やなぎなぎ 10周年記念ライブ -Roundabout- vol.4に行ってきました

いつもの浅い解釈拙い記憶で書いた感想というかなんというか…です。どうぞ御手柔らかに…。

夏織ちゃんがゲスト出演する報せを受けて二週連続になる関東遠征を敢行。人生初のやなぎなぎさんのライブだった。渋谷に来るのは3月の竹内アンナさんのライブ以来。SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにはもちろん初めて訪れた。

楽曲の予習はアルバム、Roundaboutのみ。あとは夏織ちゃんが出演していた関係で知っている程度でお邪魔した。

会場は300席クラスの小規模ホールだったが、渋谷ピカデリーを改装した映画館のような座席にゆったりと身を沈める。外は呼吸も苦しくなるような灼熱地獄だったが館内は寒いほどよく冷えていた。若者は元気に道玄坂を行き交っていた。

パーカッション、キーボード、ギターの3ピース構成で、キャンドルと小テーブルがいくつかあるシンプルな舞台。背景は暗幕でスタンドの固定LEDウォッシャーが4灯、ステージに後方にいる以外はシンプルな舞台。ちなみにフォグマシンは1台で、サーキュレーターがなかったのでちょっとムラができていたよん。

昼の部は2階最前列から。ステージ上の動きが手に取るように見えて結構好きな座席。基本的にバトン上のライトだけが動いていて小道具や楽曲と連動したライティング。Roundaboutがライブテーマなだけに、○のダボをよく使っていたのと、長方形のダボを5つフロアに重ねまり、暗幕に斜めに映し出して窓から差し込む光みたいに使っていた。あと箱付きの照明なのか電球タイプのパーライトがまだたくさん使われていて暖かい雰囲気だったのが印象的だった

サウンドも良質。どくどくというピアノのハンマーの出す音まで気持ちよく聴かせてくれるピアノの音はYAMAHAのMOTIFの音源が一番良い気がする。ギターサウンドも素晴らしかった。エフェクト的にチルチル弾くところもテクニックを見ることができたし、特にpoint at infinityの軽く歪ませたエレキギターの音は最高に気持ちよかった。パーカッションはブラシで叩いたり、素手で叩いたり、スティック手で叩いたりで色んな音の出し方をされていました。あと僕はパーカッションが楽しそうに叩いてるのを見るのが好きなので本当に楽しかったです。

ここからはセットリストに触れながら感想を。

Roundabout
クロスロード
10周年を記念し制作されたRoundaboutを中心に道にまつわる曲のセクション。Roundaboutは信号機のない円形交差点で、交通の流れを止めることなく道と道をつなぐ道路の仕組み。このライブは今年毎月開催されていて、なぎさんが関わってきたたくさんのアーティストの方々が文字通り「連綿と」交差していく場所だ。アーティストの街道を十年間ひた走ってきたなぎさんは、「この街」渋谷の中の交差点で様々なゲストと、その様々なかたち、変化するライブのコンセプトを演じていく。そして隔月リリースのデジタルシングルはファンの人たちが選んだストーリーに沿った楽曲に分岐していくらしい。僕らは夏織ちゃんについていくようにしてその交差点の中に飛び込んだのだった。

モノクロームサイレントシティ
今日もデジは猫のふり
夏織ちゃんに提供した楽曲が「人との距離」をテーマにした曲だったことに触れ、なぎさんも「人との距離」にフォーカスした選曲をしたと明かす。暗転した間に雨傘を取りに行き、足元に臥せていた黒猫のパネルを立ち上げる。傘をくるくると回しながらなぎさんは歌い、1番が終わるとその傘を足元の黒猫に差し掛けてあげるのだった。(その間に猫のパネルはまた伏せられて)2番の歌詞「次の日には傘だけが在って」に静かに表していた。モノクロームサイレントシティに引っ張られるように次に歌われたのは今日もデジは猫のふり。旅に出た猫がデジだったのかどうかはわからない。

宝石の生まれるとき
真っ暗に暗転したステージにテーブルが運び込まれ、テーブルの上には灯台のジオラマ。ステージ上に配置されたキャンドルが灯ると、奥からランタンを持ったなぎさんが歩いてきて腰掛ける。夜は深く、闇は濃く、海と空の境界が見える灯台の袂、少しひらけた崖の上で海を見下ろすような風景を幻視するのだった。
mnemonic
ゆっくりと海に近づいていく。崖の上から遠巻きに海をながめていたなぎさんは浜辺に降り立っている。砂に親しみを覚えて、無数の砂粒の一つになることに安らぎを求めているかのようだ。
アクアテラリウム
水の中は冷たくて苦しい場所だと思っていたら、そこはとても居心地の良い場所だったという安堵を感じるのだ。
この3曲流れは夏織ちゃんも出演した「凪のあすから」に寄り添い、徐々に水に、海に誘われるように、海の中に近づき沈んでいく感覚を得ている。
オールトの夢
この曲はやなぎなぎさんがデビュー前に書いた曲らしいが、この流れで聴き、歌詞に触れていると「凪のあすから」で海の底、繭の中で眠っていたまなかが、美海に連れ戻され、誰かを愛する気持ちに封をされ、自分だけ冬眠させられ、取り残されていた事実に混乱していた時の風景に重なるのだった。

