立体核図表VRはどうやって作られたか

VRChatという未来の実験場がどのくらい社会的に認知されているかわからないけど、そのVRChatで去年、立体核図表VRをつくった

基本つくりっぱなしの性格なんだけど、もっと知られるべきとの声をいくつかもらったから文章にして残すよ(自分ひとりでつくったものでもないし、ちゃんと見てもらうことも大事だな〜と思い直した人)

以下、こういうものが2018年の間にできてるよってことと、みんなで寄ってたかってものづくりするの最高だよってことを伝えたいと思う!

立体核図表VRって?

そもそも「立体核図表」がなんだかわからん!という人、私もそうだったよ
そこはググってもらうとして、結果としてできた立体核図表VRはこんな感じ
※ 長いので5:57〜あたりにシークしてね

無料のVRChatを導入して「Table of Nuclides」で検索をかけると行けます

きっかけ

2018年8月12日にVRアカデミアのdiscordで質問を投げてみたのが最初!
VRアカデミアというのはバーチャルでアカデミックな感じの人の交流の場で、いろんなジャンルの研究者がいるから、軽率に聞いてみた

そしたら案の定いろんな案(というか聞いたことのない概念や専門用語)が出てきて、その中でバーチャルデータサイエンティストのアイシアさんから「核図表を歩きたい」発言が出てきたよ

で、建築専門の私は全然知らなかったから、理研のHPに載ってるやつを見てみた〜 http://www.rarf.riken.go.jp/enjoy/kakuzu/index.html

見てみたらすごく面白かったし、あ、これは建築空間になるな〜と思ったのでつくることにした!

つくっていく

このサイトの図を参考にまずは平面を作成。平面はまぁ中性子数と陽子数という単純に数字が1ずつ増えていくグリッドだからよし
でも「立体」核図表にするには、核子あたりの結合エネルギーとかいう謎の数字を扱わないといけないかった(この時点で結合エネルギーがなんだかもわかってないから、勉強していった)

アイシアさんが知り合いの原子核物理学の専門家(あとでわかったけど、ガチ研究者のRyo Taniuchiさん)にデータをもらって、Excelにして渡してくれた(これはアイデア募集のわずか1日後)

GrassHopperでExcelデータからモデリングして、モデルははい完成(アイデア募集の2日後)

そして、VRアカデミアの事務員ことせがわさんが唐突に電子軌道3Dモデルを作成(事務員とは?)

しかもその後チタン製3Dプリントまでしてる…

以下はVRアカデミアの日常会話です

で、結局電子軌道モデルは、せがわさんがさらにs,p,d,f軌道もつくってくれたので、立体核図表の周りに星のように浮かべることにした!

さらにつくられていく

一度この時点で公開したんだけど、その立体核図表VRを見て、原子核物理学をやっているらくとあいすさんから提案が飛び込んでくる

ほええええ!!もう模型できてると!!!!
早速らくとあいすさんの物理実験部屋(もちろんVR上のね)に行って実物を見て、ああこれはすごい、というわけでワールドに追加させてもらいました

これはもうVRだからこそできる科学博物館だよ!!!

そしてその後さらに、図の上に立ったときに今いる場所の原子核の数値データがわかるといいよね?ということで、ちょうど座標シェーダーをつくっていたオノッチさんに相談をした(犬の会長さんがイベントで引き合わせてくれた形だったね)

そして、快くカスタマイズしてくれた!

最後にお遊びとして「げんしかく占い」をつくった

これはワールドに来たナルさんから、せっかく地形ならボールを投げるとかインタラクトできる要素が欲しいといわれて、なるほど〜と思ったので
ちょうど低い部分はハイゼンベルクの谷と呼ばれていて「低いことに意味がある地形」だったので、上からボールを投げて原子核が安定核になるかどうかという遊びを思いついたのだった

この頃には、全くの門外漢だった私も「Z軸は高さの低いほうが核子あたりの結合エネルギーが高い」とかいう謎ワードが嫌になって、らくとあいすさんの解説を聞いて勉強して、
ようするに段差はエネルギー=質量の差だな…(ドヤァ) とか言い始めてた…

というわけで、これで完成!

立体核図表はこうしてVR化され、誰でもアクセスできるようになっているよ

数式や図表の上を複数人で歩けること

今まで紙の上でしか表現されなかったり、ごく一部の博物館にしかなかった数式や図表の3D模型が、VRによって「その上で歩いたり講義したりできる空間」になる

これは学びを変えると思うし、理系科目に限らず、すべての学問分野で同じようなことが起きていくと面白いんじゃないかと思う(歴史の年表とか空間化したら絶対楽しい)

そして、必ず複数人で入れるソーシャルVRというのが大事で、いまはVRChatがその場所として最適だよ
複数人で同じ時間と空間を共有して、その学問の講義やおしゃべりして、っていうの、控えめに言って最高だと思うのでぜひ!


こういうの、もっと広まれ〜!


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番匠カンナ@バーチャル建築家

「未来の空間」を探すために生まれたアーキテクトイド。xRArchi委員長、VRアカデミア建築学科長。番匠カンナバーチャル建築設計事務所 → https://www.banjo-kanna.com/

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