私がイタリア在住ロシア人(非オタ)にオタク川柳を解説した話その5【投げ銭式・全文読めます】

イタリア在住のロシア人で俳句と川柳が趣味、イタリア俳句協会所属、非オタ、の「Vさん」に、「オタク川柳」を解説した話の続きです。 

その1はこちら→https://note.mu/banawani/n/n0e4e5e83ac47 
その2はこちら→https://note.mu/banawani/n/nd8ce9c6a686b
その3はこちら→https://note.mu/banawani/n/n844a403035c5
その4はこちら→https://note.mu/banawani/n/ncde676258b39 

さて、今回は。 

>8位 ツンデレだ 俺にはデレを 見せぬだけ 松永 智文 
>その川柳は、ブログにあるコメントを読みましたが、意味はなかなか分かりません。もっと簡単に教えてくれませんか? 

「簡単に」は教えられねぇ~~~~!! だって難しいよ、「ツンデレ」! 海外でも、オタクには浸透してるみたいなんだけどなー、「ツンデレ」に「萌える」ってのが。 

だが、ここまでのやり取りで、私は(Vさん、ひょっとして日本文学オタクなのでは?)と感じ始めていた。だって、「俳句・川柳が趣味」って、マニアじゃね? 

そこに賭けた!

以下、メール本文です。参考はウィキペディア・ニコニコ大百科です~。 

「ツンデレ」を簡単に説明することができなくて、また長くなりました!ごめんなさい! 

「ツンデレ」は性格・態度を著す言葉で、 

1.普段は冷淡あるいは敵対的態度(ツンツン)だが、二人っきりの時は過度に好意的(デレデレ)であるという二面性
2.何らかの理由で、ある人物に冷淡あるいは敵対的態度(ツンツン)を取っているが、その人物を元々好きだったかあるいは段々好きになったかで、何かのきっかけでその好意が態度にあらわれてしまう(デレデレ)こと と、

「もともとツンとデレの二面性を持つキャラクター」あるいは「最初はツンであったのにストーリーが進展するにしたがってデレてくるキャラクター」のことです。 

まだ、わかりにくいですね! 

日本のオタク文化では、この「ツンデレ」と言うのは重要な萌え要素なのですよ。 

ただし! 

ツンデレが人気だからと言って、ただそういう性格の登場人物を出してもだめなのです!ツンである理由と描写に説得力がなければ! 

どうしても、Vさんに「ツンデレ」を分かってもらいたいのです!だから、長くなりますが、日本の古典「源氏物語」を例にさせていただきたいと思います。 

「源氏物語」は、すごく巧妙な伏線が張ってある物語なのですよ。
書かれたのは約千年前で、そのころの日本は天皇制で一夫多妻制です。天皇も多くの妻を持ち、天皇の息子を産んだ妻の一族は、宮廷で出世します。
「源氏物語」の主人公である光源氏の母親は、「父親の身分は高いのに、その父親が早く死んでしまったせいで、有力な後見人がなく、天皇の妻としては低い身分で後宮にあがらなければならなかった」と設定されています。 これ重要!
天皇は光源氏の母親のことを他の妻たちより深く愛して、光源氏の母親は後宮でいじめられて孤立します。そして、光源氏を産んでから三年ほどで死んでしまいます。
光源氏は美しく賢い子で、天皇にはすでに男の子がいましたけれど、皇太子候補になるのでは?という問題が起きるのです。だって、母親の身分は低かったけれど、元々の血筋はいいのですからね。ここで母親の設定の伏線が生きるのです。
このままでは政権争いになる、と、考えた天皇は、光源氏に臣下の身分を与えます。
こうして光源氏は、「天皇の息子なのに絶対に皇太子にはならない、美貌で賢い貴公子」となるわけです。絶妙に微妙な立場です。
光源氏がすばらしい人物なので、左大臣が自分の娘を「是非、妻に」と、申し出て、光源氏と左大臣の娘は結婚します。この左大臣の娘が葵の上です。 

ここからが「ツンデレ」です! 

葵の上は、左大臣の娘ですから、周囲から天皇の妻になると思われていて、そう育てられ、自分でもそのつもりでしたから、光源氏の妻になったのが気に入らないのです。だから光源氏にツンツンした態度をとります。光源氏には他に複数の妻がいますから、なおさらです。 

でも、結婚して十年後に子供ができるのですよ。 

光源氏にとって初めての子供で、葵の上はつわりがひどくて心細そうだし、だんだんデレの部分が見えてきて、光源氏は葵の上に愛おしさを感じたりするのです。 

そして出産は大変な難産で、色々あるんですが、難産の末に男の子が生まれて、やっと葵の上は光源氏と心を通わせることができるのです。 

これが「ツンデレ」です!
「ツン」の理由が深ければ深いほど「デレ」の時の愛しさが増す! 

やっと夫婦らしい愛情が芽生えた二人ですが、葵の上は急死してしまうのですがね…。この辺りも、作者、見事です…。「デレ」は物語のクライマックス、そこで死によって二人を引き裂いてしまうのですからね…。 

「ツンデレ」と言う言葉ができたのは十数年前ぐらいらしいのですが、オタク以外にもかなり認知度が高い言葉です。物語としては、千年前からあったのですから、日本人が好きなパターンの人物設定なのでしょう。 

しかし、現実で、そんなに複雑な事情があってわざと「ツンツン」する、なんてことは、そう多くはありません!むしろ少ない!稀です! 

だけど、オタクは現実の女性と交際する経験も少ないですから、夢を見てしまうのですよ。好きな女性に冷たくされても、「あれはツンデレなんだ」と。自分はまだ「デレ」を見ていないだけなんだ、と。永遠に「デレ」は来ないかもしれないのに…。 

ところで、外国では、こういう「ツンデレ」なキャラクターが魅力的に描かれることはないのでしょうか?どうしても思い浮かばないのですが…。
イタリアやロシアではどうですか? 

以上、メール本文でした! 

したら、Vさんはやはり「日本文学オタク」だった!「源氏物語」はロシア語で読んだことあるって!
>あなたのおかげで「「ツンデレ」ということをよく分かりました!現在は、日本語はおもしろい言葉が沢山あるそうですね。川柳の勉強をして、日本の文化や社会などについて、いろいろなことを分かるようになってます。 

そんで、ヨーロッパのツンデレキャラとして
Jane AustenのPride and Prejudice(プライドと偏見)のMister Darcy
ウィリアム・シェイクスピアのじゃじゃ馬ならし
を上げてもらったよ。 

「プライドと偏見」は映画になったらしいけど知らない… 

「じゃじゃ馬ならし」は、確かにツンデレ設定だ!ツンデレ萌えではないけれど、ツンデレ設定ではあると思う! 

と、メールでそんな会話を楽しんだのでした。 

そして、次回が最後、「魔法使い・アニメ」です! 

【その5完・次回 https://note.mu/banawani/n/n1db540e972e7 へ続く】 

・これ以下に続きはありません。別記事で書きます。 

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