カーブ1

北広島のカーブミラーの話

これは2006年にゴルフ場で働いていた時、実際に起きた話

そのゴルフ場は北海道の千歳にあり、自分はそこのフロントをやっていた

フロントは5,6人ほどおり自分と上司以外は全員女性であった

年齢も18〜28歳ぐらい

その中でも一番明るくてムードメーカ的な存在の女性がいた(仮にA子さんとしよう)

A子さんは25歳で北海道産まれなのだが、大阪にいた時期が長いからか

関西弁が特徴の女性だった

ゴルフ場のフロントは朝の忙しい時間帯を過ぎると昼前まで暇となる

その日も昔話やら下らない話で盛り上がっていた

すると話の流れでもってそのA子さんが怖い話をしだした

A子さんは北広島の出身で(場所的に言うと札幌の隣)

そこから千歳のゴルフ場まで車で通っているのだが

北広島には、絶対に見てはいけないカーブミラーがあるという話をしだした

何でもそのカーブミラーを見てしまうと必ず事故を起こすらしい

自分は幽霊だとかは見たことも無いので、まぁ誰かがその話を作ったか

たまたま事故が重なっただけだろうと思っていた

それから数ヶ月が過ぎていつもの様に早朝にフロントの準備をしていると

上司が「A子さん少し遅れる様だから、それまで一人でフロントの準備頼むよ」と言ってきた

自分は「あぁはい分かりました」と言うと

珍しいな、A子さんが遅れることなんて今まで無かったのに一体どうしたんだろう?と思いながら準備をしていた

そこから1時間後ぐらいにA子さんが遅刻してやってきた

いつも明るいA子さんがどうも顔色が悪い

話を聞くと

いつもより早く目覚めて時間に余裕があったので

ドライブがてら会社までのルートを変えて車を走らせていた

その日は曇り空で、走っているとだんだんと霧が出てきて

今まであまり走った事が無い道だからか

その霧でもって迷ってしまったらしい

だから遅刻してしまったらしいのだが

顔色から察するにどうやらそれだけではない様だった

午後になって仕事もひと段落ついて休憩していると

A子さんが急にぼんやりと口を開いた

「実は今日ね、道に迷った時に見てしまったんよ」

自分は意味が分からず「え?何をですか?」そう聞いた

A子さん「前に北広島のカーブミラーの話したやん」

自分「あぁ、はい・・・してましたね」

A子さん「霧で迷っていた時な、そのカーブミラーの所まで行ってしまってん」

自分は元々その話を信じていなかったので笑い飛ばした

ところがその話を聞いたのを境に

周りで薄気味悪い現象が起きるようになった

交換したばかりのフロントの電球がチカチカと点滅して消えたり

ゴルフ場でコース管理のおじさんが足の指を切断する事故が起きたり

フロントに韓国語か中国語を話す女性から意味不明の電話が掛かってきたり(その電話は自分が実際に出た)

夜に出かけようと玄関の扉を開けると丁度目の前を空車表示のタクシーが来て

通り過ぎる時にそのタクシーの後部座席を見ると

長い黒髪の女性がうつむいて乗っていたり(たまたま運転手が空車表示にしたまま走っていただけかもしれないが)

とにかく薄気味悪い事が起きていた

それから数週間後

またいつもの様に早朝のフロント準備をしていると

暗い表情をした上司が

「昨日の夜、A子さんが車で事故ったらしい。

幸い命は助かった様だけどしばらく入院するみたいだから

A子さんしばらく来れないぞ

今日の昼からお見舞いに行ってくるから

後はよろしく頼むな」

余りに急だったのでフロントの皆がシーンと静まり返ってしまった

翌日、上司から詳しい話を聞くと

その日A子さんが車を走らせていると、前の車がえらく遅かったので

A子さんは追い越そうとした

するとその遅い車も同時に速度を上げたので

A子さんは追い越せないまま対向車線から来たトラックと衝突したらしい

上司は苦い顔をしながらこう言った

「A子さん、顔の原型が分からない状態だったよ

本人の為にも見舞いに行くのはやめた方が良い。」


その北広島のカーブミラーは、2年後に撤去された。

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