのような機会がなかったが、もっと多くのビジネスフィールドの方にお笑いを通して新しいものを笑って生み出す方法を知ってほしい。

新しいワクワクするものは笑いの中の方が出てきやすいと思うから。
エンターテイメントをもっと学びに。それがコンセプト。

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