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Maybelleのばんえい2歳馬通信 2023-12-28(ヤングチャンピオンシップ特別号)


ナナカマド賞からの勢力図の変化

ナナカマド賞は先行して強い競馬を見せたホクセイポルシェだったが、休養を挟んで臨んだ十勝産駒特別はまさかの敗退。ただ、予選はおおむね順当な勝ち上がりで、本戦には面白いメンバーがそろった。その後のAクラス戦も一歩抜けだしたような馬はおらず、引き続き混戦模様が継続中で、今回のヤングチャンピオンシップも、ナナカマド賞同様、どの馬にも勝利のチャンスはありそう。各馬ともに少しずつレース中の課題をクリアしながら成長しており、当日はアッと驚く走りを見せる馬も出てくるかもしれない。

天気と馬場

降雪やロードヒーティングなど状況の変化も影響してか、ここ数週は馬場がかなり軽くなっており、ばんえい甲子園予選のときと馬場状態は変異なる。今開催の前も時々降雪があったようで、水分は継ぎ足されている模様。28日については、馬場水分1.9%と前開催とほぼ同様の水分量だったが、全体的に10秒くらい時計がかかっている印象で、少し重さも出てきている(ただし、28日はD-6~B-6の下級条件戦のみだったため、馬場の重さの影響が大きく出ている可能性はある)。

出走馬短評

※ここまでの経過の詳細は各馬のリンク先をどうぞ※

①アヤノダイマオー 600kg 赤塚J

デビューから初秋にかけては、後ろに構えて自慢の末脚を使うというレース展開が多かったが、馬体が大きく成長したこともあってか、11月頃からは積極的に好位に付け、さらに末脚も使えるという万能型へと成長した。先週の開催は1コースの成績が厳しかったものの、この馬自身は1コースは苦にしないタイプなだけに、それほど大きな影響はないか(28日のレースも1コースの馬が連対している)。メンバー的に、前半早くなりそうなだけに、好位~中団辺りに付けて、自慢の末脚を披露する展開を狙いたいところ。

②ウルトラコタロウ 600kg 藤本J

第1回能力検査で2番時計を出すなど、デビューから期待を集めていた馬。ただ、デビュー後は、前半掛かり気味、下ろしてのんびりと、2歳馬らしい気性もあり、突き抜けた強さを示せていなかった。ただ、特別戦で斤量も重かった十勝産駒特別では、好位から障害を安定して上げると、最後に競られても集中を切らさず走り切り、ようやく本領を発揮することができた。前走も安定感のある走りをしており、ここにきて持っている能力を出す準備が整ったか。スピード勝負というよりは、最後みんなが苦しくなるような場面で強さが生きてきそう。

③トカチヒロ 590kg 菊池J

デビュー当初から、後肢の力が強い走りが印象的で、スタート抜群、障害上手で、レースセンスの高そうな走りをしていたが、最後に集中力が欠けてしまう課題があった。そうしたなか、夏から秋にかけては、好位に付けて最後まで息をもたせる競馬を覚えてきており、釧路産駒特別では最後わずかに差されたものの、この馬にとっての理想的なレースができた。好位からのレースが理想だが、前走は少し控えたレースも試し、いい差し脚を使っていたので、前・後どちらの展開になっても対応できそうなタイプ。

④クリスタルイプセ 580kg 金田J

デビュー当初から牝馬ながら恵まれた馬体で、安定感のある走りをしていた。牝馬OPいちい賞ではスムーズな第2障害から、良い伸びを見せ、スマイルカナを抑えて1着となるなど、力のあるところを度々見せている。いちい賞後のレースにおいて障害で膝を折ってしまったことで、少し障害に対して苦手意識をもってしまった印象があるものの、休養を挟んで着実に走りを戻してきた。この世代の牡馬は瞬発力タイプが少ないだけに、障害をすんなり下ろすことができれば、牝馬らしい伸びのある末脚が大きな武器になりそう。

⑤ディーホワイト 590kg 長澤J

スタート後の加速が素晴らしく、パワーに長けている印象のある馬。前半飛ばしても、第2障害はほとんどミスなく上げており、運動神経の良さも感じさせる。デビューからの課題は、最後に気持ちが切れて一息入れてしまうところ。ただ、レースを重ねる毎に一息入れるタイミングはだいぶゴールに近づいており、休憩なしで走りきれるのも近そう。前走は少し控えるレースも試していたようだったが、やはりこの馬の良さは逃げてこそ。ここの所の軽めの馬場も、この馬には味方しそう。

⑥グランドスターダム 600kg 西将J

デビューから行きっぷりのよい前向きな走りが印象的で、一貫して先行して最後まで粘り込む走りをしてきた。当初は、前半かかって騎手とケンカしてしまったり、最後に息切れしたりのシーンもあったが、最近は騎手の指示を聞きながら先行したうえで、最後までしぶとく粘り込む力強さも身に付いてきた。今回は同型が多いレースになりそうだが、重賞の重たい斤量も苦にしなそうなタイプなだけに、ハイペースからの最後に体力勝負となれば、この馬にとって望む展開になりそう。

