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【BAL】チームを変えた男、Adley Rutschmanとは

皆様こんにちは、BAL担当のもくろーです。

本日は今やBALの顔と言っても過言ではない、MLBのスーパースター候補生であるAdley Rutschmanについて熱くお話させて頂きます。

Rutschmanは何と言っても私自身がMLB、そしてBALに興味を持つきっかけとなった選手であり、本来であれば真っ先にその魅力をお伝えしたかったのですが、中々まとめきれずにいました。
本日はしっかりとその魅力をお伝えできればと思っておりますので、最後までお付き合い頂けますと幸いです。

プロフィール

生年月日  :1998年2月6日
身長体重  :188cm/104kg
出身    :アメリカ合衆国オレゴン州
投打    :右投両打
ポジション :捕手
ドラフト  :2019年1巡目(全体1位)

好きな食べ物:BBQ、寿司、ステーキ
好きな色  :スカイブルー
好きな映画 :ショーシャンクの空に

学生時代

西海岸オレゴン州の出身であるRutschmanは、幼少期には友人と缶蹴りやバスケットボールをして一日中遊んでいるような活発な少年だったそうです。野球に関してもその活発さは変わらず、8歳の頃には彼の父親がコーチを務める大学野球部の打撃練習の打球を追いかけ回っていて、13歳あたりでは将来野球選手になりたいという思いを強く持っていたとのことです。
高校はシャーウッド高校へと進学し、野球を続ける傍らでフットボールでもオレゴン州記録である63ヤードのキックを放つなど、その才能を遺憾なく発揮していました。

一方の野球ですが、捕手としてのみならず投手としても活躍していたそうで、2年生では6試合に登板、防御率1.17を記録しています。もちろん打撃も投球に負けず劣らずで3年生では打率.444/2本塁打/13打点を記録、4年生ではアメリカの野球雑誌であるBaseball Northwest誌によりオレゴン州の高校野球選手として2位の評価を受けるなど、その能力は高く評価されていたそうです。

ドラフトではSEAから40巡目で指名を受けますが入団はせず、「素晴らしいコーチング、素晴らしい街、素晴らしい学校」という理由から出身地であるオレゴン州のオレゴン州立大学へと進学することとなります。
ちなみにこの年のドラフト全体1位は今年LAAでブレークを果たしたMickey Moniak(PHI)になります。

また、学業・リーダーシップ・奉仕・人格の4点全てが優れた学生のみが所属できるNational Honor Society(全米優等生協会)に所属するなど当時からそのリーダシップや人間性には定評があったことが窺えます。

進学先のオレゴン州立大学では2017年からレギュラーに定着し、翌2018年には大学野球の全米選手権であるカレッジ・ワールドシリーズにてアーカンソー大学を破って見事優勝を果たし、自身も決勝戦では3安打2打点、カレッジ・ワールドシリーズ記録となる17安打を放つなど大活躍を見せ、最優秀選手に選出されます。

【2018年成績】
67試合
打率.408/9本塁打/83打点/OPS1.133
※67試合全試合に先発出場
※カレッジ・ワールドシリーズでの17安打は最多記録
※102安打、83打点はオレゴン州立大学のシーズン記録

https://www.ncaa.com/news/baseball/article/2023-06-29/adley-rutschman-oregon-state-baseball-career-stats-highlights-records

この年は日米大学選手権にも代表選手として出場し、津森(現福岡ソフトバンクホークス)や松本航(現埼玉西武ライオンズ)からヒットを放つなど、.375(16-6)の活躍を見せ、ここでも見事MVPを獲得しています。
ちなみに最優秀投手は第2戦で7回16奪三振という圧巻のピッチングを披露した松本航、バッティングチャンピオンは現TEXで今年ブレイクし、オールスターにも選出されたJosh Jungが選出されています。

最終年となった2019年も大活躍を見せ、『Buster Poseyの再来』と評されるなどドラフト全体1位指名の最右翼として大きな注目を集めることになりますが、更に注目度を高めることになったのがドラフト直前の試合で起きた「満塁での敬遠」事件となります。シンシナティ大学との一戦、7回の裏無死満塁の絶好のチャンスで打席を迎えたRutshmanですが、相手の選択はまさかの敬遠。彼がどれだけ警戒されていたかを示すエピソードとなります。

この衝撃的な出来事の3日後に行われたドラフトでは、見事BALより全体1位指名を受けます。捕手のドラフト全体1位指名は2001年のJoseph Mauer(MIN)以来、契約金は810万ドルで当時最高額と彼がどれほど高い評価を得ていたかが分かります。
ちなみに、同期には今シーズンRutschmanと1・2番コンビを組む新人王筆頭候補のGunnar Hendersonkyle stowersがいます。

そんな大注目の中走り抜けたシーズンでは最終的に以下の成績を残します。

【2019年成績】
57試合(全試合出場)
打率.411/17本塁打/58打点/OPS1.326
※出塁率.575はNCAA全体トップ
※76四球はオレゴン州立大学記録

https://www.usabaseball.com/news/topic/golden-spikes/adley-rutschman-named-forty-second-golden-spikes-award-winner-308068362

昨年同様この年も素晴らしい成績を残し、大学野球界での最優秀捕手に贈られるBuster Posey Awardや、最優秀選手に贈られるGolden Spikes Awardを受賞します。
Golden Spikes Awardは過去にはTrevor Bauer(現横浜DeNAベイスターズ)やAndrew Benintendi(現CWS)といった有名選手も受賞していおり、今年はWSHからドラフト全体2位指名を受けたDylan Crewsが受賞したこの賞を受賞し、名実共に大学野球界での最強選手に君臨しました。

