所用をすませて東京・中目黒駅に戻る途中、普通の家のような、よくみるとあきらかにそうではない家からお客さんが出てきました。

靴下姿で、自分の靴を手に持って…！

靴を脱いであがる一軒家カフェだったんですね。カフェは2階にあり、1階の店構えもカフェというよりは、かわいらしい和こものが並べられているだけだったので、食器屋だとばかり…！気がついたら入店してましたねえ。

2階は大きな机を囲むようにして椅子が配置されていて、棚も窓も壁もうつわまつりです。どう見ても全部アンティークで、いい意味で目の毒だわ〜と思っていたら、そのうつわとトレイで、お茶とランチを出してくれました。素晴らしい…。

きにいった食器はトレイ（折敷）。このデザインの実用さ、シンプルさよ。世の中の木製ナチュラル合板系トレイは、使っているうちに木が反っていってしまうんですが、逆にちょっとお値段のするトレイは厚め重めにできていて、運ぶ手が疲れるというジレンマに…。このトレイは漆なので軽くて薄かったです。そして、普通のトレイは食べやすさ重視で取手がないものが多いんですが、これが日常使いの罠で、トレイを持ち上げにくいんですね。持ち上げるにはテーブルからトレイをスライドさせながらよいしょよいしょと…。でも、重さと取手という2つの問題をこの漆トレイは素材とデザインで解消していました。お迎えするかな〜と迷ったものの、私の自宅にはサイズが大きすぎるのと、華やか黒漆が手出しづらいと思って買ってこなかったんですが、今見返すと、やっぱりSJが言ってたように実用と美が交差するものは、よい！

メニューはほかにもあり、ケーキやら和菓子やら緑茶やらがすべて美しいうつわにのって目の前に運ばれてくるそうです。お茶タイムの時間外にいったのが悔やまれるわ…。特に、私が次回トライしたいとおもったのは、和膳（旅館に泊まると中居さんがお料理を運んでくる小テーブル）にのってくるケーキ＆お茶です。お膳でケーキなんて日本でしかできない！

ところで、同テーブルにいたお客さんが台湾人で英語だったので、私もその方としばらく英語で話していて気づいたんですが、このカフェ、働いている女性ズも英語で話してらっしゃいました。もちろん、東京にはインターナショナルなカフェやレストランだと店内英語というパターンがあるんですが、私がびっくりしたのはここの女性ズのご年齢。推定、私の母以上で英語だったんですね。よく見るとパンフレットやメニューが英語だったので、中目黒という土地柄もあって、not日本語ユーザーのお客さんも多いんだろうな〜ということが伝わる雰囲気でした。思い出してみれば、私の入店きっかけになった、靴をもってでてきた靴下姿の二人も英語ユーザーだったなあ。

台湾人のお客さんが帰ったので、今度は日本語で、働いてらっしゃる方のおひとりと、「好きなうつわで自分がおいしいと思うごはんとお茶を英語で提供するって夢みたいな仕事ですよねえ」などと話していたところ、なんでもご夫婦で海外をまわったり、うつわを集めたりしているそうで、英語で建築のお仕事などもされているそうです。どうりで建物からしてオリジナリティ満載なんだわ…。何時間いたんだろうなあ。その後も用事があったんで離脱してしまったのですが、うつわ、くずし字、英語、家具、建築と話題が尽きず、ずーっと話してしまいました。

あ、行く機会あったらお手洗いもいってみてください。壁紙の色もお膳や欄間の配置も、このカフェにきてよかったなあ！と思えるかっこよさです。

あとは、金継ぎ（きんつぎ）のうつわを見せていただいたりしました。きんつぎというのは、割れた食器を金で埋めて削ってつなげる修復方法です。派手好き政宗が好きだったという噂をきいたので、知識としては知っていたんですが、実物を見るのは初めてでした。（私は、あれは噂というか、政宗の好みは金継ぎにはないと思うので、多趣味の政宗が一応揃えておいたうつわのひとつやふたつ…というかんじなのかなと）なんで、当時の人は金継ぎまでしてうつわをキープしたんですかねえ…。あの時代は、お茶の味は、うつわのかたちに左右されるという、おいおいワイングラスかよ？な解釈がまかりとおっていたそうなので、割れたうつわもなんとかしてとっておきたかったのかもしれません。

中目黒に用事があるときはまた立ち寄ろうと思います。今度はお膳カフェしたい！

（「ネットで紹介してもいいですか」ときいたら、店主が喜ぶと思いますといってくださったので、のせています^_^）

https://www.instagram.com/cafe_chadance/?hl=ja