第5叫 冤罪者の骨粉

––– 散 り 散 り と な れ 我 を そ う し た 様 に 人 々 も

     白 夜 が 幻 想 で あ る と 示 さ れ た 時

   人 の 心 に 闇 が 戻 り 戯 け た 日 常 は 搔 き 消 さ れ る

           慈 愛 を 放 棄 し た 者 共 よ 聴 こ え る か –––


 鮮やかな海岸目当ての観光客が多く訪れる港街アマデウスはジノリ大陸の首都でもある。気温により葉の色を青から赤へと変えるジノリ樹木は、過ごし易い紅桔梗色に染まっており、それらが植えられた並木道の先に、卯の花色がベースで窓枠や扉を瑠璃色にしたアマデウス議事堂が聳え立つ。議事堂では午前中から議会が開かれていたが、この日は上院下院共に議員が疎らであった。人気が少ないのもあり居眠りする議員が目立つ

メディアではアマデウスカラーである瑠璃色のスーツを身に纏い、煌びやかな装飾品を身に付けた年配の女下院議員を筆頭に政権交代を目的とした議員等の熱気を帯びた論戦が続いている。相反して世間の空気は冷ややかで、それらの気温差が大気を不安定にし、徐々に雷雲を肥大させていく。どんよりと、影見に添う様に人々の呪いも存在している。未だ誰も経験した事の無い恐怖と悲劇はその中に潜み、焦る気も首を長くする気も無い。全ての要素に動じず、只々その時に備えていた


真夜中、活気が消え去ったオフィス街

光を失った高層ビルを掻き分け、袋道の先、表札も看板も無い不気味な黒い鉄扉。外側から開けるノブは付いておらず、内側からしか開く事が出来ない怪しい入り口。その奥にフランクリンは居た。鏡で作られたテーブルに鏡張りの椅子、壁や天井は鉄扉と同様に黒い。全面鏡で作られたマスクを付けた黒装束の人物が二人、フランクリンと会話している

『君の事は、エルヴィス氏から、聞いている。我々の、組織に、忠誠と、誓約を、交わして貰えば、君の、願いは、必ず、叶う』

『…その一語一語区切るのを何とかしてくれねぇか、暗示を掛けられている様な気分になっちまう』

『申し訳ないが、我々の、言葉には、大きな、責任が、伴う。一つの、言葉の、言い間違いは、我々と、組織と、君の、運命を、左右する。だから、君の、要件を–––『分かった分かった、続けてくれ。俺は手短に済ましたいんだよ』

『では話を、続けよう。君が語る、“革命”と言うモノが、我々組織の、目指す、方向と、同じであると、言える。だから、今回、君と、こうして、話をする、機会を、作った。…しかし、今、君に、与えられた、選択肢は、二つのみと、なっている。この理由は、エルヴィス氏から、聞いているね?』

『あぁ勿論、聞いてるよ。会っちまった以上誓約を交わさなければ消されるんだろ。それよりも組織の規模を教えてくれよ、本当に力になってくれんのか、それが知りたい』

『正確な、人数は、教える事が出来ないが、我々の、組織は、世界各地に、存在する。だからこそ、何世紀にも渡って、我々の組織は、壊滅する事なく、引き継がれて、来た。会員が、何処に、居るのかは、街灯の色で、分かるだろう』『…街灯の色?』

『街灯が、青色であれば、我々の、仲間が、会員が、その街を、見守っていると言う、事になる。この事は、決して、会員以外に、話しては、いけないよ』『あんたまだ誓約を交わしてない俺に喋っちまってるじゃねぇか』

『何度も、言う様に、誓約を交わさなかった、時点で、君は、ここから、出る事は、無い。手短に、済ましたいと、言ってたね?では、君に、聞くが、我々の組織に、忠誠と、誓約を、交わすかい?』『待ってくれ俺はまだ納得してねぇ、誓約を交わせば本当に革命を起こせるんだな?これだけ確認させてくれ』

『必ずや、我々は、君の、力となる。誓約を、破棄しない限り、世界中の、会員が、君を、守るだろう。それと同時に、君も、会員を、守る義務が、生じるが、組織として、それは、当然の事だ。それは、理解して、くれるね?』『あぁそうだな、ちなみに誓約を交わすって何をするんだ?』

『遺伝子を、一部、預からせて、貰う』『それだけで良いのか?』

『それだけで、良い。どうする、我々組織と、誓約を–––『分かった、交わそう。俺は力が欲しい、そしてその為なら力にもなる』

『嬉しいよ、晴れて今日から、君は、会員の一人だ。さぁ、早速儀式を、始めようか、遺伝子を、戴こう。そして、共に起こそう、革命を。世界を、変えてやろう、我々が。さぁ、こちらへどうぞ、我が組織の、新たな仲間、ボボンガ•フランクリン』


つづく–––

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(о´∀`о)
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【小説】どんよりとした曇り空の下、人々は疲弊している。 格差が広がり、政治不信が募る中、世界の悲劇まで刻一刻と迫っていた–––
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