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THE SECONDとバラ色の日々

先日、又吉さんのエッセイ本「東京百景」を読んでいたら、20歳の頃、音楽番組でセットを転換するバイトをした話が書かれていた。

初めて見るタモリさん、眩しく見える出演者、そして THE YELLOW MONKEYが「バラ色の日々」を唄っていたという。

帰り道、あまりにも華やかな世界を見てしまったせいか、東京に踏み潰されたような感覚で六本木を歩いた。

「東京百景」又吉直樹


昨夜、結成16年以上の漫才師による新たなお笑い賞レース「THE SECOND」の事前番組が放送されていた。

「THE SECOND~漫才トーナメント~」
グランプリファイナルの第1試合、金属バット&マシンガンズに密着。(5月15日放送)

勝ち上がり、素直に喜ぶ姿。

芸歴を重ねた分だけ漂う哀愁。

そこには、THE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」が流れていた。

追いかけても 追いかけても
逃げて行く月のように
指と指の間をすり抜ける バラ色の日々よ 

「バラ色の日々」THE YELLOW MONKEY

ゾワッとした。

「THE SECOND」の事前番組は、思っていた以上に感動的な感じに仕上がっていた。

あんまり裏側を見せたり、密着していい感じのコメントを引き出そうとしたり、ストーリーを作って感動的にするのはやめてくれよ……と芸人側はやはり思うのかもしれない。

しかし、お笑いの熱い部分を見せられ、それにまんまとつられて気持ちが高まり、画面の向こうの世界を見入ってしまった。
「THE SECOND」がより楽しみになってきた。

最初に「THE SECOND」が開催されると知った時は、どの程度の大会になるのか、どのくらいのコンビが出るのか、上手くいくのかどうかなーと軽く思っていた。

これまでのステージもネットでその結果を知り、へえーこんな面子になったのか!あのコンビは負けちゃったのか…と思ったくらいで、それほど深くは追っていなかった。

そして、先週行われたグランプリファイナルの組み合わせ抽選会&記者会見。

マシンガンズ滝沢は「うちの子供が金属バットのファン」とのことで「うちでライブビューイングやる」と家族ぐるみで大会を楽しむ様子。西堀は「出場メンバーの中で自分が一番貧乏なんです。報われない奴を救済するという大会の趣旨に、俺たちが一番合ってる! 優勝してタクシーで帰る!」と拳を握りしめて力説した。

お笑いナタリー

ツイッターやお笑いナタリーなどのレポートを見てなんか面白そうだなと、YouTubeのライブ配信アーカイブで改めてその模様を見てみたらこれがまあ面白い。

文章で伝えることの限界を感じざるを得ない、お笑いのやり取りを説明することの難しさったらない、動画で見たらなるほど面白い。

「THE SECOND グランプリファイナル 組み合わせ抽選会&記者会見」(5月9日)

西堀「なんか悪いことしたみたいだな」
滝沢「謝った方がいいかなぁ」
友保「犯罪者顔っすね」
西堀・滝沢「全員犯罪者顔(笑)」
西堀「お前らに言われたくねえよ」
銀シャリ橋本「組織グループみたいな」

組み合わせ抽選会&記者会見

「M-1」の緊張感とはまた違った、新たな賞レース「THE SECOND」ならではの手探り感。

中堅ベテラン芸人の性かサービス精神か、隙あらばボケまくり、ウケたりウケなかったり。
どのコンビもある程度知っているので、それぞれに興味深かったり親しみがわいたり。

MCの銀シャリの柔らかい雰囲気と旨さも手伝い、長々と続く組み合わせ抽選会&記者会見が終始面白くて、1時間40分くらいある動画をなんだかんだ見終えてしまった。

誰かが言っていた、
「THE SECOND」は「M-1」以上にエモい。

エモいって何なんだよとずっと思っていたけれど、最近自分の中に「エモい」という感情が芽生えてきてしまった。
使い方が合っているのかもよくわからない。

「THE SECOND」はエモい。

どこに注目しても面白いし、どこを掘り下げても物語がある。

ちなみに、マシンガンズは結成25年。
THE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」は1999年にリリースされた、24年前の曲だった。


【追記】

「THE SECOND」総合演出の日置さんのnoteによると、「バラ色の日々」の選曲は好評で、大会の最初に決めたのがテーマ曲だったという。

事前番組でも流れているTHE YEROW MONKEYさんの「バラ色の日々」。僕の曲じゃないんですけどいろんな方に「いいね」と言われてすごく嬉しいです。

去年の10月ぐらいにこの大会の総合演出の銘を受け、とにかく色んなことを考えましたが、最初に決めたのがテーマ曲でした。

日置祐貴 note


そして事前番組、2日目もまた熱い。

「THE SECOND~漫才トーナメント~」
グランプリファイナルの第2試合、スピードワゴン&三四郎に密着。(5月16日放送)

小沢さんの「死ねない理由ができたね」という言葉に痺れる。

大のブルーハーツファンとしても知られる小沢さん。スピードワゴンのVTRで流れていたのは、THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」

栄光に向って走る あの列車に乗って行こう
はだしのままで飛び出して あの列車に乗って行こう

「TRAIN-TRAIN」THE BLUE HEARTS

「SIX KICKS ROCK&ROLL」
「MOUNTAIN BANANA」
よく見ると、ザ・クロマニヨンズのTシャツを着ている小沢さん。ブレない。

ノックアウトステージで対決した、2丁拳銃の小堀さんとお揃いの写真。

【結果発表動画】2丁拳銃vsスピードワゴン
ノックアウトステージ16→8(4月29日)

クロマニヨンズ愛対決。付き合いの長い2組の結果発表動画は、またドラマチックだ。

小沢「点数出て、ありがとうございましたって(頭を下げた時に床に)映る顔がちょっと泣いてた」


「THE SECOND」事前番組、一方の三四郎。
舌打ちし、えずき、魂で勝ち上がっていく。

「魂でいったな」
「人生で1番嬉しいかもしれない」

三四郎のVTRで流れていたのは、エレファントカシマシの「悲しみの果て」

LINE MUSICで公開されているプレイリストによると、小宮さんの「くじけそうな時、聴いている曲」らしい。

【結果発表動画】流れ星☆vs三四郎
ノックアウトステージ16→8(4月29日)

こちらの結果発表動画も面白い。
思うところがあるだろうたきうえさんは複雑な表情をしているものの、ちゅうえいさんと三四郎は終始楽しい雰囲気。

三四郎のグランプリファイナル進出が決まり、嘘くさい泣き声を上げる相田さんに…

小宮「M-1優勝した時!ウエストランドが優勝した時の僕!」

三四郎が優勝して、今度はウエストランド井口さんが号泣する世界。
スピードワゴンが優勝して、栄光を掴んだ小沢さんが号泣する世界。

金属バットが、マシンガンズが、ギャロップが、テンダラーが、超新塾が、囲碁将棋が、優勝して………

無数の世界が広がっている。


【追記】

「THE SECOND」事前番組・グランプリファイナルで流れた音楽のYouTubeプレイリスト

  • THE YELLOW MONKEY「バラ色の日々」

  • THE YELLOW MONKEY「楽園」

  • THE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」

  • エレファントカシマシ「悲しみの果て」

  • Steppenwolf「Born To Be Wild」

  • 10-FEET「2%」

  • THE YELLOW MONKEY「SPARK」

  • THE YELLOW MONKEY「プライマル。」

  • OKAMOTO'S「BROTHER」

  • 泉谷しげる「春夏秋冬」

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