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村田諒太とロブ・ブラントのWBAミドル級タイトルマッチ

距離をとるロブ・ブラント、それを詰めて寄る村田諒太という構図で始まる1R。ロブ・ブラントの手数は多い。けれど、村田諒太はガードを崩さないし、着々とボディを入れていく。村田諒太の手数も劣らないし、練習の成果を思わせるコンビネーションがロブ・ブラントにプレッシャーを与えているようにさえ見えた。

次第にロブ・ブラントの足が鈍くなる。距離を取りたくても取れなくなってきているように見えた。着々と入るボディ・ブロウが効いてきたのだろうか。2人の距離が近いまま、打ち合うさまなどがひんぱんにあらわれはじめた。村田諒太の攻勢であることを感じ取った観戦者たちのあいだに「これは(村田諒太の勝ちが)あるんじゃないか?!」という、無言・有言の織り混じったざわめきがたちはじめた1Rの後半。

2Rへ。立ち上がり、村田諒太優勢ムードから冷静を取り戻したかのように見えたリングの温度は上がったままだったことを、ぼくはすぐさま知ることになった。ロブ・ブラントはもう距離をとれない。打ち合うと村田諒太のコンビネーションに翻弄される。磨き抜かれたそれが適確に決まる。ガードの隙間をかいくぐって大小のパンチが着々とロブ・ブラントの顔面に入る。ボディにも入る。

ロブ・ブラントは距離を取れない。のけぞればボディが打たれる。ロブ・ブラントは前傾する。前のめりになる。頭を前に突き出し、村田諒太を押し退けるような、つんのめるような格好を見せ始める。正位をとれば、また村田諒太の適確なコンビネーションがダメージを与えてくる。ロブ・ブラントの足はもう動かないし、ブロウのコンビネーションも回らなくなってしまったように見えた。1Rの前半に見られたロブ・ブラントの手数は戻ることがなかった。

そのまま追いやられたリング隅から逃れだすようにしたところを、村田諒太の拳に突き飛ばされるように尻もちをつくロブ・ブラント。カウントするレフリーの指に大きく見開いた眼をむけるロブ・ブラント。

カウントから復帰するも、村田諒太の攻勢はやまない。足が動かないロブ・ブラント。ダメージが深刻そうに見える。ロブ・ブラントは頭で押すしかない。村田諒太に体重をかけるかのように前に出る。距離が開けば叩かれるからだろうか。そうするしかないように見えた。

攻防の波が凪いだかのような瞬間を見せつつも、ロープ際で被ダメージを重ね、コンビネーションをもらい続けたロブ・ブラントに張り付くような距離で観察していたレフリーが割って入って試合が終了した。

興奮しました。いや、興奮しました!


https://youtu.be/Yq95mE1o_iY

ぼくは10分にも満たない試合の動画をいましがたネットで見ただけの野次馬に過ぎませんが、ここに至るまでも含めて、一級のドラマだったのですね。

お読みいただき、ありがとうございました。


#日記 #ボクシング #村田諒太 #ロブブラント #WBA #観戦

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