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計画倒産

現在勤めている会社で、オーナー数名を除き、プロパーでは私が最古参であることは先に書いた。創業70年に向かいつつある現在、現2代目オーナー達の引退時期もカウントダウンに入っている。

となると、これまで全く手掛けていなかった社史編纂である。当然ながら、最古参の私にその役目が廻って来る可能性がある。

しかし。私は「提灯持ち」の様な自己自賛の社史など、全く意味が無いと思っている。会社の本当の姿を後世に残すには、恥部も曝さねばならない。

30年以上前、深刻な詐欺事件にあった。ある新興の通販会社に見事に、騙された。手口は、こうだ。弊社の担当営業がクライアントに仕込まれ、偽造の請求書を発行した。現在は完全に管理下に置かれ電子化されているが当時は未だ、手書きだった(現在でも驚くほど多くの企業が、手書き請求書を発行している)。

業務管理の女性を手懐け、請求書用紙と予備の社判を入手する。さらに、新たに銀行口座を設け(これも当時は、簡単に口座が開設出来た)、クライアントに偽造した請求書を送り、振り込ませる。結果、クライアントは多額の債務を負って、倒産する。

加えて、弊社が正当に発行した請求書に対しては、ほとんど、入金が無かった。これだけでも、4億円の欠損が生じた。クライアントは倒産し、偽造された請求書で得た裏金を持って、行方を眩ませた。

弊社の担当営業のうち、主に仕組んだ部長は懲戒免職もうひとりは依願退職。クライアントを相手に長年の訴訟となったが、結果、何も戻って来なかった。弊社の規模で4億円というと、10年近い純利に相当する。

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