鬱病なのに鬱病だから病院に行けない…そんな日々が続いていた私にフォロワーから鶴の一声がかかった。
｢睡眠薬はネットでも買えるよ！｣
サイタマ堂。薬の個人輸入代行ショップだ。
私はフォロワーにお勧めされた睡眠導入剤｢赤黒｣を即購入した。
｢たくさん飲むとハイになれるよ！｣
私はこれに縋るしかなかった。

　2~3週間程経った頃、ようやく届いた。
開封すると、私はすぐに赤黒の写真を撮ってツイートした。
｢お前の行く末密かに暗示する人honey｣
一気に10カプセルを飲み込み、ダラダラTwitterを眺めるなどしていた。１時間ほど経った頃、画面上のアイコンや文字がユラユラキラキラと揺れ始め、立体的になる。まるでゲームのようだった。気持ちいい、何でも出来そうな気分！シラフでは得られない高揚感。歯止めが効かなくなった私は残りのカプセルを分解して中の粉末を舌で舐め取った。他の薬のような苦味が無かったので躊躇なく追加していく。計50錠。理性が壊れ、快感を追うことしか考えられないクソバカジャンキーになっていた。
ここからの記憶はほぼ無い。赤黒は過剰摂取すると強烈な建忘を引き起こすのだ。
以下の内容はその場にいた家族、最中に連絡を取っていた友人等からの証言に基づいて書いている。

①異常なカレーを作る
睡眠薬を大量摂取しながらもカレーを作ったという事実に驚くのだが、もちろんまともな物が作れるはずが無い。業務用の一味唐辛子をまるまる1袋突っ込んだ異常激辛地獄カレーだったらしい。ハイになった私はそれを家族に美味しいから食べろと勧めたとか。
インド人もビックリだ。

②幻覚と会話
睡眠薬をハイドーズすると開眼幻覚が見えることは有名な話。
私は猫の幻覚と会話した。黒猫はよく喋る。その後｢やっと猫が飼えたよ｣と幻覚猫を撫でながら母に報告したらしい。

③お気持ち表明長文LINE&電話
ハイになった後、落ち込みBADタイムに入ったらしく今までの人生を振り返り、自分はいかにダメな人間なのかを長文LINEで友人に送りつけ、何故か祖母に｢もう死にたい｣と号泣電話。普段は友人や家族に対して病んでいる発言をしないよう心がけていたが、このやらかしで全て無意味になってしまった。
赤黒は自白剤…？

　このように、赤黒睡眠薬を大量摂取すると自我を失い奇妙な行動をして周りの人に迷惑をかけてしまいます。睡眠薬は飲んでも飲まれるな。以上。ありがとうございました。