2023 優駿スプリント レース分析と考察

宝塚記念はイクイノックスの快勝。あっという間に上半期が終わり、今週からは舞台をローカルに移しての夏競馬が開催されます。

競馬をやっていると一年がたつのが早いとよく言われますが、そのことをしみじみと実感する今日この頃

中央の上半期G1は、ひとまず一区切りとなりましたが、地方はここからが本番。明日は大井競馬場にて、上半期の総決算である帝王賞が行われます。

その前に行われるのが、3歳のスプリント重賞である優駿スプリント

例年、短距離戦線での飛躍を目指す実力馬が揃い、見ごたえのある勝負が繰り広げられるこのレース

今回は、この優駿スプリントの分析を進めてまいりたいと思います。

【優駿スプリント 大井ダート1200メートル】

優駿スプリントは、大井競馬場1200メートルで行われます。

まずは、過去3カ年のラップタイムを見ていきたいと思います。

2022年
12.1 -※10.6 - 12.0 - 12.8 - ※11.8 - 12.6

2021年
12.1 - ※10.7 - 11.8 - 12.7 - ※12.0 - 12.8

2020年
12.1 - ※10.6 - 11.8 - 12.7 - ※12.1 - 13.2

このレースは、米印の部分を見ていただくとわかるように、スタート直後の200メートルから400メートルでまず加速が求められます。

その後、減速ラップを刻み、勝負どころの残り400メートルから200メートルの地点で再び一気に加速することが求められます。

つまり、ゴールまでのスピード持続力が問われるというよりは、短距離の高いスピード能力とともに、加速、減速を繰り返し、その負荷に耐えきるヨーロッパ型のスタミナ、底力の要素も同時に問われるということが、このレースの特徴と言えるでしょう。

続いて、過去3カ年で馬券に絡んだ血統を見ていきたいと思います。

2022年
1着 プライルード
(父 欧州型ラブリーデイ 母父 欧州型サクラバクシンオー)
【キングマンボ系×プリンスリーギフト系】
2着 エスポワールガイ
(父 日本型エスポワールシチー 母父 米国型ファスリエフ)
【サンデーサイレンス系×ノーザンダンサー系】
3着 フィリオデルソル
(父 米国型クリエイターⅡ 母父 日本型マンハッタンカフェ)

2021年
1着 ワールドリング
(父 欧州型トゥザワールド 母父 米国型エンドスウィープ)
【キングマンボ系×フォーティナイナー系】
2着 ハートプレイス
(父 日本型ネオユニヴァース 母父 米国型タイキシャトル)
【サンデーサイレンス系×ヘイロー系】
3着 ジョーロノ
(父 日本型ジョーカプチーノ 母父 米国型ワイルドラッシュ)
【サンデーサイレンス系×二アークティック系】

2020年
1着 カプリフレイバー
(父 米国型サウスヴィグラス 母父 欧州型ファンタスティックライト)
【フォーティナイナー系×レッドゴッド系】
2着 ブロンディーヴァ
(父 日本型スマートファルコン 母父 欧州型サクラバクシンオー)
【サンデーサイレンス系×プリンスリーギフト系】
3着 キングキャヴィア
(父 米国型クロフネ 母父 日本型ゴールドアリュール)

まず注目したいのは、過去3カ年の優勝馬は、全て父も母父もサンデーサイレンス系以外というポイント

サンデーサイレンス系は、序盤脚を溜めて、最後の直線で一気に末脚を爆発させて脚を伸ばし、瞬発力を持って相手を差し切る「溜めて、切れる」競馬を得意とする系統

故に、それと相反するような、最初から最後までスピードを持続させる競馬や、道中で加速、減速を繰り返すような競馬では、同じようなパフォーマンスを見せることが難しくなります。

優駿スプリントの場合は、先にも述べたように、短距離の高いスピード能力を持って、そのスピードで最初から最後まで押し切る力とともに、加速、減速を繰り返し、その負荷に耐えきるヨーロッパ型のスタミナ、底力の要素も同時に問われるという舞台ですので、サンデーサイレンスの影響が薄いタイプが活躍しているのもうなずけます。

そして、もう一つ注目したいのは、過去3年の優勝馬はいずれも、父、もしくは母父が欧州型であること、そして、馬券に絡んだ9頭のうち、実に6頭と、半数以上がノーザンダンサーのクロスを持っている点です

ヨーロッパのビッグレースは、起伏の激しいコースで行われるものが多く、加速、減速を繰り返し、その負荷に耐えきるスタミナ、底力の要素が何よりも求められます。

中でも、ノーザンダンサーの血は、そうしたタフな競馬の中でも闘争心を失わず、むしろ苦しい環境の中で最後までライバル馬に喰らい付いて競り落とす能力に優れた血筋。

加、減速が激しく、勝負根性比べの様相を呈するこのレースとの相性のよさもうなずけます。

では、これらを踏まえ、本日の注目馬を挙げてみたいと思います。

【注目馬① リベイクフルシティ】

もともと2歳時は、4連勝で重賞のゴールドジュニアーを制した快速馬

クラシック戦線で戦わせたいという意向もあり、この春はクラシックにチャレンジしましたが、さすがに距離が長かった模様

それでも、羽田盃では4着に入着するなど、その力の片鱗は随所に見せていました。

血統的には、アメリカ血統の中でも最高峰のスピード能力を伝える血脈の一つである、シーキングザゴールドのクロスを持ち、且つノーザンダンサーのクロスを持つという、まさにダートのトップスピードとヨーロッパ系のスタミナと底力を併せ持つ血統構成

適正距離に戻る今回は、十分馬券圏内の可能性はあるのではないでしょうか

【注目馬② クラティアラ】

穴で注目したいのはクラティアラ

こちらは父が欧州系のタイセイレジェンド、母父は米国血統の礎ともなっているボールドルーラーの血を引くワカオライデンで、欧州系のパワーと米国系のスピードがミックスされた血統構成

地味なタイプで目立ちませんが、昨年暮れの大井移籍後は、一貫して3歳のオープン級で堅実な走りを続け、重賞の若潮スプリント3着などの実績も挙げています。

また、前走は、初の古馬との戦いながら、全く臆することなく古馬と渡り合い、堂々の2着

こちらも今回は、適正距離のスプリントに戻り、巻き返しが期待できる1頭です。

以上、本日は、上記2頭に注目してレースを楽しみたいと思います。

予想はウマニティにて公開いたします。

こちらもご覧いただけますと幸いです。




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