雑誌がお洒落になる日

先日ある方がこういうツイートをしてまして「個人的な感想ですが、電車の中でスマートフォンをいじっているのが、カッコ悪く見えるようになった。昔は、カッコ良く見えたのにね。なので、やめる。」、そうなんだなあ、そういう時代になったんだなあと思いました(電車でスマホで読んでる方が多いんですよね。すいません…)。

で、思い出すのが僕がバーテンダー修行をしていた1996年くらいの頃、「携帯電話で話しながら歩くの」がカッコ悪くなった時期があったんです。
それまでは携帯電話で話しながら歩くのって「忙しそうな人、仕事が出来そうな人」って印象だったんです。CMでもそういう感じでした。

しかし、1996年あたりから、「歩いてる時くらいは携帯で話すのやめたら? どうしても話さなきゃならないんなら、道路の端っこで目立たないように話すのがマナーでしょ」って雰囲気になったんです。

こういう「やっている行為は同じなのに、時代で意味が変わること」ってありますよね。

ところで先日、井の頭線の終電で、30代前半のお洒落な男性が、スピリッツを読んでたんです。

「あれ? 電車の中でマンガ雑誌を読んでる人って随分久しぶりにみた光景だなあ。そう言えば駅の前で100円でリサイクルマンガを売ってる人、いなくなったしなあ」とか思ってたら、その男性がスピリッツにポストイットを貼ってたんです。そうなんです。たぶんスピリッツを読むのが彼の仕事の一部だったんです。

そうだよなあ、いわゆる「普通の読者」としてマンガ雑誌を電車で読む人ってホントいなくなったんだなあと思った瞬間でした。

でも、先日、電車で21、2歳と思われる女性二人組がこんな会話をしていました。

「私、最近、雑誌ってよく見るんだよね」
「そうなんだ。雑誌って良いよね」

これ、もちろん彼女たちにとって「雑誌は日常じゃない」から、こんな会話をしているんです。

例えば「車って良いよね」って言葉にする人は、普段は車に乗らなくて電車のみだから「やっぱり車は便利で良いなあ」って感じて「車って良いよね」と言うわけです。

だから彼女たちは「スマホって良いよね」とか「LINEって良いよね」とかは言いません。それが日常ですから。

では何故、彼女たちは電車の中でみんなに聞こえるような大きい声で「雑誌って良いよね」と言ったのでしょうか。

これはアレです。
 
若い方はイマヒトツわからない感覚かと思うのですが、レーザーディスクやMDやビデオカセットがなくなったように、アナログレコードはいずれなくなるだろうと思って、みんながアナログレコードを処分して、CDを買い直してた時期があったんですね。

CDって本当にキラキラして未来っぽくて、小さくて可愛くて、LPって大きくてドンクサくて昔っぽいなあって感じる時期があったんです。

それが、DJという職種の影響もあるとは思うのですが、アナログレコードを持つのがお洒落に変化した時期があったんです。

それと同じで、今はたぶん雑誌がお洒落になろうとしているんだと思います。
で、電車の中でスマホを見るよりも、鞄から大きい雑誌を取り出して、ページをめくる方がお洒落になる時代がもうそこまで来ているんだと思います。

「CDの次」である「音楽データ配信」が普及し始めて逆にアナログレコードの売り上げが伸びましたよね。

それと同じでスマホが終わって次のが出てきたときに雑誌が伸びるような気がします。

うーん、やっぱり違うかなあ。いや、ホントこういうのどうなるのか予測できないですよね。だから面白いのですが。

※この文章は2年前に書いたものの転載です。

#コラム

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「ビールを飲み過ぎると」です。

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