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愛情の真偽1

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好きなものについて語っていきます…!

人は弱いので、何かに縋りたがる。アルコール、タバコ、薬物、宗教、性行為、エンタメ……
何だっていい。
私にとってのそれは「薬物」と「アイドル」だった。もちろん今でも変わらない。
薬物による多幸感によって″愛″が生まれることは有名な話だが、これを他人に話すと「偽物の愛じゃん!」などと言われたりする。
確かに偽者なのかもしれない。
しかし、アイドルにも似通った部分がある。生身の人間でありながら″偶像″を演じる彼女たちの姿を観て、楽曲を聴いて、応援という名の崇拝をし、愛が生まれる。どちらの愛も真偽は不明だが、解らないからこそ愛しいのだ。
私はとあるアイドルグループのメンバー、Nさんの大ファンだった。
オルタナティブなバンドサウンドで女の子が歌って踊るというコンセプトのグループ。
当時ロックバンドばかりを聴いていた私は
懐かしくも新しい感覚に胸を高鳴らせた。
初めてライブに足を運んだのは7年前。まだグループが発足したばかりであり、パフォーマンスは初々しいものだったが、Nさんの力強く透き通った歌声を生で聴いて、涙が溢れた。純粋な感動を味わったのだ。
それからはすっかり彼女の大ファンになった。ライブに通い、接近イベントにも参加した。そんなオタク活動をしているうちにあっという間に3年経った。
私はその間に社会に揉まれ、落ちこぼれ…薬物乱用をすることでなんとか日々をやり過ごしていた。
仕事に追われてオタク活動をする余裕が無くなっていたが、とあるタイミングでライブに行けることに。
それを当時親しくしていた薬物仲間に伝えると、「音楽と薬物はとても相性が良い…特に
これ。しかも合法。」
私は勧められるがままにネットで購入した。
ラザロという薬。海外製の抗不安薬だ。
そしてライブ当日…会場に着くと同時にラザロを多めに服用した。
開演する頃にはもう、出来上がった。
視界がいつもより鮮明で、推しメンNさんの表情が手に取るようにわかる。身体が軽い。聴覚が敏感になり、バンドサウンドが心地良く響く。そして歌声も…。
「大好き!大好き!愛してる!」
昂ぶる感情を抑えきれず、叫んだ。
通常では味わえない多幸感に包まれ、ライブを満喫した後、チェキ撮影会に参加することにした。
今までNさんの歌に助けられていた事への感謝を伝えたい!色んな言葉を思い浮かべながら行列に並んでいると、あっという間に私の番が来た。
「あっ…………………」
ところが彼女を目の前にすると頭が真っ白になり、いつもの鬱屈とした自分に戻ってしまい、挙動不審になっていると、Nさんは私に向かって微笑んだ。
そうだ、この笑顔に、歌に、救われてきたんだ……!
大きな愛が脳に流れ込む。
そして振り絞った言葉は
「大好きです!」

この一言だった。

この感情は確かに″愛″だった。




終わり







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