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日陰の人気者

都市にある消灯後の飲食店、その厨房で内装のへりを一瞬ぬらりと光るすばしこくちいさな生き物が走り抜けていく。

ねずみという生き物のことを思って浮かぶ映像ってそんな感じなのですが、これは甚だ僕の勝手な偏見だろうなと思います。

ねずみ的な生き物の歴史にくらべたら、人間の都市生活の歴史なんてうわべだけでしょうから。

そう思うと、ねずみという存在は、ちっともアンダーグラウンドなものではないと思えます。いえ、生息場所のことについていえば実際アンダーグラウンドだったり、地上だとしても狭小物件だったりの住人かもしれませんが、かれらだってまた、いちこの世界の主人公であって何もおかしくないと思うのです。

そういえば、ポケットモンスターというゲームソフトに登場するたくさんのモンスターの中の1ピースとしてうまれた「ピカチュウ」もねずみっぽいですね。それが主役級の人気者になりました。初代ポケットモンスターをこれからリリースせんとするときに、こんな事態を想像した人がいたでしょうか?(いたかもしれませんが)

ぼくが日陰だと思い込んでいる部分があります。光というのは誰かの意図によって当てられるものかもしれないし、天体の関係性によって自然に届いて当たるものかもしれませんが、この世界の「まんまのすがた」を知るためには、光の当たっていない部分に目を配る必要があるであろうと思います。

ねずみという存在が、そうした日陰の部分にあたるものだなんていうこと自体が僕の思い込みであるわけなのですが。そんなことを思うときにはもう、その部分に僕が光を当てているわけなのです。向けられたその光によって、陰になる別の部分が同時に生じていることでしょう。

お読みいただき、ありがとうございました。



#エッセイ #日記 #キャラクター #ねずみ #偏見 #視点 #日陰 #思い込み

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