デイ・バイ・デイ

#小説 #超短編小説

「私、お見合い結婚なんです。

私、小さい頃から自分はそんなに綺麗な方じゃないってわかっていたし、ずっと女子校だったから、男の子と恋愛みたいなこともなかったし、もう全くそういうのがないまま大人になっちゃったんです。

就職したところも小さい会社で若い人も全くいなくて、毎日ぼんやりと暮らしていました。

たまに合コンとかも誘われたんですが、もちろん私がモテるわけもないし、テレビや雑誌の中でよく見る「デート」とかって私には縁のない遠い世界のことなんだろうなあって思ってました。

24才の時、お母さんにお見合いをすすめれらたんです。「この人、会ってみない?」って。

相手は48才で太くてはげていて、目も小さくて全然カッコいい人じゃなかったんです。そしたらその人が私のことをすごく気に入ってくれているらしいし、お母さんも「すごく良い人じゃない」っていうので、それじゃあ良いかなって結婚しました。

一度くらいちゃんとしたデートをしたり、すごくドキドキしたり、夜の公園でキスしたりっていうのを味わいたかったのですが、そういうのも全くなく、二人の生活が始まりました。

彼は一人暮らしが長かったから料理がすごく得意で、毎日、タイ料理やイタリア料理など凝った料理を私に作ってくれました。

結婚前はひとことも言わなかったのですが、昔のハリウッド映画が大好きで、たくさんのDVDやビデオのコレクションがあって、毎晩、二人で映画を観て、美味しいワインを飲んで楽しみました。

セックスは最初のうちは痛いだけでつらかったのですが、日に日になんとなく良さがわかってきて、二人でいろんなことをして楽しみました。

最初は彼の大きいお腹がおじさんくさくてイヤだなあって思っていたのですが、毎日見ていると可愛いなあって思うようになってきました。

彼は毎日私のことのどこかを誉めてくれました。瞳が可愛いねとか、お尻が可愛いねとか、そういう喋り方が好きだとか、毎日私の良いところをさがしあてて、可愛いねと言ってくれました。

そしていつも布団の中で「君に出会えて良かった。これは運命だったんだと思う」って言いました。

そして私も日に日にこの人と出会うのが運命だったんだなあって思うようになりました。

そして私も日に日に彼のことが好きになり、大好きになり、家に帰ったら、彼がキッチンで料理を作っているのを見ると、後ろから抱きしめたくなり、ああ、こういうのを恋って言うんだって思いました。

結婚してから、恋が始まるってこともあるんですね。

そして日に日に、この恋が深まって、彼に出会えて良かったって思うんです」

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケでこの小説を書こうと思った経緯を短く書いています。

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