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一度死んだ。(#私を構成する五つのマンガ)

18年前に私は死にました。2002年7月10日のことです。

職場での事故、それに伴うパワハラで壊れてしまいました。棺桶に入りたくて風呂場の浴槽の中に一日いたり、外に出ない歩かないのだから足は要らないと踵を血が出るまでむしったり。

右手が使えなくなり、それまで培ってきた絵を描く能力がダメになり、人生を絶たれたのだから私は死体です。
そう思って日をやり過ごしていました。

私を救ったのは「たかがマンガ」でした。

1.ONE PIECE「人はいつ死ぬと思う・・?」

どこでONE PIECEに出逢ったのか覚えていません。
ただ、泣ける。
特に藪医者ヒルルクの死ぬ前の言葉

人はいつ死ぬと思う・・?
心臓を銃で撃ち抜かれた時・・・違う
不治の病に侵された時・・・違う
猛毒のキノコのスープを飲んだ時・・・違う!!
・・・人に忘れられた時さ・・・!!

泣ける私は生きている。

私は死体ではなくなりました。

2.NARUTO「オレは生まれながらのバケモノだ!!」

死んではいない、それだけでは人間ではありません。
NARUTOの我愛羅に私は強く惹かれました。
インターネットにはNARUTOの非公式ファンサイトがあって、掲示版で熱い議論が交わされていました。

たとえそれが”悪”だと分かっていても 人は孤独には勝てない

他人とのつながりが新たに生まれ、私は人間に戻りました。彼らとは未だに交流があります。

3.鋼の錬金術師「不自由である事と不幸である事はイコールじゃない」

私は人間、ではどう生きるか?

生きる、ということをくっきりと描いているのがハガレンというマンガだと思います。

そうやって悩んで這いずり回って格好悪くたって生き延びなきゃ
我輩は戦場に残ってその「間違ってるもの」と戦うべきだった!!

私は逃げた人間だ。
私にはまだ表現する手段がある。
私はテキストを書き始めました。

4.銀魂「ギャーギャーギャーギャーやかましんだよ 発情期ですかコノヤロー」

生きることは真剣だが真面目ではなく、どんなにダメ人間でもいいんです。

銀魂の坂田銀時という主人公は衝撃的でした。

俺のこの剣 こいつがとどく範囲は、俺の国だ
つまずき転んだのを石のせいにしたところで、何か変わるか?

まるでシリアスな主人公のセリフ、実際に設定はシリアスなのに、
やることはマダオ(まるでダメなオッサン)、なすことは下ネタギャグ。

生きる道を「人生」にするためには
笑うこと。
笑わない人生に人間性はありません。

5.時のオルフェ炎の道行「なぜ彼女はヒロシマで死ぬ?」

そしてやっと過去を振り返り、
もしもあの時と散々考えましたが、

どんなルートを辿っても
2002年7月10日
私は事故に遭う

そう考えずにはいられませんでした。

それには子供の頃本屋で偶然見つけたこのマンガの影響があります。

本屋には、出会いがありました。
全く知らない漫画家の単行本でしたが、
買って帰り夢中で読みました。
SFが好きだったこともあります。

どんなに過去を改変しても
逃れられない歴史の特異点・ヒロシマ。

私の「あの日」も、消すことはできない過去の特異点。

こうして私は過去を受け入れ、自分の人生を歩むことができたのです。

たかがマンガ。
私はマンガで構成されています。

私はマンガで生きています。


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