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フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

※日曜日は読む人が激減するので音楽のことを。

ある男性の友人が「ちょっと手が届かないくらいの女性」に片思いばかりしているんです。

理由を聞くと、「ギリギリ手が届かないくらいの女性に片思いをしていると、いい作品がかける」のだそうです。

なるほどですよね。あらゆる芸術作品、あるいは表現活動は、「ギリギリ届かないところへの片思い」というのが、一番切なくて、優れた作品を生み出すような気がします。

モテてモテてしょうがない人の文学や歌なんてたぶんそんなに優れた作品ではないでしょう。

やっぱり「ギリギリ手が届かない片思い状態」が一番美しい作品を生み出すんだと思います。

 ※

ところでこれ、有名な話ですが、1969年以降は「月の名曲」がないってご存じでしょうか。

理由は簡単で、1969年にアポロが月にたどり着いてしまったからなんです。

やっぱり月は「いつまでたっても手が届かない、遠くて暗い空にぼんやりと浮かんでいる」から、みんなが歌にできたんです。

でも、月にたどりついて、そして人間がその月を歩いている映像なんかを見せられてしまったら、「月への想い」みたいな歌って出来なくなってしまうんでしょう。

もう僕たち人類にはムーンライト・セレナーデや

ムーン・リヴァーのような「月の名曲」は作れないんでしょう。

 ※

さて、そんな月の名曲で『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』という歌があるのはご存じでしょうか。

この曲、最初は『イン・アザー・ワーズ』というタイトルで、曲調もこんな感じだったんだそうで、そんなにヒットはしなかったそうなんです。

でも、途中で『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』というタイトルに変えて、ボサノヴァ・アレンジで演奏されはじめてからは、当時の「人類は月に行けるかもしれない」という期待と、ボサノヴァという新しい流行音楽の雰囲気がうまくはまり、話題になりはじめたそうなんです。

そして1962年にフランク・シナトラが吹き込んだ『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が大ヒットし、この美しい曲はスタンダード・ナンバーとなりました。

ちなみにこのフランク・シナトラの録音はアポロ10号、11号に積み込まれて、宇宙空間で飛行士たちが聞いて楽しんだことでも有名です。

 ※

この『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』を作った人はバート・ハワードという男性で、2004年に58年連れ添った愛する男性に看取られて88歳で亡くなったそうです。

ちなみにバート・ハワードさんの晩年に、あるとき、莫大な印税が日本から振り込まれたそうで、理由はエヴァンゲリオンのアニメで『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が使われたからということです。

夢のあるいい話ですよね。こんな美しい曲を作ったら、晩年に海の向こうの小さい島国から「ポン!」と大金が振り込まれるんですね。

#音楽 #コラム

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