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二歳児、逆走の謎

あれは、長崎バイオパークに行ったときのこと。長男五歳、次男は二歳だった。長男も端正な顔立ちの可愛い子だったが、次男は女顔で本当に可愛かった。

バイオパークは、至る所で動物と触れ合える。
餌が各所で売っていて、動物に食べさせることができる。

次男は、よほど面白かったらしい。

鳥の群れに半分埋もれそうになりながら、手いっぱいに握りしめた餌をばらまく。鳥はここかしこでそれをつついて拾い食べる。
その姿が、宝物をばらまく王者のようで、

「拾え!愚民ども!」

とか、思ってるのかねぇ、と、笑っていたらば。

出口が見えるところまで来たら、次男が、何かを言った。
まだ、複雑な文は言えない年なのに、
長めのセンテンスで言ったので、全く意味がわからない。

そして、来た順路をいきなり逆走し始めた!

最近、二歳児が行方不明になった事件があったが、二歳児は意外と足が速い。あっというまに人波にまぎれて姿が見えなくなった。
私の足では追い付かない。パパが走って追い付いたら、

次男は泣き出したそうだ。

そして、パパに抱かれて戻ってきた。

次男が成人した今も、時々話題になる。
あの時、なんて言ってたんだろう?って。
次男は今は、女の子と間違えられた優し気な面立ちはすっかりなくて、がっちり型の男っぽい顔立ち、たくましく成長した。

私「あれ、『俺は帰らない。ママ、ついて来い。』って言ってたから、
ママじゃなくてパパが来たんで泣いたんじゃない?」
と、たずねると、

次男「知らねぇ!」

我が家の永遠の謎である。

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