⑦ミチシオ 600kg 中山J

能力検査のときから、上手な走りが目立った馬で、3連勝を含む6勝は出走馬のなかで最多勝利。ナナカマド賞では1番人気となるも、1コースも影響してか、少し行き脚がつかなかったような印象で、初めて大きく負けてしまった。その後の北見産駒特別は格の違いを見せつけて勝利したが、その後2戦は前半からやや後の位置取りとなり、第2障害を越えてから前を捉えられないレースが続いた。手代わりの影響、ハンデを見越した賞金の調整などもありそうだが、力のある馬だけに軽視は禁物。

⑧ライジンサン 600kg 鈴木J

第2回能力検査で2番時計を出すなど、もともと素質の高い馬だったが、当初は少しのんびりとしたところがあり、他の馬に合わせてついて行くようなレースが多かった。しかし、釧路産駒特別では自らレースをつくる積極的なレースをすることができた。前走に鈴木Jへと手が代わっても、釧路産駒特別と同様のレースができたところなどは、馬が勝ち方を覚えた(レースの目的を理解した?)ような印象を受けた。秋から馬体がグッと大きくなっているが、ひと開催休みを挟んでの馬体のさらなる成長度合いもチェックしたい。

⑨コトブキテンザン 600kg 渡来J

デビューから、とにかく元気いっぱいの走りをしており、その前向きな気持ちを大事にされながら、ここまで育成されてきた感じ。スピードに長けており、障害で少しミスが出たとしても、それをカバーできるだけの脚力もある。以前は逃げ中心の戦法だったが、前走では、前半飛ばしすぎず、いい位置でレースをすることができるようにもなってきた。同型の多いレースになりそうだが、前目の位置取りから落ちついて障害を上げ、粘り込みを図りたいところ。

⑩フレイムファースト 600kg 島津J

能力検査では気持ちの若いところが出ていた馬だが、デビューしてからのレースの走りは優等生。小柄な馬体ながら、障害も安定して越えるなど、レースのセンスも高い。最近は馬体も900kgを越えてきたこともあって、南北海道産駒特別では、激戦のなか、最後まで粘り強い伸びを見せた。重たい斤量でもジリジリと伸びそうな印象で、前に行った馬が苦しくなるところを、最後じわっと交わせる位置で競馬をしたい。
(注目馬に入っていなかったため、ここまでのレースの記録はありません)

展望

グランドスターダム、コトブキテンザン、ディーホワイトと、スタートダッシュが得意な先行馬が3頭もそろった一戦で、ハイペースの消耗戦になりそう。ここにライジンサンやアヤノダイマオー、ウルトラコタロウ、トカチヒロなどが続いて、少し脚を溜めたいクリスタルイプセやフレイムファーストはじっくり構えるか。また、ミチシオはここ数戦は後からのレースとなっているが、それまでは好位で走れていた馬なだけに、しっかり押して行くのでは。第2障害下ろしてからのビュンと言う切れ味はアヤノダイマオーやクリスタルイプセ、長く粘り強い脚が使えるのがライジンサンやグランドスターダムのイメージ。トカチヒロとディーホワイトはわずかに軽い斤量を活かして粘り込みたい。

なお、前々日(12/28)の馬場水分量は1.9%、一番上のクラスのレース(B-6)の勝ちタイムは1:45.3。全体的には、まだ軽さが残り、逃げ先行勢が有利な印象がある。昨年、一昨年のヤングチャンピオンシップは、勝ちタイムが1:06.5(2.2%)、1:08.7(2.7%)と超高速決着だったが、このときのB-6クラスの勝ちタイム(2022年)が1:31.9だったことを考えると、今年の決着タイムは1分20~30秒程度と予想したい

Maybelleのヤングチャンピオンシップ注目馬

◎ライジンサン
○アヤノダイマオー
▲ウルトラコタロウ
△グランドスターダム


釧路産駒特別で大きく成長、意欲的な走りを評価して本命はライジンサン。対抗は万能型のアヤノダイマオーに。単穴は成長力に期待してウルトラコタロウ、グランドスターダムは先行から粘り込みを狙う。

年末の御挨拶

今年もMaybelleのばんえい2歳馬通信にお付き合いくださり、ありがとうございました。
”頑張る2歳馬が愛おしい、頑張る姿を見て応援したい”
この気持ちをこれからも大事にしながら、2歳馬たちを追いかけていきたいと思っています。そんな気持ちを少しでも皆さんと共有できたら嬉しいです。
そして、毎週楽しく観戦を続けていられるのも、いつも頑張る馬たち、そして日々の調教やお世話をしてくださる関係者、生産者の皆さんなど、ばんえい競馬にかかわるすべての皆さんのおかげです。本当にいつもありがとうございます!

年内のMaybelleのばんえい2歳馬通信はこれが最後、次の第20回開催の前半はお休みをいただき、第4~6日目開催から再開の予定です。みなさま、良いお年をお迎えください!


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