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韓国芸能界の「7年ジンクス」から見るアイドルの人生

韓国のアイドル界につきまとう「7年ジンクス」

KPOP歴15年のオタクが、これをベースに韓国アイドルの現状について話してみようと思う。


韓国の芸能事務所は基本的に7年単位での契約である。契約更新が近づいたアイドルのオタクは1年ずっとドキドキヒヤヒヤしている。なぜなら、変わらない状態で契約更新をするのはとても珍しいからだ。7年目となると大体が20代後半だが、女の子はアイドルとして難しくなり、男の子は兵役前後でブランクができる。そもそも毎年何組ものアイドルがデビューする中で、7年以上第一線で活躍することは簡単ではない。年齢的にもアイドルを続けるのか、次のステップを踏むのか、本人にとっても非常に考えてしまう時期だろう。

再契約が叶わずグループとしての実態が無くなってしまう。

それが「7年ジンクス」である。

契約更新を迎えたアイドルの進路


大きく3つに分けてみた。

①全員で契約更新。グループ存続。
②数人は残留。数人が別事務所へ移籍。
③全員契約終了。別事務所へ移籍。


それぞれ詳しく話していく。

①全員で契約更新。グループ存続。

オタクが一番望む道であり、一番実現しない道である。これを叶えたグループは両手で数えられる。グループ活動頻度の減少は避けられないが、個人活動が活発になりいろいろなところで推しを見れるメリットもある。

SuperJunior

SMエンターテイメント所属。13人組でデビューしたが現在は9人(10人)組。脱退組はそれぞれ納得の理由なので広く認知されている現在のメンバーが揃っているだけで十分満足である。全員が兵役を終え15周年を迎えても活発なグループ活動を行っている。個人活動も盛ん。スジュがこうなると思っていなかったのでびっくりだし超嬉しい。ベテランドルなのでバラエティもMCも超安心して見ていられる。近所のお兄ちゃんみたいな。

BTOB

CUBEエンターテイメント所属。7人組だったがつい先日いろいろあって6人組に…。現在は2人兵役中。契約更新の報告はニュースでもなんでもなく、生配信中(しかも全員でなく4人)に「そういえば僕たち契約更新したね」「それめっちゃどうでもいい情報じゃん」という凄まじい軽さだった。先日のいろいろが無ければ超安定グループだった。。悲しい。6人でも応援しよう。だってKPOPイチ歌うまいし。KPOPイチ頭おかしいし。(芸人)

②数人は更新。数人は別事務所へ移籍。

この場合「解散」と表されることは少ない。また、移籍したメンバーも「脱退」扱いになることなく「グループ名 メンバー名」と表記されることも多い。なのでよほど詳しく見ていない限りは誰が更新して誰が移籍したのかよく分からない。ただし、実際のグループ活動は難しく、残留メンバーのみの活動か、空中分解のような形になることがほとんど。

少女時代

SMエンターテイメント所属。8人中5人は更新、3人は他事務所へ移籍している。更新後、SMの5人で活動した際には「少女時代 G.G」というユニット扱いになっていたのであくまでも8人で完全体である。最近メディアに対して「タイミングが合えばグループ活動をするつもりだ」と移籍メンバーが発言しているので、2022年の15周年かなあ~とのんびり予想している。

B1A4

WMエンターテイメント所属。メンバー5人のうち3人が更新、2人が移籍した。移籍したうち1人は作詞作曲にも携わっていたので、3人で継続するのかな…と心配していたが、3人でB1A4として活動再開している。一応、2人は脱退扱いにはなっていないし、本人も「(活動する)可能性はある」と発言している。

SISTAR

STARSHIPエンターテイメント所属。2017年に正式解散。夏といえばSISTARといわれるほどセクシーでヘルシーな魅力のあるグループだった。2人は契約更新し、2人は移籍をして個人活動をしている。事前に発表して最後の活動を行うなど、珍しく綺麗な終わり方をした。解散したって夏のプレイリストにはSISTARが欠かせないゾ。

