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【サンスポ】オリックス西の移籍「飛ばし報道」、もう止めませんか?

今回は具体的に名前を挙げてしまいますが。。
サンスポがオリックス・西勇輝のFA移籍について、飛ばしに飛ばしまくっています。

初報がこちら、11月28日の記事。「西、阪神入り決断!」と大々的に報じています。

しかし当日の朝、西は自らのブログでこの報道について全否定しています。

これを受けたサンスポの続報記事があまりにも見苦しい。

「阪神入りを決断している西」なんて書き方、よくできると思いませんか?本人否定しているんですよ?

これ、サンスポというか、弱小新聞社がよくやるんですよ。決まってもいないことをあたかも決まったかのごとく先んじて報じる。もしくは既定路線で、現場では誰もが知っている情報をあたかも「スクープ」かのように報じちゃう。こういうのを「飛ばし」といいます。

プロ野球において、選手や監督の去就は大きな「抜きどころ」の一つです。それが注目度の高い有名選手であれば尚更。西がそこまで「飛ばし」に固執するほどの選手かというと疑問ですが、各紙が競って情報収集に勤しむニュースであることには間違いありません。

我々報道陣は、良いか悪いかは別にして、少しでも早くニュースをお届けするのが仕事の一つです。発表をただ呆然と指を咥えて待ち、それに基づいて記事を書くだけでいいならロボットやAIに任せればいいだけの話。だからこういうニュースを先んじて報じることは「スクープ」とされ、社内で表彰されたりするものです。

しかし、今回の西の一件は「スクープ」ではなく「飛ばし」です。その違いはどこにあるのか、という話ですが、、、

例えば先日広島から巨人入りを決めた丸佳浩の場合、日刊スポーツを始めいくつかの社は正式発表前に巨人入りを報じました。そしてその日の朝、巨人の原監督や丸本人ら当事者が取材に応じ、自らの口で事実を伝えました。

これは美しい「スクープ」です。なぜなら丸サイドだけでなく、広島や巨人サイドからもきちんと情報を得て、正式発表になるのをわかった上でその日の朝刊で報じているからです。こういう場合、前日の夜には当事者、丸本人や球団幹部に対し、「明日の朝刊で書きますよ」ときちんと仁義を切るものです。

仁義を切るのと裏取りはほぼ同時にできますから、もし情報に間違えがあった場合は「いやいや、その情報間違ってるから書かないで」と止められます。そういって嘘つくヤツもいたりするんですが、その話はちょっと置いておきます。

で、今回のサンスポの件は、西本人はおろか阪神側にもオリックス側にも仁義を切っていないはずです。だからこんなダサい事態になっている。もしスクープを他社に抜かれたら、担当者は朝イチから裏取りや後追いに終われ、上司の大目玉を食らうものですが、飛ばし記事だとわかった場合、現場の空気は一気に白けます。書いたサンスポが恥をかいている状態です。

にもかかわらず、一度大々的に書いちゃったもんだから、「阪神入りを決めている西投手」なんて苦しい書き方で続報を書かざるを得ないんです。

こういうケースは一般紙でもよくあって、例えば閣僚人事なんかは政治部内で大きな「抜きどころ」の一つなので、各紙が正式発表より先んじて報じるのが慣習になっているのですが、もし違った場合、「○○大臣には○○氏も候補に挙がっていたが、○○な事情から見送られた」なんていう苦しい後追い記事でフォローするものです。

今回サンスポがどこから情報を入手したのかはしりませんが、まるっきりの嘘ではないはずです。細かい条件が決まっていないだけで、サンスポの書いた通り本当に阪神入りが決まっているかもしれません。

でも仮にその通り、西が阪神入りを正式に発表したとしても、それは結果オーライなだけであって、当たり外れはさして問題ではない。むしろ西本人や球団サイドへの仁義を切らず、また裏取りをせずに報じた時点で「大誤報」と言っていい。少なくともサンスポ以外の担当記者はそう思っているはずです。

スクープは、ただ単に先んじて報じればいいわけではありません。発表日時や記者会見日時、ブログ更新予定まできちんと把握して、当事者に仁義を切った上で書いてこそスクープなのです。

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