無題a

推し曲の備忘録2018.5

いつもお世話になっているしまさん主宰のリスナー会(語る会)に5月も参加してきました。リスナー会の詳細はこちら

私が今回推した曲が三曲ほどありまして…なんとなく文字に残しておきたくなったので、改めてチラ裏的に紹介文を書こうと思います。
こういうのは気が向いた時にバーっと書くのがいいんですよね。


①曖昧じゃない feat 初音ミク / カド丸

ボカロのディスコです。最高です。

ここ数年ずっと言われていることではあるんですが、なんだか最近は特に1980年代音楽へのリバイバルというか再解釈の試みがブームなんだそうです。
近年のvaporwaveからfuturefunkに至る大きな流れとか、国内だとtofubeatsの功績が大きかったりとか、色々影響してるとかしないとか。細かい部分を掘り下げるのが趣旨では無いので省きますけど、流行ってるのはどうやら事実なようです。音楽批評の世界でも80年代音楽は長いこと空白地帯というか…60年代、70年代、90年代に比べて研究が放置され続けてきた印象が多分にあるので、この傾向はなんとも興味深いですね。曲の漁りがいもありそう。

80年代特有の音楽というとシティポップとかテクノ歌謡とかいろいろあります。しかし避けて通れない1つにディスコ音楽があることは間違いないでしょう。というか、ド真ん中ですね。
ディスコ音楽が元々シカゴのパワフルな黒人ゲイ・カルチャーの中で醸成されてきた文化であることは有名な話。ここで重視されるのは楽曲の完成度よりも機能性…つまり、自然と横揺れしたくなるかどうか。踊りたくなるグルーヴを有しているかどうかなんですね。

カド丸氏の本作はわざとらしいシンセ使いとドラム回しが最高で、少々やりすぎなくらいに聴かせた方が踊りやすいグルーヴになることを身体的なレベルで分かってらっしゃるんだと思います。いやぁ…これは素晴らしい。なおかつ、音作りがものすごくクッキリしてて単なるローファイなリバイバルに留まらないのも◎。
極めつけは初音ミクの歌い方ですね。やけに老成しているというか、酸いも甘いもわきまえた”こなれ感”がひしひしと伝わる調教が曲にピッタリです。最高です。

こういうボカロのディスコもっと聴きたいよね?私は聴きたいんだよ。


②Automata feat GUMI /TKN

TKN氏はポストEDM的な音作りを自身の楽曲に落とし込むのが抜群に上手いトラックメーカーで、自分の好みにすごく合うので注目しています。
昨年はtrapミュージック全盛期だったこともあって、そちら方面に傾倒している曲が多かった印象がありました。ので、この方…次の一手はどう来るんだろう?と楽しみにしていたんですよ。いざ聴いてみたら瞬時にノック・アウトでした。いやこれすごいよマジで。

chilltrap寄りのfuturebassかな?と思って聴き始めると、クラップ音がどんどん細かく早くなるお約束のビルドアップパートを通って極上の4つ打ちドロップ(サビ)に展開。ここがいいんですよ…。たぶんbasshouseのノリを参照してると思うんですけど、抜群の緩急ながらあまりにもシームレス?に展開するから全く違和感なく聴けてしまうんですよね。なんだこりゃ。すごい。ボカロが歌声とボーカルドロップ(声を加工してサビでリードシンセ的に使う手法)を自在に行き来するのもお見事。なんとなくシティポップ寄りのネオン感ある艶っぽい音作りも堪らないです。
すごいなぁ… 一皮むけた感あるなーと勝手に楽しませて貰いました。ご馳走様です。

余談ですが、タイトルと歌詞を見てみてAutomataって同名映画を思い出します。この曲のモチーフになっているんでしょうか。
青緑色(!)のカツラを被せられた娼婦ロボットが出てきて結構活躍するんですが、相手の動きに応じて自動で喘ぐ謎の機能が付いてるんですよね。
思い返すとあれ、艶っぽいけどちょっと切なかったな。


③シェイプ・オブ・ウォーター メインテーマ /アレクサンドル・デスプラ


大衆音楽の先端に映画音楽があることは疑いようのない事実ですが、米国映画界…特にアカデミー賞に絡む劇伴事情は最近結構変化してきているそうです。
ラ・ラ・ランドみたいな例が顕著で、過去へのリスペクト…つまり具体的には60~70年代の米国映画に劇伴として良く使われていたようなちょっと古いジャズや懐かしいアメリカンポップスに対する前向きな捉え方がオスカーの選考に加点要素として深く関わっているとか、いないとか…。

結局の真偽はさておき、2018年のオスカー受賞作である「シェイプ・オブ・ウォーター」もそういった空気の影響下にあるのは想像に難くありません。
劇中の舞台が冷戦下のアメリカなのもありますが、甘くてムーディーな劇伴をお腹いっぱいになるまで浴びることが出来るので往年の映画おじさんには堪らないんじゃないでしょうか。
私はなんやかんやでメインテーマが一番好きで、オールディーズにアンビエントな水中浮遊感とハイ・ファンタジーな空気感のブレンドがとてもツボです。少し気になったので調べたら、作曲者のアレクサンドル・デスプラは過去に映画ハリー・ポッターの劇伴書いてたりする方でした。どおりで。納得…。

なんだか興味深いので、今年は映画の劇伴を掘っても面白いかもなぁ…と思っています。新たな発見がたくさんありそう。
とりあえず皆さんまずシェイプ・オブ・ウォーター観てください。めちゃめちゃ良いから。観て。観て。


以上です。一気に書いたので纏まらない文章になりましたが、読んで下さってありがとうございました。

こういう文章書くのはやっぱり楽しいですね。


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