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コロコロか、ボンボンか、それが問題だ

生まれ育った我が家には、ひとつの呪いのようなものがありました。
各家庭にビデオデッキが普及した頃、家電好きだった父がいち早く購入したのは、後にスタンダードとなる「VHS」ではなく「ベータ※1」でした。ファミコンが一世風靡すると、なぜか我が家にやって来たのは見たこともない「SG-1000II(セガ) ※2」でした。同級生がマリオの話題で盛り上がる中、誰とも共有できない「ハッスルチューミー」のスコアが我が家では競われました。
卵が先か鶏が先か、二度あることは三度あるのか、タミヤのミニ四駆が流行るも、近所の玩具屋で買えたのはどこぞのメーカーのパチ四駆。もはやこの呪いには抗えず、「ビックリマン※3」が流行っていると知りつつ、「ドキドキ学園」という謎のシールお菓子を買い、おまけに当たりくじを引いて「ラキラキ神帝」とかいうビックリマンまるパクリのレアキャラまでゲットする始末でした。

そして私のクリエイティブ人生を決定付けたのが、「コロコロコミック」ではなく「コミックボンボン」を選択した事だったように思います。この頃になると、受動的な環境を超えて自らの意思で王道を外す根性が付いてたように思います。
当時の心境を、いま成熟した大人としてあえて言葉にするなら「コロコロ?あんなドラえもんが表紙のチャラついた本など破り捨てろ!おぼっちゃまくんが下品で面白い?けつの穴からアホーガン※4 突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかい!」みたいな感じです。言い過ぎました。

ボンボン掲載漫画の多くは、王道の二番煎じ感や残念感がとても香ばしく、素晴らしかった。華々しくTVアニメ化されるコロコロの「ドッジ弾平」に対する「爆風ドッジ」、同じくアニメでも人気「ダッシュ四駆郎」に対する「薄すぎてもはやタイトルも忘れたミニ四駆漫画!」など、思い起こすだけでニヤけてくるラインナップです。(私は本気で褒めています!)

ある脳機能学者も、大人になってからの基本的な嗜好や選択は、幼少期に見た親の模倣だみたいなことを言っていました。
私のこれまでの人生の選択を振り返ると、常にこの呪いに沿った選択を繰り返して来たような気がしてなりません。もう少し王道な生き方ができたらなぁ、そんなことを感じつつ、なんとか我が道を模索していこうと思うこの頃です。

※1 ベータ SONYが売り出した家庭用ビデオテープの規格。性能では優ってたらしいけど、マーケットでVHSに負け、絶滅。というか現在ではビデオテープ自体が絶滅。

※2 SG-1000II セガが発売した初代家庭用ゲーム機。流行らなすぎて、逆に今では希少価値がある。残念ながら、実家の機械はとうの昔に壊れ捨てられた。

※3 ビックリマン ロッテのチョコレート菓子。付録のシールが当時の小学生に大流行。商品のキャラクターがアニメ化されたのも当時としては画期的。ウェハースチョコ自体も地味に美味しい。2019年現在でも手を変え品を変え、私世代から小銭を巻き上げ続ける。

※4 アホーガン(やっぱアホーガンよ!) プロレスラーのハルク・ホーガンをアホ化した、柴山みのる大先生の「ごっつぁん若貴ブラザーズ」と並ぶ代表作。下品、暴力、パロディ、何でもあり。「YAWARA」「北斗の拳」など他人様の有名漫画キャラを下品に登場させる荒技は、法律上いまでも心配になる。

※若い方には分かりにくい話題、そしてなにぶん子供の記憶なので時系列がおかしいかもしれませんがご容赦ください!

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