世界との付き合い方

世界とどう付き合っていくのかはむずかしい。
難しすぎて、いつもうまくいかない。

最近思うのは、私はどうやら世界に対して無害でいたいのではないかしらということ。

宮沢賢治という人が私にとってはすごく大きな存在なのだけれども、その中でも雨ニモマケズには思い入れが深い。ここでその内容には触れないけれども、幼少のころに初めて目にしたときには何も感じなかった。社会に出て、異性を知り、自分の子供ができて、親を悲しませて、そうしてそれから目にしたとき、所詮は記号の羅列でしかないはずのそれらの言葉は、私の中になにか特別なものを落としていった。

私は常に、誰かのために働いていたいし、誰かを幸せにしたいし、逆に言えば誰も傷つけたくないし、誰にも涙を流してほしくはないのに。
その思いとは裏腹なことばかりやっては人に迷惑をかけていて。
それは今でもやっぱり続いていて。

誰かを幸せにしたいというのは、欲なのだろうか。

私は、欲張りすぎたのだろうか。

わからない。

それでもなにやらひとつ確かなことは、やはり誰かを幸せにしたいというのは私自身の欲であって、それを根底に置いて行動している限りはこれまでのくりかえしになるのだろうということ。

無欲であり続けることは恐らくできない。難しいとか、簡単とか、そういうことじゃなくてできないことなのだと思う。それでも無害であり続けることはできる気がする。両者は似ているけど、決定的に違うものなのだと今は思う。

しかしそれでも――

本当の意味で無欲になれた状態を、私は目指してみてもいい。

きっとそれは、宮沢賢治が見ていたものと、近いもののような気がするから。


以下、青空文庫の雨ニモマケズ

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html


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