料理の鉄人やシェフ中心のマンガがなくなってきた理由を考えてみました

最近、飲食店が、マンガやテレビといったメディアに出るとき、扱われ方や視点が変わってきたなあと感じることがよくあります。

以前はテレビでは「料理の鉄人」、マンガでも「究極の料理を作るシェフや寿司職人」といった、「贅沢な食材をふんだんに使って、長い期間ちゃんとした飲食店で修行をしてきた料理人の最高の料理」というのがよくテーマにされていましたよね。

テレビの向こう側には、一般庶民には食べることが出来ないような「夢のような料理」が作られて、それを食べているのを視聴者が眺めるという構図でした。

それが最近は「食べる人」の方が主人公の番組やマンガが増えてきていると思いませんか?

一見、どこにでもあるような居酒屋や定食屋さんに入って、そこのポテトサラダに感動したり、焼き魚定食の付け合わせのお漬け物に感動したり、という描写をよく見かけませんか?

あれが「どうしてなんだろう?」とずっとずっと気になっているんです。

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紙媒体でもそうだと思うのですが、ミシュランってもう全然話題にならなくなりましたよね。

ミシュランが話題になるとすれば、ラーメン屋がランクインしたとかそういうネタです。

あるいは最近、「街場の居酒屋を巡る」というスタイルの雑誌やマンガがよく話題になっていますよね。

これってどういう「気持ちの変わり方」なんだろうって、飲食店を経営している人間として、気になって気になってしょうがないんです。

さらに、以前は「自分だけの小さな個人店をみつける」というのがテーマだったように思うのですが、先日、僕がコンビニで立ち読みした「グルメマンガ」は「チェーン店の餃子専門店に入って、そこで自分だけの楽しみ方をする」という内容でした。

そしてさらに、先日、東京姉妹の知恵さんに教えてもらったのがこのマンガ→ http://nikkan-spa.jp/944633 でして、これって「100円ローソンでのオツマミと缶チューハイの楽しみ方」なんです。

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普通に考えてみると、「もうみんなお金がないんだよ。高い料理なんて手が出ないんだよ」という結論に行き着きそうですが、そうじゃない感じがすごくしています。

まず、思いつくのが、現在の日本の飲食業のレベルがすごく上がっているということがあります。

セブンイレブンの飲食モノってすごいレベルですよね。外食チェーンの出てくる料理もすごくレベルがあがってますよね。

それにともなって、消費者の方の舌もすごく厳しくなってきたから、コンビニのオニギリをついつい日常的に比較したり、富士そばのコロッケの衣について語ったりしたくなるのではないでしょうか。

そして、みんながそれぞれの価格帯の食べ物を、それぞれの感覚で楽しむという雰囲気が出来上がってきているのではないでしょうか。

もちろんその雰囲気の全てに「インターネットの影響」というのがあるとは思うのですが、でもやっぱりもう「テレビの向こうや三ツ星レストランや高級料亭に行ける一部の人間だけにしかグルメは語れない」というのが壊れているんだろうなあとは感じています。

そして、クックパッドの登場で素人だけど面白いレシピを発信できることとか、楽天等でお取り寄せが簡単にできるようになったというのも何か「飲食業の曲がり角」のことを感じさせられます。

この流れ、感覚、飲食店を経営している人間として、まだまだ観察、注目中です。

#コラム

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