個人開発ソフトで一定の収入が得られるまでに、やっていない10個の工夫

直近の4年弱くらいの個人開発に関してのメモです。下記の記事が面白かったため、「自分も何か書くか~」と思い立ちました。


はじめに: あなた誰?

コレ↓の開発者です。

このソフトの有料版の売上でいちおう生活できるくらいの収支がありますが、それはそれとして正業は会社員プログラマーです。


本題: やっていないことリスト

その1. 参考元記事にあることの大半

冒頭で紹介した記事がありました。

この記事の「しなかった事」のうち、下記7つをやっていません。

  • 市場調査

  • 広告

  • サーバー利用

  • 数値分析

  • ASO

  • 新規アプリ量産

  • Android開発 (というか、複数OS向け開発)

競合調査はほぼやってないんですが、開発当時に類似ソフトの開発動向をある程度知ってたので、実質的に競合調査したのと同じ状態でした。

外注については、面識のある相互フォローの人にロゴだけ頼みました。それ以外は面倒なのでやってません。

開発仲間への相談は自分がするというより、解像度が高い機能要望を送ってくれる方が居るのを起点に発生しています。初期段階では相談無しでやってました。


その2. 退職

ここが参考元記事との最大の差分ですが、会社を辞めるのをやっていません。私の正業はあくまで会社員プログラマーです。

理由は色々ありますが、長期的に見て会社での開発のほうが面白いと思っていること、個人開発に振り切るほどには開発のネタを持ち合わせていないことなどが挙げられます。


その3. ソースコードの秘匿 / コピーガード

そもそもソースコードはGitHubで公開しており、難読化やアプリ配布時のコピー云々も考慮していません。プロダクト規模や価格設定によっては大切ですが、面倒なのでやってません。


その4. いわゆるアプリストアでの配布

アプリ特化のストア、つまりMicrosoft StoreやSteam等を使っていません。Windows向けアプリを作っているので、配布もラクな方法を選んでいます。

現在は利用開始ハードルが低く、取引手数料も低いのでBOOTHを使っています。


その5. 無料版の機能制限

よくある課金アプリの方式で「この(便利な)機能は制限されています、課金すると使えます」的なのがありますが、機能が制限されると不便なので基本やっていません。

代わりに「無料版でもほぼ全機能が使えます、良かったら有料版を買って下さい」という感じのドネーションウェアに近い立場を取っています。


その6. サブスクリプションの強制

「月額いくら」みたいな方式のほうが恐らく収支は増えるんですが、うっかり抜け忘れて長期間お金を払う人が増えそうで嫌なため、買い切りを前面に出してます。自分もサブスクは抜け忘れる側なので…。

また、前述のドネーションウェアという文脈では「応援目的で1回だけ支払って忘れる」という選択肢が存在してほしいため、その観点でもサブスクはあまり推していません。ただし、ガッツリ応援してくれる人のためにFanboxは開設してます。


その7. アナリティクス

いわゆる分析用サービスは面倒なので一切使わず、DAUがどんな感じなのかさえ分かっていません。参考元記事ではDAUをちゃんと見てて「なんて文化的なんだ…!」と思いました。


その8. 公報アカウント

広告をしないことと関連する話題ですが、プロダクトの宣伝専用のSNSアカウントを作るのは複アカ運用が面倒だし新アカウントのフォロワーを伸ばすのも大変なので、やっていません。


その9. コミュニティ運営

広告や公報をやらない以上これも当然の流れですが、面倒なのでユーザーコミュニティを運営しません。ただし、DM等で貰った要望をアプリに反映する事はあります。


その10. 頑張る

※ネタが尽きたのでポエム枠にしました。

頑張らないというより、正確には必死に頑張ってる感を出すのをしていません。

裏でめちゃくちゃ頑張る時期があったりするのは全然良いんですが、露骨に必死感とか悲壮感を出すと応援されづらいという体感があるため、「こっちは気楽なので応援・支援も気軽にどうぞ」というスタンスで臨んでいます。

実際ほどほどに力を抜いて開発をやっていて、例えば今年だと「エルデンリングが未クリア」という理由でアプリ更新が滞った報告をした事があります。


おわりに

会社でも個人でも開発するうえでやらないことは大事だな~と漠然と思いがちなので、ちゃんと書き出してみると面白いなと思いました。

注意点ですが、この記事で書いてる「ソース公開・機能制限しないドネーションウェア」みたいなアプローチは配布プラットフォーム、ユーザー層、価格帯、ジャンル次第で成立したりしなかったりする事にはご注意下さい。例えばモバイルだとこのやり方は筋が悪そうです。

また本記事では会社を辞めないことを推奨していますが、在職のままお金が貰えるタイプの個人開発をやるには会社の勤務時間が長すぎない事を前提に、何かのドメイン知識、開発力、継続力、根性、運のいくつかが要求されます。別の言い方をすると、この記事には生存バイアスがかかってます(自分の場合は特にドメイン知識と運のウェイトが大きそうです)。

その辺りも踏まえつつ、ケーススタディにしてもらえれば幸いです。


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