③全員契約終了。別事務所へ移籍。

事実上の解散である。きっぱりと「解散」と発表されることは少なく、本人達も「機会があればグループ活動をしたい」「解散ではない」と発言することが多いが、実際には難しい。事務所がバラバラになってもスムーズに活動しているグループを見たことはない。

EXID

BANANAエンターテイメント所属。2019~2020年にかけてそれぞれが契約終了となり全員移籍。契約更新しないことを表明していたので、事実上ラストの活動もそのつもりで見守ることができた。ブレイクまで時間がかかったことと、6年間の活動のうち2年間はソルジが病気治療で活動休止していたことで、存在感と人気が出てきてからすぐの活動終了になり個人的にはとてもとても寂しい。本人たちは「解散ではない」と発言している。

GOT7

JYPエンターテイメント所属。2021年1月に全員が契約終了。大手JYPの中では人気が今ひとつ、という評価も多かったが、メンバー全員の仲が良く、安定感のある良いグループだったと思っている。解散とは言っていないが事実上の解散と捉えて良いだろう。それぞれの進路はまだ正式に発表されていない。

レジェンド「神話;SHINHWA」


神話というグループをご存じだろうか。1998年デビュー、23年目のアイドルグループだ。

元SMエンターテイメント所属。割と早い段階で全員が移籍したが、その後個人事務所を設立。商標権争いでしばらく裁判していた。グループ活動はメンバーが共同出資した個人事務所で、個人活動はそれぞれの所属事務所でマネジメントとなっている(韓国ってこういうの有りなんだよね)。グループ活動こそ少ないが、一度もメンバー変更のない、レジェンド的存在である。

ねえ凄くない?韓国にこんなグループ居るの?って思わない?

私が本当に凄いと思ったのは、「神話」という商標権を争った末にしっかりと勝ち取ったことだ。
実は、2010年代に人気を博したBEASTというグループは2016年に独立したが商標権交渉がまとまらず、現在はHighLightに名前を変えて活動しているという事例もある。法律などには詳しくないが、商標権獲得は簡単ではないのだ。

この裁判は少し複雑なので簡単な説明とさせていただくが、

当然ながら、「神話」商標権はSMエンターテイメントが持っていた。

全員で元SMスタッフの事務所へ移籍(以下A:2003年)
SMからAへ商標権が貸与されるはずが、実際にはBという会社へ売却された(2007年)

A、経営難により神話マネジメントが不可能になる

神話個人事務所設立後(2011年)
商標権獲得のためBに対し裁判を起こす(2012年)

神話、「神話」という名前を取り戻す(2015年)


神話が「神話」を取り戻すまで、彼らは「神話」という名前を使わずに活動し、個人事務所名まで変更していた。(事務所名に神話という単語を入れていたため、無断使用認定の予防策である)そして、何よりこの一連の騒動で一番尽力したのはリーダーであり事務所代表のエリックである。自ら法律を勉強し、何度も弁護士に会いに行って、自分たちが「神話」を掲げられるよう努めあげたのだ。

神話が完全に神話のものになった時点で、デビュー18年を迎えていた。
7年以上活動を続けることが珍しく、難しいことはすでにご理解いただいていると思うが、神話に関しては移籍や独立の際に多少のブランクはあったものの、今でも1~2年に1回はグループ活動を行っている。(直近は2018年)

誰一人「神話」を諦めず、「神話」であることにこだわった彼らはまさにレジェンド。

今第一線で活動している若手アイドルが目標として神話をあげることもあり、韓国音楽界でも長くグループ活動ができることを証明している。オタクとしては、こうしたグループが一つでも多く誕生し、活動頻度が減ったとしても「長く続ける」という選択肢がはっきり見えてくると良いなと思っている。

