超短編恋愛小説

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ノート

魔法の赤い口紅

#小説 #超短編小説 #赤い口紅

私がまだ6歳の頃のこと。ママがガンで死ぬ3日前に、病院のベッドでこんなことを言った。

「真理子、あなたに魔法の赤い口紅をあげる。この口紅はね、つけるといつもより100倍魅力的な女になれるの。だから『どうしてもこの男性を振り向かせたい。どうしてもこの男性に好きになって欲しい』って時が来たら、この口紅を使ってその彼の前に行きなさい。でもね、この魔法は3回しか使えな

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ブロッサム

5年ほど前に住んでいた永福町の駅前にブロッサムというパン屋があった。

ブロッサムはバゲットとパン・オ・ショコラとアンパンだけしか扱っていないパン屋で当時いっしょに住んでいた彼女の大のお気に入りの店だった。

春になるとアンパンの窪みのところに桜の花びらが埋め込まれたタイプのものが登場して、彼女は春が近づくと「ブロッサムのアンパン、桜になったかなあ」と確認のために毎日通いつめた。

ブロッサムは店

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女優との恋

土曜日の夜、長野さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「高校の時、クラスに女優やっている女の子がいたんです。中学の頃からちょこちょこテレビのドラマとかは出てたんですけど、高校になってからは映画で主役とかもやりはじめてて。

でも、高校だけは出ろって親に言われてたみたいで、出席数ギリギリで時々学校には来てたんですね。

そしたらやっぱりすごく可愛いんです。

で、僕、絶対にそんなの

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バンド仲間との恋

紀子さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「私、学生の頃からバンドでボーカルをやってたんです。彼がギターで曲を作って、私が歌詞を作って、下北沢で二人で同棲して、二人で下北沢の居酒屋でバイトしながら活動してました。

ドラムやベースのメンバーもずっと学生の頃から同じでした。

インディーズからですけどCDも2枚出して、評論家からも評判は良かったんです。

でも、ボーカルの私のルック

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ブスの恋の話

近くのテレビの制作会社で働いている、いつも明るくて元気な桃子さんが来店してこんな話を始めた。

「私、すごくブスじゃないですか。小さい頃、お母さんが『この子はピンクやスカートが似合わないから』っていうのを聞いてて、なんとなくわかってはいたんですけど、小学校になって男子にブスって言われるようになって、やっと自分は本物のブスなんだって自覚できるようになったんです。

世の中には美人について語られたネッ

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女子生徒との恋

樋口さんがbar bossaに来店してこんな話を始めた。

「林さん、僕、女子高の教師をやってるんです。

女子高の男性教師ってモテると思いますよね。もちろん僕みたいな不細工な男でも、たまにチョコレートを貰ったり、親しくなる女の子もいたりするんです。

でも、絶対に「恋愛はご法度」なんです。もしそんなことをしてバレてしまったら、その人の教師人生は終わりなんです。

もうどの学校でも使ってくれなくな

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恋愛の秋

いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

その夜は年に数日しかないような、心地よい風を感じる夜で、僕はお店の入り口は開け放し、ブロッサム・ディアリーの1984年のライブ盤を小さな音でかけ、お客さまが来店するのを静かに待っていた。

そこに常連の有里さんが入ってきた。彼女は華やかな花柄のワンピースを着ていて、僕は夏が入ってきたのかと思っていたら、彼女も「いつの間にか夏ですね」と言った。

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noteで知り合った二人

#小説 #超短編小説

いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

雨が続く東京にも一日だけ少し赤い満月が夜空に浮かんだ。ストロベリー・ムーンと呼ぶらしい。イチゴの月。名前って本当に大切だ。イチゴの月。ストロベリー・ムーン。何度も呼びたくなってしまう。ストロベリー・ムーン。

そんなイチゴの月が渋谷の夜空に現れた頃、ちょっとシャイな印象のメガネをかけた30代前半くらいの男性がbar b

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岡本さんとタカシくん

#小説 #超短編小説

いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

雨も上がり、初夏の爽やかな風が心地よい夜、おだやかな笑顔の岡本さんが来店し、こんな話を始めた。

「林さん、僕、今、好きになった女性がいるんです。その人、ご主人が浮気して別れてて、8才の息子さんのタカシくんって子が1人いるんです。

その彼女、38才なんですけど、見た感じはまだ30才くらいで、でも落ち着きや、時々見せ

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坂野さんの最後の恋

#小説 #超短編小説

いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

夜は深まり、店内もほぼ満席になった。あちらの席では男性が彼女に何か耳打ちし、それを聞いた彼女が嬉しそうに笑った。こちらでは女性二人組がまたいつものように「最近は良い男がいない」という話をしている。

そんなざわついた夜、10年ぶりだろうか、以前、渋谷の近所の会社でお勤めだった坂野さんが来店した。

「いらっしゃいませ。

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