飲食店が作る街の色とnicaがすごく良かったこと

村上春樹が経営していたジャズ喫茶ピーターキャットはご存じですよね。

そのお店に、あるジャズ関係で有名な方が学生の頃、行ったことがあるそうなんですね。

その方、なんと、日本のジャズ・フュージョンのアルバムをそのピーターキャットの店主(もちろん村上春樹)に渡して、「これ、かけてください」って言ったそうなんです。

そしたらその店主、「いいよ」って言って、A面B面かけて、「なかなかいいね」って言って、その方に返したらしいんです。

この話、僕、すごく好きなんです。

普通、常連でもなんでもない学生さんがジャズ喫茶に来て、「これ、かけて」って言っても、絶対に断ると思うんです。

でも、その店主、「いいよ」って言ってかけたんだなあ、すごいなあ、僕には出来ないなあ、そういう音楽好きの若者を大切にしようって心がけていたのかなあ、いやあ見習わなきゃなあ、っていつもいつも思うんです。

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ところで、これ何度も書いているのですが、bar bossaって「下北沢のいーはとーぼの現代版をやろう」っていうのが最初のコンセプトなんですね。

いーはとーぼって、カフェスペース以外にレコードを売っているスペースもあって、そのオーナーが音楽ライターもやっていて、そして、山下達郎や坂本龍一や大貫妙子がまだ若い頃、そこにたむろしていたらしいんです。

たぶん、山下達郎や坂本龍一は、「うわあ、このお店、すごく良いなあ。かかっている音楽もカッコいいし、最高」と思って通ってたんだと思うんですね。

そういうお店をやってみたいなあって僕は若い頃、思ったわけです。

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例えばジャズ喫茶やロックバーのような日本の音楽系の飲食店の伝統と言いますか、そこに色んな音楽好きが集まって、でも、そこには結構頑固な店主がいて、でも店主がたまにすごく気に入った音楽があって、それをみんなに紹介したりして、お店に集まっている音楽好きの人たちがそれをいち早くチェックして、そしてその音楽が流行りだして、日本の音楽がまた豊かになって面白くなっていくっていうの、あると思うんです。

僕たち飲食店の店主はそういう伝統をちゃんと引き継いで、次の世代へと渡していかなきゃっていつも思います。

飲食店、もちろん食べたり飲んだりするところですが、でもそこに色んな人が集まって、街の色が少しづつ変わっていくのって良いですよね。

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それでまあ、どうしてこんな話をここまでしてきたかと言いますと、先日、GMAの金野和磨さんにいただいた、nicaというバンドのCDがすごく好きだということを言いたいんです。

これ、最初僕はシュガーベイブの系譜の最新版だと思っていたんですね。

でも考えてみるとこれはバービーボーイズの系譜ですね。

より日本人受けしそうなメロディでキャッチーです。もしかして何かのCMに使われたりすると爆発ヒットしそうな音楽です。

もう僕はずっとリピートにして聞いています。

個人的には2曲目の「紫陽花」という曲がすごくキャッチーで好きなのですが、YouTubeにないですね。

是非、チェックしてみてください。 https://www.amazon.co.jp/%E6%BB%B2%E3%82%93%E3%81%A0-Nica/dp/B0742L3LBY

#コラム #音楽

色んな質問に答えた本が出来ました。『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』 https://goo.gl/dZ32IW 立ち読みできます!
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bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。→ https://note.mu/bar_bossa/n/n1fd988c2dfeb

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「今日、湯島の方に」です。

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