オワコンという言葉と紅玉

僕、「オワコン」って言葉が嫌いなんですね。

で、僕は何かのことを嫌いになったときは「どうして嫌いなんだろう」って考えることにしているんです。

というのは、何かを「嫌い」と感じる場合、ほとんどが「自分の心の方」が原因なんです。

普通なら何にも感じなくて「無視」なんです。「嫌い」と感じていることは、僕はそれを無視できなくて、僕の方に何か「歪み」があるんです。

で、自分が「オワコン」って言葉、嫌いな理由を色々と考えました。

「コンテンツを作った人のことを尊敬していないからかな」と考えてみました。「だいたい『オワコン』なんて言う人は作ったことない人なんだろうな」とかって考えてみました。

でも、「駄作」とか「全然面白くなかった」とかって言葉は何にも気にならないんです。

やっぱり「オワコン」って言葉が自分にひっかかるんです。

そして自分がどうして「オワコン」にひっかかるのかは、bar bossaを「オワコン」って言われるのが怖いんです。

bar bossaと同じタイプの「いわゆるワインバー」って昔すごくたくさんあったんですね。で、ほとんどがもう閉店しているんです(ワインバルは流行ってます)。

あと、ボサノヴァって昔はどんなお店でもかかってたんですね。それがもう今はどこもかかってないんです。

たぶん、そういう、誰かに「もう終わってるよね」って言われるのがすごく怖いんだと思います。

それで「オワコンってなんだ! 根拠はどこにあるんだ!」って感じで、その言葉に噛みついちゃうんだと思います。

 ※

先日、妻がアップルケーキを自宅で焼きまして、食べたらすごく美味しかったんですね。

そしたら妻が「紅玉を使ってるからね」って言うんです。紅玉はすごく酸味があるから、アップルケーキに使うと酸味がきわだって、ケーキがおいしく感じるらしいんですね。

でも、妻が言うに、「紅玉って昔は酸っぱくて人気がなかった」そうなんです。

他のリンゴは品種改良されて、どんどん甘くなって、紅玉は「オワコン」だったらしいんです。

でも、「アップルケーキやアップルパイに使うと美味しい」というところで再評価されて、今はどんなレシピにも「紅玉を使うとより美味しいです」ってクレジットされているらしいんです。

そして「紅玉」って言葉自体が古くさいってイメージがあったらしいのですが、今は「紅玉を使ったアップルケーキ」とかって書いてあると、「美味しそう」って感じるらしいんです。

そして今では店頭では紅玉って「ちょっと高級な印象」があるそうなんです。

 ※

そんなことを知ってから、「オワコン」って言葉を耳にしたり目にしたりすると、「このコンテンツならではの、他のコンテンツにはない魅力はなんだ? 紅玉にとっての酸味のようなものは、このコンテンツにはないのか?」って常に考えるようになりました。

「オワコン」って言われても、そのコンテンツにはそのコンテンツならではの、「何か特別な良いもの」があるはずって考えるようになりました。

あ、もちろん、bar bossaに関しても、考えています。

#コラム

飲食店って本当に面白いなあって感じの本を出しました。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』 https://goo.gl/oACxGp

僕が選曲したCDです。Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa → https://goo.gl/tOKcGu

iTunesでも配信しています。→ https://goo.gl/9QJywf

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「昨日は寒かった」です。

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