デートサークル

落語家が、師匠から「まんじゅうこわい」とか「ちりとてちん」とかといった、新しい噺を教わりますよね。

それを何度も何度も自分で話してみて、覚えていくわけですが、一番、練習になるのは「人前で話すこと」らしいんです。

これ、わかりますよね。

自宅で一人で鏡の前でやるよりも、人がたくさんいる方が、「ああ、こういう間合いで喋ると、こういう受け方をするんだ」とか「このあたりはサラっと流さないと、みんな退屈になるんだ」とかっていうのが肌で感じ取れるし、何よりも「人前で話す」って独特の緊張感をともなうから、本当に「練習になる」んだと思うんです。

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ところで男性の方は「そうそう」ってうなずいてくれると思うのですが、僕たち男性って「あの子にはこうやってメールで誘って、こう断れたらこういう風に返して」とか「デートはまずこういう場所にお食事に行って、その後はさりげなく公園の方に歩いていって」とかって風に、何度も何度もシミュレーションするんです。

高校の時、ある友人が学年一綺麗な女の子とデートをすることになったんですね。その彼、ノートに「彼女がこういう風なことを言えばこういう行動をとる。何時頃に別れて、その何分後に電話をする」って感じで、ありとあらゆるパターンに備えて、「デートの台本」を作ってたことがありました。

その彼に後で「台本通りいった?」って聞いたら、「もう全然、予想外の展開ばっかりで台本は全く役に立たなかった」と言ってました。

そうなんです。「デートとか恋愛とか」って、相手が生身の人間だから、そう簡単には考えていた筋道通りにことは運ばないんですよね。

落語もそれと同じで、「話して聞いてもらう相手が生身の人間」だから、自宅でこっそり何度も練習するより、人前で何度も話して、何度か失敗して、予想していなかったようなリアクションを感じて、そして「上手く」なっていくんだと思います。

そして、やっぱり「恋愛やデート」もそれと同じで、自宅で「こう言われたらこう返す」なんて考えるよりも、とにかく「誘ってデートに行く」のが一番恋愛がうまくいく近道だと思います。

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僕はいろんな人から「こういう時はどうすれば良いんでしょうかねえ?」って聞かれるんですね。

僕としては「あたってくだけろですよ。ダメだったら次行きましょう。縁がなかったんです」って言いたいんですけど、みなさん、そういう「吹っ切れた気持ち」にはなれないんですよね。

今の目の前の相手をとにかく大切にしたいし、このチャンスをなんとかしたいんです。

で、その前に「デートの練習を実地で経験したら良い」と思うんです。

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それで思ったのが「デートサークル」です。

もちろん世の中には「デートクラブ」と呼ぶのでしょうか。そういう、お金を払ってデートをしてもらうシステムってあると思います。

そういうのではなくて、「そういう性的関係に持ち込むのは一切なし」で、デートの初心者とか、もっとデートを上手くなりたいとか、最近デートしていないからデートしたいな、なんて人たちが集まります。

そしてもうランダムでみなさん「デート」をしてもらうわけです。

デートが終わった後で、細かい「デート後の感想文」みたいなのが送られてきて、「あの時はちょっと自分のことを話しすぎたかもしれないです。もっと私に質問した方が良いですね。あと、あのレストランのチョイスは最高でした。あのお店はどんな女の子も喜ぶと思いますよ」とか「今日のノースリーブのワンピースは可愛くてドキっとしました。でも支払いの時ちょっとでも出すフリをしてくれた方が良かったかもです」とかって報告しあうわけです。

こういう「デートサークル」で例えば違うタイプ10人と経験すれば、かなりデートがスキルアップして、本当に好きな彼女に堂々と「今度、食事にでも行きませんか?」ってメールできるようになると思うのですが、このサービスいかがでしょうか。

もちろん「お互い好きになってしまってそのまま付き合う」なんてこともあると思います。

「性的なことは禁止で半日デートだけする。開始と終了もそのサークルのリーダーや管理者に報告する」というサークル、需要がありそうな気がするのですがどうでしょうか。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「デートで観たい映画ベスト3」です。

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デートサークル

林伸次

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林伸次