余談ですが、インタビューによると大学時代でもフットボールは継続しており、1日の半分は授業とフットボール、残りの半分は野球と非常に多忙な日々を過ごしていたとのことです。フットボールの映像自体はあまり残っていなかったのですが、下記の動画では現在NFLの49ersでランニングバックとして活躍するChristian McCaffreyにタックル決めるなど、野球以外のスポーツでもその能力を遺憾なく発揮していたことが窺えます。

MLB時代

ドラフト後にはBAL傘下で3チームに所属し、初年度は以下の成績を残します。

【2019年成績】
37試合
打率.254/4本塁打/26打点/OPS.774
※3チーム合計

続く2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナーリーグが開催されず、
残念ながら試合出場はありませんでしたが、2021年はMLB公式サイトのプロスペクトランキングでWander Francoに次いで2位の評価を受けました。
この年はAAで80試合に出場したのち、8月にはAAAへ昇格を果たしました。
また、7月開催されたMLBオールスターフューチャーゲームに出場も果たしています。

2021年成績
123試合(AA80試合/AAA43試合)
打率.285/23本塁打/75打点/OPS.899
※マイナーリーグのゴールドグラブ賞受賞

MLBデビューの大きな期待を受けて迎えた2022年はスプリングトレーニングで右肩痛を発症し出遅れてしまいますが、順調に回復を果たすと5月21日についにコールアップ、念願のMLBデビューを果たします。

デビュー戦は本拠地カムデンヤーズでのTBとの一戦、6番捕手として先発出場すると、初回に守備位置へついた際に感極まって涙を流し、その姿が大きな反響を呼びました。

この試合で初安打となるライトへの三塁打を記録すると、その後はレギュラーの座に定着、最終的に113試合に出場し以下の成績を残します。

【2022年成績】
113試合
打率.254/13本塁打/42打点/OPS.801
※デビュー以降87カードで被スイープ無し(〜2023/9/17現在)
※新人王投票2位
※デビュー前:16勝24敗(.400)
デビュー後:67勝55敗(.549)

ルーキーの個人成績としても上々ですが、それよりも素晴らしいのはデビュー前後でのチームの成績と被スイープ無しの記録です。短縮シーズンだった2020年を除いて2018年から連続してシーズン100敗以上を記録していたチームはこの年最終的に83勝79敗と勝ち越し、最終盤までプレーオフ争いをするなど、まさにチームを変える活躍を見せました。被スイープについては23年現在もまだ続いており、その記録を歴代3位である87カードまで伸ばしています。

翌2023年は怪我なくSTを終えると開幕戦のBOS戦で5打数5安打、更にはOAK戦で人生初のサヨナラホームランを放つなど順調なスタートを切り、更には7月に行われたオールスターにプレイヤー投票にて選出され初出場を果たします。
試合では1打数無安打に終わりましたが、前日に行われたホームランダービーでは父親を打撃投手に迎え親子で出場を果たすと、途中で左打席から右打席に変更するという離業をやってのけ、最終的に左で22本、右で5本で計27本のホームランを放ち一回戦で敗れたものの会場を大いに盛り上げました。
そんな2023年の成績は以下になります。

【2023年成績】
142試合
打率.267/18本塁打/71打点/OPS.778
※9月17日現在

全体的に成績を伸ばしていますが、興味深いのは左右別の成績です。

【左打席】
2022年 .280(300-84)12HR .889
2023年 .257(393-101)13HR .747
【右打席】

2022年 .173(98-17)1HR OPS.552
2023年 .291(151-44)5HR OPS.854
※9月17日現在

元々のサンプルが少ないのはありますが、左打席の数字は少しばかり落ちているのに対し、右打席は出塁率が.287から.404へと大きく数字を伸ばすなど劇的に改善されています。オールスターのホームランダービー後に本人が語っていたように、パワーの左打席、確実性の右打席という形で今後も数字を伸ばしていくことが期待されます。
また、今季はNYMから移籍したベテラン捕手のJames MaCcannが2番捕手として安定していることもあってか指名打者としての出場も増えており、首脳陣がリスク管理をしつつ起用しているのが読み取れます。

チームとしては4月にチームレコードとなる月間17勝を挙げるなど開幕から絶好調でしたが、開幕13連勝と同様に絶好調だったTBには中々追いつけずにいました。ですがジワジワとその差を縮めると7月には月間8勝16敗と大失速したTBを捉えついに首位に浮上。執筆している9月17日現在も1ゲーム差でなんとか首位をキープしています。

最後に

本noteを執筆するにあたり、彼の周りの人々のインタビュー動画などを見る機会が多かったのですが、そこから伝わってきたのは彼の人間としての素晴らしさです。
捕手として、選手としての能力だけであれば彼に並ぶ選手は多くいるのかもしれませんが、キャプテンシー等々の人間性を含めると、彼の横に並ぶものはいない、まさにオンリーワンな存在だと私は確信しております。

これから残り10数試合、TBとの白熱した優勝争いも最終盤に差し掛かり1試合1試合落とせない試合が続きます。Rutschman自身は9月に入り少し調子を落としていますが、最後の一踏ん張りを見せてもらい、2014年以来の地区制覇を是非果たしてほしいです。
また、その次には2016年以来のポストシーズンが待っています。カムデンヤーズの熱狂の中で躍動する彼の姿が待ちきれません、そしていつの日か、ワールドシリーズを制し、マウンド上で歓喜の輪に加わる彼の姿を見れることを楽しみにしています。

おまけ

フィールド上では中々見れない、お茶目な一面を知ることができる動画を是非。

参考資料


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