音楽の仕事

実は、19年前にお店をオープンしたときは「音楽ライター」というのもやりながら、お店を運営しようと企んでいました。

お店でレコードやCDも売って、海外からのミュージシャンの招致とかにも関わって、もちろん雑誌やCDに音楽の解説のようなものはたくさん書いて、っていうようなジャズ喫茶のマスターっていますよね。ああいう感じの音楽ライターをやりながらお店を回し、そして少しづつ小説を書こうかなと思ってたんです。

で、ありがたいことに、そういう音楽のことを書くお話はたくさん頂いて、CDのライナーなんかもたくさん書いたのですが、「結構、音楽ライターって職業は難しいんだなあ」って途中で気がつきました。

まず「すごく自分が好きな音楽だけについては書けない」ということがあります。これはもう当然で、職業にするなら、どんな球が来ても全部打ち返せるようになって、「あのライターさんは、どんな難しい件でも綺麗にまとめた原稿を期日通りにくれるから」って状態じゃなきゃダメなんですよね。好きなことを好きなように書いているのは、「仕事」じゃなくて「趣味」です。

あと、上手くやっていくには、いろんな場所に毎回ちゃんと顔を出して、「営業」じゃないんですけど、たくさんの人たちとちゃんと挨拶やSNSなんかをこなさなきゃダメなんだなあってことも気がつきました。僕はこう見えて人がたくさんいる場所がどうもダメなんです…

もちろん、好きなことを好きなように書くという人もいるのですが、すごく偉いか、元々アーティストとして有名か、すごく個性的な視点の原稿を書くか、あるいは誰よりも現地の情報を知っているかなんです。

それで、「うーん…」とか悩んでいたら、なんとなく「恋愛話」とかの方が受けるし、意外とこういうのを書く男性がいなかったこともあって、そういう依頼が増えてきたんですね。

もちろん恋愛話的な文章の方は続けていこうと思っているのですが、最近、友人や知人に「林くん、音楽を書く仕事だけはちゃんと続けた方が良いよ」ってよく忠告されるんです。

彼らに言わせると、恋愛話とか書いているけど、ちゃんとお店には毎日出ていて普通に接客していて、経営やお酒の知識もあって、そして実は音楽も専門的なところに踏み込んだことが書けるっていうのが、すごく「信頼感」があって「おバカなエッチな話」もさらに笑えるんだそうです。なるほど。そんなものなんでしょうか。

 ※

音楽の仕事はJJAZZという老舗音楽サイトで、僕が音楽関係者の友人たちにインタビューをするというブログをやっています。音楽好きの間では結構人気があって、僕も気に入って楽しくやっています。一番最近のは幡ヶ谷のワインバー・マチルダの町田洋子さんがゲストです。 http://www.jjazz.net/jjazznet_blog/2016/09/bar-bossa-vol61.php

あと、『バーのマスターは「おかわり」をすすめない』をお買い上げになった方はお気づきかと思うのですが、11月にその本のサントラCDが出ます。「ボサノヴァなし」という注文がレコード会社からありましたので、こちらもご期待ください。

ええと、ボサノヴァの名盤をちょっとしたエッセイ風に紹介するなんていう文章、得意ですのでいつでもお声をかけてください。でも、これを言うと「林さん、音楽のページってそんなに人気ないんですよ」って必ず言われるんですよねえ。残念です…

#コラム

飲食店って本当に面白いなあって感じの本を出しました。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』 https://goo.gl/oACxGp

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「この連休の予定は」です。

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