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健康の手口

10年くらい前の話ですが、奥歯が痛むことがありました。ひとたび痛み出すと、鈍器でぶん殴られたような痛みで30分ほど動けなくなり、実家のソファに横たわってただ痛みがひくのをじっと待つしかありませんでした。そのたびに、情けなくてみじめな気持ちになったものです。

歯医者に行くと、噛み合わせが悪いのだと言われて、プラスチックか樹脂のような透明な素材でマウスピースを作らされました。寝るときにこれをはめて寝ろとのことでした。邪魔だなあと思いながらも、指示に従ってすこし生活を続けるのですが、改善がみられません。

思い切って、父の勧める遠くの医者(といっても電車で1時間半ほどですが)へ切り替えてみると、行ったその日に虫歯だと言われました。え?噛み合わせじゃないの?…ごくシンプルな「原因」に開いた口が塞がらない思いでした。あれだけ悩まされた謎の激痛は、「噛み合わせ」というなんともモヤモヤした理由によるもので、どこかを叩いたからといって明快に治るようなものじゃなかったんじゃないの…?

それから2、3度続けてその歯科医院に通い、金属のかぶせものをまとった奥歯は痛まなくなりました。

そのときに歯科医に勧められたデンタルフロスの使用を、以来ずっと続けています。あのときのような大きな痛みのトラブルはこの10年ありません。

10分かけて丁寧にブラッシングしてもきれいにできないところを、1分未満のデンタルフロス使用できれいにすることができます。歯に何か詰まっても、フロスならすぐ取れます。歯ブラシでいくらがんばっても取れないことが、かつてはよくありました。

「糸ようじ」タイプのものを使っています。好きな長さに切って使う「糸」だけのものもありますが、取っ手のついた「ようじ」タイプのほうが、手軽かつ短時間で済むように思います。

たまに非常時に必要なものってなんだろうと思い浮かべることがありますが、「糸ようじ」は僕が非常時にも持っていたいものの上位に入ります。消耗品だから、世界的な危機が長く訪れるようなことがあるとアウトかな…なんて思いますが、そんなことになったら歯周の健康どころかまず命を守るのが大切でしょうから、糸ようじに頼れるうちは恵まれた生活ができているということなのかもしれません。

食べるという生活の基本の入り「口」となる、顔の真ん中に大きく位置する「口」。話すというコミュニケーションの基本動作の出「口」でもあります。出入「口」が汚れたり詰まったり滞りがあると、代謝に影響します。「代謝」は生物の根幹に関わる大事な要素です。

1分のデンタルフロスがそれを支えるのですから、やらない手はありません。

健康を守る、そんな「手口」。

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