未明の君と薄明の魔法
夏織ちゃんの出演作に関わりが多いことに何度も触れ、ここからは「色づく世界の明日から」のセクション。石原夏織演じる主人公、月白瞳美はモノクロームの世界に生きる女の子で、おばあちゃん琥珀の大魔法で60年前にタイムスリップする。瞳美が写真美術部の面々と触れ合いながら色を取り戻していく奇跡を、エンディングテーマ「未明の君と薄明の魔法」、挿入歌の「color cupsule」で鮮やかに描くのだった。
color capsule
この曲のイントロといい、本当にため息が出るような導入を経て、会場に七色の色が満ちるのはまさに「色づく」の再演だった。

キミしきる
満を辞して夏織ちゃんを呼び込むと、お互いにお互いを褒め合う幸せの無限ループが始まった笑。同時になぎさんの前にはKORGのwavestateかな…37鍵くらいのシンセがスタンバイ。白のワンピースを着た夏織ちゃんはおでこをワンレンで出した歌姫お姉さんスタイルでニコニコと微笑んでいる。二人が目を合わせて声を合わせるところや、シンセを弾くなぎさんの手元をじっと見ている姿はなんというか、可愛かった。
Starcast
なぎさんの弾くシンセで穏やかに歌い出し、「キミと同じことがいいな」ドラムの掛け声で加速するサウンド。今日はなぎさんの歌声に導かれて、二人で歌い分け合っている。生バンドのStarcastはとても楽しくて、じっとして歌っているのにその歌声にもあのダンスのような躍動感を感じるのであった。ここ数年で急激に成長した夏織ちゃんの歌声は、やなぎなぎさんと出会い、背中を見て、顔を見て、声を重ねて輝いていた。

ビードロ模様
夏織ちゃんを迎えたゲストコーナーはラスト一曲。ここで最後に二人が声を重ねるのは、夏織ちゃんも出演した「あの夏で待ってる」のエンディングテーマ、ビードロ模様だ。夏織ちゃんは自分のパートじゃない時も口パクしながら歌い、楽しそうに体を揺らしている。「好きだと言いたい。君に好きと言いたい」と夏織ちゃんに職権濫用で歌わせたとはにかむなぎさん。

Point at infinity
夏織ちゃんを帰すと最後の曲宣言。この曲も「あの夏で待ってる」のOVAのテーマソングになった曲で、夏織ちゃん演じる谷川柑菜を想って書かれた?らしい。そして間奏でのバンド紹介がめちゃくちゃに良かった。特にギターの佐々木さんがキマってて、キーボードの友田さん、ドラムの渡辺さんと「やってんなー!」って顔して笑いあってる姿がめちゃくちゃに最高でおじさんもニッコニコでした。

dream puff
三つ葉の結び目
アンコールはデジタルシングルの新曲。
そしてもう一度「凪のあすから」から一曲。
最初に述べたようにこのライブのテーマはRoundabout、交差点。きょうなぎさんのライブに訪れた僕たちはそれぞれの道、なぎさんとそのファンの皆さんが歩む道、夏織ちゃんと僕らが歩む道に分かれていく(両方と共に歩む人ももちろんいるだろうけど)。

「ひと結び 人を結んで 期待の止まない先へ あすへ行こう 希望乗せていこう」

これからもこの道は何処かで、何度も交差するのだろう。なぎさんが三つ葉の結び目をアンコール最後に選んでくれたことにはそんな想いが込められているのではないかな。

夏織ちゃんをゲストに迎えたRoundabout vol.4では、やなぎなぎさんが夏織ちゃんと、作品と過ごしてきた十年間を凪のあすから、色づく世界の明日から、そしてあの夏で待ってるを通じて振り返るライブだったようだ。やなぎなきさんの足跡の中に夏織ちゃんがいる、ということは僕にとっても嬉しく感じた。アコースティックバンドアレンジで聴かせ、今日初めてやなぎなぎさんのライブを訪れた僕をも優しくその輪の中に迎え入れてくれたことを実感すると共に、改めてそのライブの構成、世界観の演出に感服するのだった。やなぎなぎさんの歌唱力、表現力、音楽に想いを乗せる力はとても素晴らしかった。そしてやなぎなぎさんの楽曲、歌とともに夏織ちゃんが成長していく様も、こうして暑い日にやなぎなぎさんのライブに来たことも、かけがえのない思い出としてまた一つ、胸に刻まれるのだった。

今日もとっても素敵だった。
楽しかったよ、夏織ちゃん☺️

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