見出し画像

わたしが吠えた夜


 ある夜のこと。枕もとの電気スタンドを点けて本を読んでいたとき、『ピンポーン』というインターホンの音が微かに聞こえた。
「今、ピンポーンって鳴ったよね?」
 
 私のとなりの布団で、ブラックジャックを読んでいる王子くん(三男)に聞くと、

「えっ?聞こえた?」
 と、そのまま漫画を読み続けている。

「いや、聞こえたよ。でも、こんな時間に誰か来るなんておかしいよね」

 私は、布団から起き上がり時計を見る。時計は11時を指していた。

 立ち上がって玄関に向かおうとしたとき、王子君が

「待って、ママ。もし泥棒だったら?」
 と聞いてきた。

「確かに。こんな時間に来るなんて、泥棒かもしれないよね」

 私は小声でそう答え、武器になりそうなものを探した。靴棚の中に、海男(夫)が日光江戸村で買ってきた木刀が護身用に入っているのだが、その時はその存在をすっかり忘れていた。

 咄嗟に棚の上においてあった、エアコンのリモコンを掴み、忍び足で玄関へ向かった。

 先ずは泥棒を威嚇しなければならないと思った私は、握りしめたリモコンで金属製のドアを

ガン、ガン、ガン!

と叩き

荒ぶる野生の虎のように

「ガァオォォー!」

と吠えた。


すると王子君が



「ママ、いびきうるさい!!」

と大きな声で叫び、私を揺すったので目が覚めた。夢を見ていたのだ。

私は本当に「ガオー」っと吠えていたらしい。(王子はビビリなので少し泣きそうになっていました)

考えてみたら泥棒はインターホンを鳴らしませんよね。

私の寝言の話に付き合ってもらっちゃって
すみません、(*´σー`)エヘヘ

皆様も、寝言の思い出がありましたらコメント欄にお寄せください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?