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「放題の罠:オールインクルーシブ宿が直面するリアルと対応策」

第1章:オールインクルーシブ宿の魅力と普及

現在、オールインクルーシブの宿泊施設は、旅行を検討するユーザーにとって大きな魅力を持っています。オールインクルーシブ宿は宿泊料金に食事やドリンク、アクティビティや施設利用料が含まれることで、ゲストは追加の支出を気にすることなく滞在を楽しむことができるスタイルの事を言います。この手軽さと予算管理の容易さは、多くの旅行者にとって大きなメリットとなっています。

例えば、大江戸温泉物語グループが運営する宿泊施設「TAOYA」のケースでは、施設のグレード感と使い勝手の良さが顕著で、宿泊客の満足度を高める重要な要因となっています。

以前、TAOYAさんに行ったことがあるのですが、とても整備されていて使い勝手は良かった印象です。TAOYAさんに泊まって思ったのは、「普通に泊まる分では宿泊料金と相応の世界しかない」という感想。

例えば「ディズニーランドで長蛇の列に並んで、アトラクションは4つしか乗れなかったが、また他のアトラクションに乗るためにまたディズニーに来よう!」という感覚はない。なぜならそこまで提供しているサービスが特筆すべき程の高価なものではないからでした。ただ、概ね満足度は高いし、集客は上場の様子だ。ということもあってか、大江戸温泉物語の宿泊泊施設をリブランドさせてTAOYAに変えています。

第2章:オールインクルーシブ宿の課題と解決策

しかし、オールインクルーシブサービスがすべての宿泊施設に適しているわけではありません。当社の指導を無視しオールインクルーシブサービスを中途半端に取り入れた結果、宿泊料金の単価は下がり、利益率は下がり、客層は荒れて、クチコミは悪化したケースがありました。

はっきり申し上げて、オールインクルーシブというのはとても難しいです。お客様の認識の中にアルコール飲み放題、アメニティ使い放題、アクティビティ使い放題などの項目が固定化された時点で、ユーザーからは値下げと同様のある種の数字的そろばんをはじかれてしまい、価格競争はしていないのですが、「放題競争」に陥ってしまうのです。

途中までは、しっかり原価計算されて利益を出すことはできるのですが、途中からなりふり構わない新規参入者が出てきて、高原価競争にさらされるのです。

いやいや、うちはちゃんと計算しているからこんな高級な日本酒を出しても問題ない!という宿もあるかもしれませんが、残念ながら万物の原理原則の法則には敵いません。必ず高原価競争がやってきます。

第3章:オールインクルーシブ宿の未来と持続可能性

私の見解では、オールインクルーシブのトレンドが続くとしても、その流れは恐らく2~3年程度が限界でしょう。しかし、このトレンドによって、お客様に真に愛されるサービスや料理、価値を提供する宿が際立つチャンスとなります。ということで、宿泊業界における競争は「放題競争」から、顧客の心を掴む真の価値提供へと移行していくことが予想されます。

先日集計を取ったところ、当社がサポートする宿のクチコミ平均が5点満点中4.5以上でした。元は3.8点、4.0点のクチコミだった宿は、毎月の改善改善改善を繰り返し4.6点、4.7点取っています。点数を高く取ったから必ずしも集客に直結するとは言いませんが、実際に業績は軒並み向上しています。お客様が本当に満足して、それ相応のお駄賃を頂けるという、至極真っ当なアプローチの正しさを示していると思います。

2024年においてオールインクルーシブサービスを提供することで、一時的に集客が向上する可能性はあると言えます。しかし、長期的な成功と持続可能性を確保するには、お客様に愛されるサービスや喜ばれる料理、愛される価値を提供するしかないと思い、創業から同じことを繰り返しております。

ということで、TIKTOKやインスタグラマーの再生数やいいね!に刺激されてどんどんオールインクルーシブ宿が増えてもらいたいと思っています。そして、当社がサポートする宿の集客がもっと楽になってもらいたいと切に願っております(笑)

このように問題課題解決はその事象を深く考察することで、解決策が見つかります。オールインクルーシブ宿を例に「ガチで再生させる戦略とは?」を紐解いてみました。
と言っても、どんなジャンルでもトップ5%~10%に入っていれば美味い商売にはなります。恐らくTAOYAさんはそのトップに居続けるでしょうが、他はいつか難しい局面を迎えるでしょう。トップを目指しましょう!


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