恵方巻きとか音楽の買い方とか、なぜかマーケティングが好きな話

恵方巻きって食べますか?

僕は食べたことないし、たぶんこれから一生食べないと思うのですが、恵方巻きについてみんながアレコレ言ってるのがすごく好きなんです。

関西出身の人が必ず「あんなの関西人は誰も食べていない」と言ったり「セブンイレブンの売り方が」というようなことを語ったり、「こういう時にお寿司屋さんを儲けさせてあげようよ」とか「まあそんな堅いこと言わずにそれで幸せになるんだったら楽しいじゃない。こういう縁起物は楽しんだ方が勝ち」って言ったり、何かと毎年、そういうのを眺めて「人間って本当に面白いなあ」って感じます。

僕は商売をやっているからか、それとも「人間の心の動き」が好きだからなのか、よくわからないのですが、こういう「マーケティング」みたいなことがすごく好きなんですね。

例えば20代前半の若い人がお店に来て「音楽が好き」なんてことを言おうものなら、必ず「今、音楽ソフトはどうやって入手しているか、何で聞いているか、そして新しいアーティストの情報は何のメディアで入手しているか」っていうのをひたすら聞いてしまいます。

もちろん若い人は音楽雑誌は読んでいないし、タワーレコードに行って店頭で色々試聴しているわけでもないし、好きなDJがいるわけでもないし、「じゃあ、どうやって新しい音楽と出会うの?」って感じで、すごく気になるんです。

ちなみに最近ヒアリングしたところ「アップル・ミュージックの類は使っていない」「友達のオススメで新しい音楽に出会う」「YouTubeで聴いている」「すごく好きなアーティストならレンタルでCDを借りる」なのだそうです。

そういう「若者の消費行動」みたいな情報を手に入れると、「友達から教えてもらう」っていうのはもちろんわかるけど、その友達は必ず「どこかから新しい音楽情報を入手している」わけだから、それはどこなんだろう? あるいはそういう「すごく音楽に詳しい人」というのが、どのサークルにも1人はいて、その詳しい彼はネットや雑誌やCD店なんかをかなりチェックしていて、彼のセンスをみんなが信頼しているのだろうか? じゃあその詳しい彼に情報を届けるにはどうすれば良いのだろうか? とか考えてしまうんです。

あるいは「すごく気に入ったアーティストならYouTubeだけじゃなくて、レンタルでCDを借りる」ってことは、「15曲に300円くらいなら払っても良い」って感じているんだ、じゃあ1曲20円でDL販売するのなら買ってくれるのかも知れないんだ、とかとにかく考えてしまうんです。

僕は決して音楽業界の人間ではないのですが、「みんなが今こんな感じに考えているんだったら、こういう風にすればみんなが幸せになれるんじゃないかな」ってアレコレ考えるのがすごく好きなんです。

これ「恋愛」も同じなんですよね。

女性が男性を、男性が女性を、求めていたり、恋という数値化出来ない感情があったり、誘うときの言葉であったり、デートやプレゼントで「金額」や「センス」や「想い」を表現したり、キスやセックスや結婚といった、いくつものステージがあったり、そしてその「恋愛行為の全てに人間くさい面白さや悲しさ」が内包しているのが、すごく興味深くて、アレコレ考えてしまうんです。

そして「1曲20円だったら買うのかな?」とか「このメールの感じはもしかして私のことを好きなのかな?」とか、そういう「マーケティング行為」って全てに「正解」がなくて「仮説」なんですよね。

で、大の大人が、そういう「仮説」を一生懸命考えて、また新しい「仮説」を作り上げて、というそういういつまでたっても「正解」にたどり着けない感じが好きなのかなと思います。

いつも思うのは、遠足は行く前の日のおやつを買っているときが楽しいし、恋愛も告白するまでのアレコレが楽しいし、買い物もどれにしようか迷っているときが楽しいし、最初のキスも唇が触れるその前のドキドキが楽しいし、どこかにたどりつくまでの「道のり」が楽しいのかなって思います。

#コラム

サポートしたいと思ってくれた方、『結局、人の悩みは人間関係』を買っていただいた方が嬉しいです。それはもう持ってる、という方、お友達にプレゼントとかいかがでしょうか。