赤ワインが戻ってきた理由

ここ数年ずっと白ワインの人気が強かったのですが、最近、白ワインよりも赤ワインを頼まれることが増えてきたなあってすごく思うんです。

ちなみに「嗜好品としてのお酒」って、ひたすら「スッキリ辛口」と「自然志向」へと突き進んでいくという法則があると思います。

カクテルも以前は甘かったり人工着色料を使っていたものが、例えばモヒートのようにすごくスッキリして、さらに自然な本物のミントやライムがたっぷり入ったものになっています。

ワインも、赤玉ポートワイン→ドイツワイン→ボルドーワイン→南仏あるいは新大陸ワイン→ブルゴーニュ→アルザスやロワールの白ワイン→ビオワイン→日本ワイン という風に好みは移動していきます。

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ちなみに「ビール」って今はもちろんクラフトビールですよね。

特に日本の場合は「スーパードライ」が一番売れていたという状況があったから、それへのアンチテーゼと言いますか、「ビールって本当はもっと多様性があって、フルーティなビール、ワインのようなビール、いろんなビールを楽しもうよ」って流れなんだと思うんですね。

あまりにも「辛口スッキリ」に行き過ぎてしまったから、それからの「次の段階」といった感覚だと思います。

だから日本酒も最近はもっと「個性」を強調していますよね。あまりにも「辛口スッキリ」に行き過ぎるとそのぶり返しがやってくるという状況なんだと思います。

あるいはカクテルもミクソロジーで、ハーブや果物を使ったりと、新しい流れが出てきていますよね。それも「辛口スッキリ」からの脱却だと思います。

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さて、ワインなのですが、どうして「赤ワイン」に戻っているのかすごく不思議なんです。

白ワイン→ビオワイン→日本ワインという流れで、「辛口スッキリから多様性へ」っていうのはそこで終わっているはずなんです。

で、そういう時に一番たよりにしている妻に「どうしてなんだろうね」って聞いてみました。

すると一言「肉が流行っているからじゃない?」と言いました。

そうかあ。僕はついつい「飲み物だけ」で考えてしまうのですが、確かにワインは「食べ物」と一緒に考えなきゃいけないんですよね。

確かに「肉」流行っていますよね。

思うに、日本人にとって「肉」ってまだまだきちんとわかっていなかった食材だったと思うんです。

だって日本人が肉を食べはじめてまだ150年ですから、そんなには理解できていないはずです。

魚や貝や大豆やキノコや海藻なんかの食べ方は本当に日本人は熟知しているというか、発酵させたり乾かせたりとありとあらゆる可能性を試みて、それを普段の食卓に採用していますよね。

でも「肉の可能性」って全然追求していなかったんだと思うんです。

それが最近、特に「野菜」や「魚」へと気持ちが偏っていたから、それへのアンチテーゼで「肉って美味しいんだよ。赤身も脂も内蔵も熟成肉もシャルキュトリーも美味しいんだよ」って方向に流れているんだと思います。肉寿司という日本独自の路線も流行ってますしね。

そして、その肉にはやっぱり「赤ワイン」なんですよね。

それで最近は「赤ワインってこんなに美味しいんだ」って再発見しているのではと思います。

ちなみに、bar bossaでは最近は意識的にグラスでメドックやサンテミリオンのボルドーを出しています。

20代の若い人って意外とそんな「クラシックなワイン」って飲んだことないから「へえ、ボルドーってこんなに美味しいんだ」って驚かれるんです。

うーん、ボルドーとか南仏の赤がそのまま昔のようにカムバックしてくるのか、それともこれからますます「多様化」への道をたどるのか、とりあえず今は観察中です。

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

#コラム

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林伸次