見出し画像

トラッカー集団がカナダ・アメリカ間の橋を封鎖。コレがかなり深刻な事件である理由とは?

カナダは輸出入の約80%をアメリカに依存している。その中でも最も大きいのが自動車産業だ。

アメリカ自動車産業の中心はデトロイトだ。そのデトロイトとカナダを結ぶ橋を、今回ワクチン反対を発端に始まったトラッカーのデモ隊がカナダ側から封鎖した。

武力衝突を避ける為に、いまだ閉鎖されたままだ。この橋では年間6,640億米ドル相当の商品が両国間を移動する。

カナダ最大の産業は鉱物資源である。そして2番目に大きいのが自動車産業だ。

カナダブランドの車がないので意外だと思われる方も多いと思う。カナダ・アメリカ間の関税緩和の協定が結ばれると、デトロイトの自動車の部品工場などが一気にカナダ側に流出した。

カナダの方が人件費などの関係で安く作れるからだ。そして当時、自動車産業はカナダ最大の産業となった。

つまりカナダ最大の産業がアメリカの下請けとなったのだ。後にアメリカがカナダに対してアメリカドルへの通貨の統一、つまりカナダドルの放棄を提案したこともある。カナダ人のアメリカに対する冷たさはこのような経済構造による影響も大きい。

カナダ経済ではアメリカがくしゃみをするとカナダは風邪をひくと言われている。つまりアメリカ経済に依存しているカナダは少しでもアメリカの経済が悪くなるとカナダはもっと悪くなるということだ。

今回の橋閉鎖で車が作れなくなっている。もともと半導体不足で車生産が需要に追いついていないと言われているので、更に自動車不足は深刻になるに違いない。

ちなみにアメリカで製造している日本車も作れない。自動車製造は近年、内燃機関やコア技術意外は部品を共有している。

GMが破綻した時に日本の自動車会社も大騒ぎしたのはそんな事情もある。GMの部品工場が潰れれば、日本車の部品も手に入らなくなるというわけだ。

カナダに関してはGMが破綻したとき、カナダ政府がGMを救うために2億ドルの税金を投入した。

政府が他の国の民間企業に税金を投入するのは私は聞いた事がなかったので驚いた。それぐらいアメリカ企業がカナダ経済に与える影響が大きいと言うことである。

今回のデモ隊による橋閉鎖。デモ隊にとっては大きな攻撃になるが、カナダ政府がデモに屈するとは思えない。

アメリカ・カナダのインフレは現在4%を超えているが、自動車の値段はもっと上がりそうである。

トラッカーのデモ達よ、もっとスマートな方法で抗議してくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?