見出し画像

【今日コレ受けvol.046】テート美術館展で見た2つの光

昨日は大阪の中之島あたりに泊まっていたのだが、Facebookにやたらと中之島周辺の広告が表示されて(これはこれでめちゃくちゃ怖い話なのだが、一旦脇に置く)、大阪中之島美術館で「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」が開催中であることに気がついた。

これ行きたかったんだった!!


久々にTHE絵画を畳み掛けられて圧倒されっぱなしだったのだが、中でも「そういうことだよな」と得心したのが、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーが光と影の関係や球体の反射の仕方を研究した一連の素描だ。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《講義のための図解61:影のついた立方体 [I.通し番号がつけられた遠近法の図」の一葉》
1810-11 グラファイト、水彩/紙
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《講義のための図解63:影のついた様々な形 [I.通し番号がつけられた遠近法の図」の一葉》
1810 グラファイト、水彩/紙
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
 《講義のための図解:二つの透明な球における反射 [II.多様な遠近法の図」の一葉》
1810 油彩、グラファイト/紙


こうした積み重ねがあるからこそ、ターナーの作品に存在する「光」は特別な輝きを放っているのだ。ある種の安心を含んだ敬服の念を抱いた。

そうか、この瞬間のためにあの寒い体育館で練習してきたのかと理解する。
上手くなるためだけではなかった。手に息を吐きかけ温めながら、それでも毎朝ラケットを振り続けた。その自分だけは揺らぎなく信頼できた。

マイナス25度のすっぽ抜け【さとゆみの今日もコレカラ/053】


練習は裏切らない。いや、ちょっと違う。練習するしか上達する道はない、だ。


もう一つ。以前の「今日コレ」で上手い文章と面白い文章の違いみたいなテーマがあったけれど、腰が抜けるくらい圧倒的に上手い絵は、それだけで感動できる、と知った。

ウィリアム・ホルマン・ハント
《無垢なる幼児たちの勝利》
1883-84 油彩/カンヴァス

分かります? 透明って色はないはずなのに、水が透明なのよ。なんなん、この超絶技巧。

宗教画なのもあって、描かれているテーマにはさほど興味はないが、足の筋肉にしろ、子どもたちの表情にしろ、凄まじい画力に釘付けになった。他のお客さんの間を縫って右へ左へ何往復もしながら、ギリギリまで近づいて、石の一粒一粒まで時間をかけて観た。

「今にも動き出しそう」とかそんな生温い話じゃなくて、既に、常に、動いてるのよ。(うまく表現できない、我が筆力の未熟たるや)

上手いは、あるラインを越えれば面白いになる。極限まで筆力を高めれば、何を書いても感動させられる。

そこに到達できる気は全くしないが、今日も一歩でも半歩でも進むために練習を続ける。


毎朝7時に更新、24時間限定のショートエッセイCORECOLOR編集長「さとゆみの今日もコレカラ」。「朝ドラ受け」のように、その日の「今日もコレカラ」を受けてそれぞれが自由に書く「遊び」です。

マイナス25度のすっぽ抜け【さとゆみの今日もコレカラ/053】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?