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ローカルな本屋であること

すこしずつ春の訪れが感じられるこのごろですが、散策舎にすてきな雑誌が届きました。
三重のローカル誌『NAGI』最新刊の76号、「町の本屋、なくしてええの?」と題した本屋特集となっています。日本全国はもちろん三重県内でも、個人オーナーの想いに溢れたいわゆる独立系書店はここ数年でかなり増えており、それぞれの創意工夫で本屋を営まれています。散策舎も、伊勢の小さな新刊書店として掲載していただきました。『NAGI』は県内の本屋さん、また文化施設や道の駅などで販売しておりますので、ぜひお求めになってください。

昭和の時代、「町の本屋」はそれこそ、どの町にでもある存在でした。最新刊が発売日に、全国どこでも、一律同じ価格で買える、という優れた流通の仕組みをつくりあげた出版業界の力が、町の本屋を支えてきました。
しかしそれも平成の初めまでの話で、すでに20年近く「不況」は続いています。町の本屋はもちろん、大きな書店も出版社も取次も、もっと言えば読書する人も、かつてに比べれば減っているように思えます。そしてこの流れは世界各国にも共通する課題であることが見えてきています。

不況の原因はいくつもあるでしょうが、大切なのは私たちが「読みつづけ」られること。ここ数年、各地で小さな本屋がどんどん生まれているのは、決して昔ながらの書店への懐古趣味ではなく、「紙の本」や「町の本屋」のローカル性こそが世界への扉を開いていたのだということに、多くの人が気づき始めたからだと感じています。

この『NAGI』刊行を機に、本屋・散策舎 伊勢店では「本と本屋を考える」フェアを開催中です(夏ごろまで継続展開予定です)。
本も、本屋の形も、そして読書のあり方も、この十数年間で大きく変わってきています。平成が終わり新たな時代が始まろうとするいま、本と本屋のこれからを、考えるきっかけになれば幸いです。

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