僕と妻の見ているところが全然違うこと

僕と妻は「歩く」のが好きなので、よくいろんなところを歩いているのですが、二人が見ているところが全く違ってて驚きなんです。

僕は「あの二人、どんな関係なんだろう。営業で外回りしている上司と部下かなあ」とか「ああいう髪型であんな服装でこの時間に酔っぱらっているってどんな職業なんだろう」ってことを見ています。

妻も人を見ているそうなんです。

でも妻が見ているのは「あの服の柄、良いなあ」とか「あの靴、可愛いなあ。どこのなんだろう」とかそういうところらしいんです。

 ※

例えば僕が好きな「二人組」に「お母さんと娘」というジャンルがあります。
これ「お母さんと息子」とか「お父さんと娘」とか「お父さんと息子」じゃダメなんです。

「お母さんと娘」だからこそグッと興味がわいてくるんです。

「うわー、似てる。鼻とか笑い方とか全く同じ」とか「ああ、お母さんのようなコンサバっぽい服装がすごく嫌いだから、娘さん、あえてこういうロックっぽい服装なんだ。でも本質的にはお母さんのコンサバ感を引き継いでるなあ」とか「ええと、お母さんは推定46才として、娘さんは推定8才。ということはお母さんは37才で結婚かあ。元出版関係って感じだな」とか、もういろんなことを考えちゃうんです。

そしてそれを逐一、妻に「あのお母さん推定46才で娘さんは8才だよね。お父さん、日曜日でどこにいるんだろう?」とか言うと、妻が「ほんと、そういうの好きだねえ。何がいったいおもしろいの?」と言うわけです。

でも、妻がそういう「全くの他人の人間関係」にうといかというと、そうではなくて。

例えば僕が「今、車に乗り込んだお婆さん、あの運転している女性とどういう関係だろう? 親戚かなあ。それとも…」とか言うと、妻はこう答えました。
「運転していた女性、全然車から出ようとしなかったでしょ。だったら、あのお婆さん、あの運転していた女性のお母さんに決まってるじゃない。普通、年上の親戚や別の関係なら、車から出て待ってるって」

それで僕が「すごいね」とか言うと、「どうしてわかんないの。それだけ人を見るのが好きなのに」とか言うわけです。

ちなみに僕と妻は歩いているときに見ている「お店」も全く違うところを見ています。

僕は売っているモノやメニューの料理や金額、利用しているお客さまの雰囲気とかを見ています。

でも妻は「あの入り口のお花、可愛く演出しているなあ」とか「扉の色がモスグリーンで落ち着いた印象だなあ」とかそういうのを見ているそうです。

 ※

こういう僕と妻の見ている箇所の違いを象徴する美術展が以前ありまして。
「松園と華麗なる女性画家たち」展という女性が描いた美人画ばかりを集めた美術展だったんですね。

女性が描く美人画、興味ありますよね。

僕も楽しみにして、臨んだのですが、「女性が描く女性」って全然つまんないんです。

ただ綺麗なだけで、女性が醸し出す「色気」のようなものが皆無なんです。
で、つまんないなあと思いながら、すっ飛ばして見ていると、1枚すごく良い絵があって、「お!」と思ったら、それだけ男性が描いてたんです。

美術展ではいつも自由行動にして、出口のソファーで待ち合わせにしているのですが、妻、今回のすごく気に入ったみたいで、かなり時間がかかったんですね。

で、「全然、つまんなかった」と僕が言うと、「ええ、すごい良かったじゃない。初夏の時は着物の柄が初夏向けになってたり、髪型や小物もすごくこだわってたり、身分の違いで着物が変わったり、見るところすごく多かったよ」と妻が言うんです。

やっぱり見るところ、すごく違うんですね。

ちなみに妻は「前から歩いてくる人で男性なんか全然見ない」そうで、「え、そうなの?」と僕が言うと、「やっぱり綺麗な女性とかスタイルが良い女性を見る方が楽しいに決まってるじゃない」ということです。

でも僕がその妻の言葉に騙されて、「今の女性、綺麗だったね」なんて言おうものなら「ええ! どこが! 趣味悪い!」って言われるのは今からわかっています。

#コラム

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「今日、美人パンの収録なのですが」です。

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