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サマータイムレンダ

明けましておめでとうございます。
久しぶりに興奮を覚えた作品に出会えたので、ここで。

アニメを見る元気もなかったのだが、ここへきていろんな邪念を吹き飛ばす如く見たアニメ

サマータイムレンダ


小西さんも出てるしで、見てみようと思い立ち見始めた―――――
25話あることに若干のテンションが下がったが――――――

実質1日で見終わってしまったほど――――
怒涛の展開・謎が謎を呼び、そして見事回収していく爽快感—―――
キャストの素晴らしい演技と作画のキレイさ―――――――

そう――――――
素晴らしい良作だったのだ。

ざっくりとのあらすじ――――――――


網代慎平は2年ぶりに故郷である日都ヶ島に帰ってきた。
それは家族であり、姉弟であり、一番好きな人—――――――――
潮の葬式に参列する為だった。
葬式の最中に見た不思議なフラッシュ―――――――
妹である澪から聞いた影の話—―――――
島に伝わる蛭子伝承—――――――
閉鎖的な島に起こる怪異を目の当たりにし、慎平はその運命に翻弄されていく――――――――――――――






ここからはネタバレを含むので以下ご了承を――――― 

まず初見での感想は、展開の凄さ。
すでに1話で引き込まれる。そして5話目ぐらいにして物語のおおまかなベースは完成され、どうやってここから展開されていくのかと期待せざるを得ない。
普通なら、この展開は折り返し地点で判明したり、展開される物語がわずか5話目で最悪の展開となり、敵の目的が明かされる。

あと20話をどのように展開するのかが、ものすごく気になるし引き込まれる。
ループする世界なのは分かっているが、周回ゲームによくある分岐や行動による結末の変化、前回周回した時の記憶はプレイヤーである現実世界の我々がクリアの為に行動する様はまさに四手が言っていたように2次元の我々が干渉できるように、ハイネのように高次元の存在が3次元の我々を干渉できるなんとも宇宙論的な思考に基づいていると感じた。

多次元宇宙論=物語中では並行世界などと呼ばれているがこれもそうだ。
そして宇宙論を語る上で外せないのが、量子力学だ。
この量子力学は、我々を含む物質すべて、いや宇宙すべての最初単位はこの素粒子と呼ばれる物質でできている。
この素粒子は常に重ね合わせの状態を持っている性質がある。
この現象を分かりやすく説明した思考実験が
シュレディンガーの猫
という思考実験だ。
50%の確率で毒ガスが発生する装置の中に猫が入っている。
この時箱を開けるまでは、死んでいる猫と生きている猫が同時に存在し、開けた時にはじめて猫は死んだ・生きているという結末が分かるというもの。

そして、素粒子の一つである光子は波の状態と粒の状態を重ね合わせてもっている。
何も観測していなければ、波の状態、観測すると粒の状態になるという。
しかし観測者が犬なら波の状態なのだという。
これは観測者の意識が介入するからだと言われている。

四手が慎平に言っていた、ハイネの目を持つ者は世界の観測者となり観測した世界が現実化するというもの。
これは量子力学において、観測されてはじめて結果が決まるという事象。

観測してはじめて結末が決まる――――――まさにハイネの目—―――――

この世は常に表と裏、
善と悪など表裏一体。
これは常に重ね合わせの状態で存在し、観測されてはじめてどちらか決まる世界は素粒子でできているのだから当然だ。

私が思うに、人は意識が強い、時に人の意識は現実をも変える。
それが漫画やアニメで、運命を変えるや奇跡に近い事が起こる
これは決して虚構の話ではなく、現実でもそうなのだろうと思う。

そしてハイネは影を作り、その命令で影たちは動いていたが、また我々の意識も大きな宇宙の意識なのかもしれないし、共有することが可能なのかもしれない。
ハイネは故郷へ帰る事を目的としていたが、そこには時間という概念が存在しない世界。
これは人が肉体を離れ、宇宙へと帰り時間という概念が存在しない次元にいくという示唆なのかもしれないと思った。


次に、キャストの方々の名演技—――――――――――――

四手の声は大好きな小西さんだとすぐに分かった。
演技の仕方ですぐピンときた!!!

それはさておき、主人公の花江くんだが―――――
やはり私は花江くんの痛そうな演技が素晴らしいと思ってる。
喰種の時もそうだったが、痛い、苦しい、という様を表現できる技術が凄まじい迫力だ。これがより一層慎平の覚悟や逞しさを増幅させる。
最初はただ悲痛に殺されていたが、ループする中で想像を絶する痛みを感じつつもそれでも前に進もうとする慎平の心の強さと比例するように殺された方もまた残酷になる。この残酷さがいかに過酷な運命の中にいて、それでも大事な人々を守ろうとする意志、覚悟が手に取るように分かる。

そして小西さんは島の神主の雁切真砂人というひょうきんな役どころと、四手という己の欲求に忠実な人物の二役を演じている。
圧倒的な強さ、ハイネさえも駒のように動かす冷酷さを持ち併せているが、四手は己の欲求に忠実な実に人間臭い人物だ。
永く生きたい、神になりたい、世界の終焉を見たいといった中二病的拗らせを体現した人物だ。
最強で弱点がなく、圧倒的な強さを誇る四手が実は中身が人間でその弱さを影の鎧を纏うことによって隠し、己の殻に閉じこもり、自分の世界に浸るまさに人間臭い人物だ。
小西さんは、こういうラスボス的なキャラクターの中に人間臭さを入れる演技をするのが特徴だ。
そうすることでよりキャラクターの厚みが出て、感情移入しやすくなる。
贔屓目で見ているのもあるかもしれないし、原作を読んだ方なら違う人を想像しただろうとも思うが、私はこの小西さんで正解だと思った。
圧倒的な強さを誇り、驕り高ぶるその様に自身が酔い、それ故に負けたのだと。それは四手の中は何もないのだが、四手は生身の人間だ。その人間臭さが仇となったというのが演技でみてとれた。

小西さんのラスボス感は久しぶりに見た気がする。
けっこうヒーロー的立ち位置の事が多いからね。
こういう役ももっとやって欲しい。そう願わずにはいられない印象だ。

もちろん他のキャラクターに命を吹き込んでくださったキャストの方々の演技も素晴らしい。

ひづる役の三瓶由布子さんは弟の竜之介の二役を演じてその演じ分けが素晴らしかった。
姉ひづるの少し冷酷で俯瞰的に世界を見つめる冷静さの塊の時の聡明な演技と竜之介の時の15歳の時のままの少しあどけない少年という正反対のキャラクターをうまく演じ分けていらっしゃる。

そして、なんといってもしおりの時のハイネの釘宮さん。
もう申し分ない!!!
言う事なし!!
文句なし!!
さすがは釘宮さんという他なし!!!

素晴らしいキャストの方々の演技でこのアニメが命を宿したんだと実感する。

そしてこの作品に関わったすべての方々に感謝申し上げたい。

最近の心の隙間を埋めるが如く感動作品に出会えたことに感謝しています。

よければぜひ、漫画でも、アニメでもご覧になって欲しいです。




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