アイドルはなぜ移籍するのか


この問いに対する簡単な答は、
韓国の芸能事務所は、得意分野にものすごく特化しているから
である。


日本ではソニーミュージックという事務所に歌手が居たり、俳優が居たり、モデルが居たり、お笑い芸人が居たりする。もちろん、吉本興業のようにお笑いに特化したり、アップフロントのようにアイドルに特化している事務所はあるが、進路変更しても事務所を移籍する方法はメジャーではないだろう。
例えばハロプロを辞めたアイドルは、アップフロントに所属したまま女優やタレントの道に進むことが多いのではないだろうか。


そもそも韓国の芸能事務所は今や「1グループに1事務所」と言ってもいいほど大量にあり、経営やマネジメント力に余裕がない。三大事務所と言われるSM、JYP、YGや、俳優が多く所属しているSTARSHIPなどを除けば、アイドル1~2組しか所属していないような事務所がゴロゴロある。


イコール、所属アイドルが俳優業を頑張りたいと思っても、それをサポートすることが難しい環境なのだ。となれば、事務所を移籍するという選択肢が自ずとメジャーになってくる。


もちろん他の理由もある。契約更新シーズンに事務所と本人が話し合いをし、それからのビジョンがかみ合わないこともある。そうなれば三大事務所のように余裕ある事務所でも退社し、ビジョンを共にできる事務所へ移籍するのだ。

アイドル時代に望むこと

あくまでも現実を見すぎたオタクの意見だが、アイドルにはアイドルであるうちに次のステップへの準備をしていてほしい。

5年目を超えたくらいのグループはそれぞれ個人のキャラが確立し、個人活動が増える子もいる。

バラエティが得意な子、モデルとしても活動できる子、俳優業が順調な子、ドラマOSTをソロで歌う子、音楽制作をする子…そういった目に見える個人活動をしている、もしくは想定できる子であればグループとして7年ジンクスを越えられなくても一人の芸能人として安心だろう。

でも中には、この子グループ活動無くなったらどうするんだろう?と不安になってしまう子もいる。グループだからこそ映える子というのが必ずいるのだ。そういう子はソロでの歌手活動をしても正直イマイチだし、世間の知名度も低かったりする。

韓国に住んでいれば小さい仕事もキャッチアップできるが、日本にいたままではなかなか難しい時もある。どこで何しているか分からなくなってしまうのだ。実際、あのグループに居たあの子、まだ30歳過ぎだろうけど何してるんだろうな…と思ってしまうことが多い。

だからアイドルにはできるだけいろんなことに挑戦して芸能界での居場所を確立していってほしい。


ファンとしてのあり方


7年ジンクスをベースに韓国におけるアイドル活動について綴ってきたが、ファンとしてどのようにあるべきか。これは私も未だに分からない。

推しグループは契約更新の音が聞こえ始めている頃だが、「この子達なら続けそう」「更新しない子が出てくるかもしれない」という希望と諦めの繰り返しである。


でも諦めの気持ちを持てることは、10年以上たくさんのKPOPアイドルを見てきたからであり、決して悪いことでは無いと思っている。

だって、それが現実だから。


続けて欲しい、続くだろう、と希望だけを持っていたら、ソレが叶わなかったときにボロボロのメッタメタにされてしまう。SNSでよくあるハッシュタグに存続を希望する言葉を連ねた活動をしてしまうのだ。個人的に、私はあれが好きじゃない。

いろんなアイドルが好きだし推しも沢山いるが、一番応援している推しグループが無くなったら、また同じくらいの熱量をもってオタクができるか分からない。5人の東方神起を失った時のように茶の間に戻ってしまうかもしれないし、KPOPすら見なくなるかもしれない。それくらいに今が私のピークであることを自覚している。


そんな未来が待っていると分かっていても今応援することを辞められないし、結局オタクはお金を落とし、世間へ宣伝することくらいしかできないのだ。

夢のないことを!と言われるかもしれないが、アイドルはビジネスだ。応援する側はしっかりとお金を落とさないといけない。だって、彼らそのお金で生きてるから。

KPOPアイドルはオタクも含めて、決して将来安泰ではない。

では、また。

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