日本におけるチーズが3段階目に入ってきたことと、ファビアン・デグレさんの『フロマジェが教えるおいしいチーズの新常識』

ある人が、中国から旅行で来ている、クラスの高い中年女性と食事をすることになったそうで、「イタリアンでもどうですか」と誘ったところ、「ピザのチーズがダメ」と言われたそうなんです。

その彼女、「和食は好き」だそうで、生魚も食べるそうなんです。でも、ちょっとチーズは臭くてダメだそうなんです。

同じような話で、ある人がタイで仲良くなった若い女性が、同じくピザのチーズが苦手と言ってたそうで、なるほどタイでもチーズがダメな人がいるんですね。

ということは、おそらく日本人も最初は「チーズ」ダメだったんでしょうね。

でも日本人、ご存じのように「海の向こうからやってきたもの」に関しては、「理解しよう」と一生懸命努力しますから、いつの間にかチーズ、大好きになったんでしょう。

僕、こういう「食材」や「調理方法」や「飲み物」や「調味料」といった「飲食に関するあれこれ」が少しづつ日本に定着して、少しづつ「日本化」される現象って大好きで、色々観察するんですね。

 ※

そしてチーズです。

僕の分析では「日本におけるチーズ」って今、3段階目に入ってると思うんですね。

第一段目はピザやハンバーガーやグラタンで「チーズの美味しさ」を知った段階。

第2段目はワイン・ブームの時に、ウオッシュ・チーズやシェーブルといったブルーやカマンベール以外のもっともっとマニアックな「チーズの美味しさ」を知った段階。

第3段目は、そんな様々なチーズをいかにして「より美味しく食べるか」を日本の食卓やレストランやバーやカフェで試す段階です。

食に興味がある人でしたら、今、ブルーチーズに蜂蜜やコンフィチュールをあわせたり、シングルモルトにハードやウオッシュをあわせたり、っていうのが流行っているってご存じですよね。

これ、もちろんワインでもあります。貴腐ワインにブルーチーズは有名ですよね。

それが、先日、ファビアン・デグレ著『フロマジェが教えるおいしいチーズの新常識』というすごい本に出会いました。

このデグレさん、東急の地下のフードショウのフェルミエさんというチーズ屋さんで働いていた、あの青い目のフランス人なのですが、ご存じですか?

フランスのチーズ屋さんの息子として生まれたのですが、日本に興味を持って、大学で日本語を習っていたところ、フェルミエの本間るみ子さんと出会い、来日してフェルミエで働くことになったそうです。そして、その後は世界最優秀フロマジェに選ばれています。

このデグレさんの本、今、日本中の「美味しいもの好き」の人たちが試している「チーズとのマリアージュ」がとにかくたくさん紹介されているんです。

チーズとワインはもちろん、チーズと日本酒、チーズとビール、ウイスキー、コーヒー、パン、こしょう、ハーブ、蜂蜜、コンフィチュール、フルーツ、ナッツと色んなマリアージュを提案してくれています。

例えば純米吟醸にはラングルやパルミジャーノレッジャーノ、コーヒーのエチオピア・イルガチェフェはオッソー・イラティをという風に、とにかく具体的なマリアージュが紹介されています。

そして「チーズレシピ」もすごいです。

タルティーヌのあれこれは本当にすぐ使えるくらい参考になりますし、酢飯の代わりにブリア・サヴァランを使った「寿司見立て」もすごいアイディアです。

チーズをじっくりと紹介、解説したページもとても参考になるし、「とにかく面白くて新しい味覚」を探している調理人や飲食関係者は「必読」です。

たぶん、この本を読んでいるか読んでいないかで、「チーズへの認識」のすごい「差」がつくと思います。

飲食関係者には本気で「おすすめ」です。今日からすぐにメニューに使えますよ。

ちなみにデグレさん、「チーズにあうのは赤ワインよりも白ワイン」と、「エポワスは熟成させすぎずに」と語っています!

#コラム #グルメ

お酒やバーについての僕の本です。『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』 

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。

この記事は投げ銭制です。面白かったなと思った方は下をクリックしていただけると嬉しいです。おまけでちょっとした個人的なことをほんと短く書いています(大した事書いてません)。今日は「昨日から」です。

ここから先は

80字

¥ 100

サポートしたいと思ってくれた方、『結局、人の悩みは人間関係』を買っていただいた方が嬉しいです。それはもう持ってる、という方、お友達にプレゼントとかいかがでしょうか。