ラブレター

ええと、どうして僕があなたにこんなラブレターを書いているかというと、渋谷のバーで飲んでいるときに、そこのバーテンダーに「そんなに好きならラブレターを出しちゃえば良いんですよ」なんて言われたからで、まあ僕の気持ちがあなたに届くかどうかわからないのだけど、ちょっと書いてみます。

まず最初に言っておくのだけど、あなたが大好きです。

初めて会ったときから好きなタイプだなあと思っていたけど、その後、僕が確か何か冗談を言ったとき、すごく楽しそうに笑っているあなたを見て、僕は完全に恋に落ちました。

ええと、そのバーテンダーが「その彼女のどういうところが好きなのかを書けばいいんです」って言うので、書いてみます。

まずあなたの表情が好きです。ちょっと困ったような顔とか、イジワルそうに笑うときとか、恥ずかしがっているときとか、そうだな、うん、あなたのそんな色んな表情を見ていると、僕はとても嬉しくなってきます。

あなたのしぐさとか動いている雰囲気とかも好きです。たぶんあなたを可愛くしている要因は、そのしぐさとかそれをひっくるめた全部の雰囲気なんじゃないかなと僕はにらんでいます。

声も好きです。もし可能だったら、あなたが今すぐ僕に電話をかけてきてくれて、あなたが今日何を食べて、何がおかしかったのか、なんてことをあなたのその声でずっと聞いていたいです。

あなたの服装のセンスも好きです。たぶん自分のことを客観的に見れる人なんだろうなって思います。この前のあの服も可愛かったんだけど、でもあなたに着られると服の方も幸せなんだと思います。

さて、そのバーテンダーが「今後、どうしたいのかを書くといいですよ」というので希望的観測みたいなものを書きます。

もちろんあなたとデートしたいなと思っています。あなたと街を歩いて、ちょっと喫茶店で休んでコーヒーを飲んで、あなたがどんなケーキを選ぶのか見てみたいです。そうですね。僕はあなたが甘いものはチョコが好きなのか、和菓子が好きなのかそれさえも知りません。

動物園や映画館にもあなたと行ってみたいです。ご飯も一緒に食べたいです。でもこれはただの希望的観測です。あなたがイヤだと言うのなら、僕はあなたとのデートはあきらめます。何しろ僕はあなたにとりあえず「好きだ」ということを伝えたかったのですから。

最後に言い忘れたことを。そういえば僕はあなたの顔が好きです。どうしてそんなに可愛いんだろうといつも不思議です。

そのバーテンダーが「長文は違反です」というのでこの辺で終わりにします。

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「最近、チューリップばかり」です。

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