自分や彼には才能があるのか、と、柴さんと大谷さんの「ピコ太郎はバットを振り続けたから」の説

cakesで柴さんと大谷さんが「ピコ太郎がなぜヒットしたか」というのを色々と分析しているのですが、「バットを振り続けたから」という理由を最後にあげています。→ https://cakes.mu/posts/14418

僕はもうこの「バットを振り続ける→ずっとやり続けて発表し続ける」しかないと常々思っていまして、今日はそんな話です。

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「才能」って気になりますよね。自分に才能はあるのだろうか、どうして自分にはあいつのような才能がないのか、ずっとずっと気になるテーマです。

これに関して僕はいろんなプロの人たちとよく話していまして、みなさんがこう言います。

●すごい天才というのを別にすると才能のレベルのようなモノはそんなに大差ない。

●その人の人付き合いも含めた性格とかタイミングとかセルフプロデュース力で差が付く。

はい。たぶんすごい天才は別として「才能のレベル」みたいなものはたぶん大差ないんだと思います。

そこからどう自分だけのすごい作品を作って、どうやって世の中に知ってもらえばいいのか、なんだと思います。

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ところで僕は、ボサノヴァやジャズの中古レコードを買うのが趣味なのですが、「ああ、このピアニスト好みだなあ。他の時代のも買ってみようかなあ」と思って、60年代の初期のアルバムとか、80年代に入ってエレクトリックになってからのアルバムとか、色々同じアーティストを何枚も試し買いするときがあります。

そしたら、だいたい多くの作品が凡作か駄作で、2、3枚くらい「まあ結構良いなあ」って感じのアルバムがみつかる程度です。

どのアルバムも全部良いのって、マイルスとかジョビンみたいな音楽の神様に選ばれた天才だけです。

不思議なんですよね。ピアニストならピアニストとしての持って生まれたセンスや能力はどの時代もそう変わらないはずなのに、「うーん、駄作…」っていうのもあるし「まあまあ良いかな」っていうのもあるんです。

でも、しつこく買っていると「うわ、これ何、すごい…!」っていうミラクルな録音にぶつかることがあるんです。

僕の中古レコード買いの長い経験でいくと、普通のミュージシャンで「すごい!」って感じのアルバムを出せるのは一生の間に1枚、多くて2枚でしょうか。

どういうわけか、そのアルバムだけは「時代の雰囲気」や「一緒に演奏するミュージシャン」や「選曲や作曲」が全てうまくいってて、「奇跡的な録音」を残せるようなんです。

でも、そんな録音ができるのは、そのミュージシャンが最前線でずっと演奏し続け、一緒に演奏するミュージシャンやアルバムのコンセプトを常に試行錯誤し、レコード会社と交渉し、やっと1年に1枚発表出きるくらいの「意気込み」でやってきたからだと思うんです。

はい。何十年かたった後の極東に住んでいる僕が「うーん、駄作…」とか「まあ結構良いかな」とか言っていますが、本人は毎回毎回、「名作を!」と思って録音しているはずなんです。

そしてそれは、ほとんどがうまくいかなくて、でも、たまにすごいことになるんだと思います。

そしてその「たまにすごい録音が出きる」には、ずっと打席に立ち続けて、バットを振り続けて、毎回毎回、「今度のアルバムこそはすごい録音を」って考え続けてないとダメなんだと思います。

でも、ほとんどの人が途中で「自分はやっぱりそんなに才能ないな」とか「ミュージシャンになりたいとかって、若い頃によく思うよね。もう僕らは大人だしね」とかって思ってあきらめて、そして打席に立たなくなるから、良い録音なんて出来なくて消えてしまうわけです。

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ところでピコ太郎の「PPAP」聞きました? なんかすごく良いですよね。妙に耳に残って何度も見たくなる動画です。

これ、本人はインタビューで「突然、降りてきた」的なことを語っていましたが、やっぱりずっとずっと最前線で日々試行錯誤しながら、打席に立って作品を発表し続けてきたから思いついたアイディアなのではないでしょうか。

ずっと打席に立ち続けてバットを振り続けなきゃ、と思います。空振りやファールが続いても、いつかすごいホームランが打てる日がくるはずです。

#コラム

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nericafeの竹中さんがこんなツイートをしてくれました。ありがとうございます!

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bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「昨日は周りの外国人バーが」です。

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